ポルシェ・ケイマンR(MR/6MT)【試乗記】
レーシング・ポルシェの味 2011.11.02 試乗記 ポルシェ・ケイマンR(MR/6MT)……1204万9000円
「ポルシェ・ケイマン」シリーズに、走りに磨きをかけた最強グレード「ケイマンR」が登場。実際のパフォーマンスは、どれほどのものなのか? 峠道で試した。
鍛えて絞ったケイマン
『webCG』では海外の試乗記(2011年3月)でしか紹介していなかった「ポルシェ・ケイマンR」が、とうとう日本上陸を果たした。「R」の名が付くことからも容易に想像がつくとは思うが、それは「ポルシェ・ケイマン」が本来持つ走りの性能を、見事なまでに研ぎ澄ましたモデルであった。
エンジンはシリーズの枠組みから飛び出すことなく3.4リッターのまま。しかしパワーは「ケイマンS」+10ps(「911カレラ」マイナス20psともいえる)の330psにまで高められている。いや、「高められている」というよりは、スペシャルモデルの名に恥じぬよう、一応パワーも上げておいた、というべきか。実際排気系とECUのチューニングで達成された数値だけに、既存のオーナーは慌てる必要まったくなしだ。
対するボディーは、通常モデルにはないアルミ製のドアパネルや、軽量(に見える?)セミバケットシートを装着しているのが羨ましいポイント。そこからさらにエアコンやオーディオをオプション化することで、約55kgの軽量化を実現したという。
そう、パワーこそ10psアップにとどまるけれど、車重を軽くすることで運動性能を上げる……ライトウェイトスポーツ王道の方法論こそが、ケイマンRのスペック的な魅力になっているのだ。
なんて盛り上げてみたが、実際の軽量化はドアパネルのみと考えてよいだろう。いまどき「911 GT3」でさえエアコンやオーディオは必要装備。いくらスポーツ性能を第一としていても、これらを取り去ってまでストイックに走る時代ではない。実際試乗車にも、快適装備はきちんと装着されていた。
そこに19インチホイールと締め上げた足まわりが組み合わされて、ケイマンRは完成する。生い立ちとしては、「ボクスター」のスペシャルモデルである「ボクスター スパイダー」とまったく同じである。