メルセデス・ベンツS500クーペ(FR/7AT)/S500 4MATICクーペ(4WD/7AT)/S63 AMGクーペ(FR/7AT)/S63 AMG 4MATICクーペ(4WD/7AT)
伝統と革新と 2014.07.26 試乗記 2014年3月のジュネーブショーで発表された「Sクラスクーペ」。その見どころは流麗なスタイリングだけではない。旋回時にボディーを“逆ロール”させる「カーブ・チルティング・ファンクション」などの新機軸が投入されている。その走りはいかなるものなのか? イタリアからの第一報。威風堂々とした存在感
メルセデス・ベンツに「Sクラスクーペ」の名が復活した。1960年代に「220S/SEクーペ」として登場し、大型で高級な2ドアクーペとして独特の存在感をたたえていたが、やがてその車名を「SEC」や「CL」に変えていた「Sクラス」ベースのクーペが、ここにきてまたSクラスクーペと名を変えたのである。
それはまさにその名のとおり、現行Sクラスをベースにしたハイエンドのクーペで、ホイールベースこそ2945mmとセダンより90mm短いものの、5mを超える全長と1.9m前後の全幅を与えられた2ドアボディーは、文字どおり威風堂々とした存在感を放つ。
しかもそれは、流れるようなルーフラインによってスポーティーさを演出しながら、スワロフスキークリスタルをちりばめたゴージャスなヘッドライトを配すなどして、これまでのメルセデスクーペとは一線を画する今様の雰囲気を発散している。
そのSクラスクーペに、イタリアのトスカーナ地方で開かれた国際試乗会で乗ってきた。その時点でヨーロッパにおけるプライスが発表されていたのは「S500 4MATICクーペ」と「S63 AMG 4MATICクーペ」の基本2モデルだったが、試乗会の後半には、まったく新しい発想のサスペンションを組み込んだ発売前のモデルにも試乗できた。
その結果、Sクラスクーペが単にラグジュアリーで快適なだけのクルマではないことを味わって、メルセデスのすごみを実感することになったのだった。