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第380回:新型「マツダCX-5」が狙ったモノ
ここでも見つけたマツダ理想主義!

2016.11.21 エディターから一言 小沢 コージ
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ロサンゼルスオートショー2016で発表された新型「マツダCX-5」。
ロサンゼルスオートショー2016で発表された新型「マツダCX-5」。拡大

マツダはロサンゼルスオートショー(開催期間:2016年11月14日~27日)で新型「CX-5」を世界初公開した。このクルマで表現していること、そしてそこに込められた思いを、自動車ジャーナリストの小沢コージが開発陣に聞いた。

ボディーサイズは全長4550×全幅1840×全高1690mmで、ホイールベースは2700mm(いずれも北米仕様開発目標値)。
ボディーサイズは全長4550×全幅1840×全高1690mmで、ホイールベースは2700mm(いずれも北米仕様開発目標値)。拡大
ボディーカラーも進化した。新色「ソウルレッドクリスタルメタリック」では、よりみずみずしく艶(つや)やかな透明感の表現を目指した。
ボディーカラーも進化した。新色「ソウルレッドクリスタルメタリック」では、よりみずみずしく艶(つや)やかな透明感の表現を目指した。拡大
左から、マツダノースアメリカンオペレーションズの毛籠勝弘社長兼CEO、マツダの丸本 明副社長、同じくマツダの前田育男常務執行役員。
左から、マツダノースアメリカンオペレーションズの毛籠勝弘社長兼CEO、マツダの丸本 明副社長、同じくマツダの前田育男常務執行役員。拡大

「魂動」デザインを熟成

「ヒトコトで言うとプレミアム化です」
とはマツダノースアメリカンオペレーションズの副社長、大塚正志さん。小沢はこの言葉を聞いた時、ハッキリと2代目CX-5の開発意図がわかった気がした。まずデザインが露骨に熟成の方向で来ていたからだ。

LAショーの前夜祭で、新型CX-5を初めて見た時、小沢は正直アレ、一体前とどこが違うんだ? と思ってしまった。もちろんよく見るとすべてが新しくなっていて、グリルはワイド化され、特に下唇が分厚くワイルドになってると同時に、ライトは薄く鋭くなってる。

なによりもプロポーションだ。タイヤの前後トレッドが10mm幅広くなってるのと、ビックリしたのはフロントピラーの位置が35mm後退していること。さらにグリルが露骨に逆スラント化してるから、ノーズはますますワシの鼻のように伸びてワイルド化。まさか室内スペースを犠牲にしてまでダイナミズム優先にするとは。確かに味濃くなってます。

それでいて全体はまさしくCX-5のイメージをキープ。明らかに熟成方向で、デザイン・ブランドスタイル担当の常務執行役員である前田育男さんを直撃すると、
「変化球を投げてるわけじゃありませんから。しっかり、現行型の“ポジティブテンション”がこの新型では“ネガティブテンション”になってるでしょう」

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ますます美しく成長していくデザインでありたい

さらにチーフデザイナーの諌山慎一さんにも聞いてみたが、
「新型を単なるアイキャッチにしたいわけじゃない。それとは逆の想いの方が大きいです。それよりとにかく飽きずに長く愛していただきたいと」

要はパッと見のインパクト以上に、何年も飽きない美しいデザインを目指したわけで、なにより面白かったのが小沢が「カーデザインってスーパーカーにせよ、実用車にせよ、古い方がカッコいいって言われる場合が多いですよね」と言った時だ。
「それはおかしいと思うんです。法律とか安全性能のために劣化していくのではなく、どんどん美しくなるカーデザインにしたいと」。

現実にはさまざまな要件で劣化していくデザインが多い中で久々のガンコな反骨精神。マツダ理想主義、ココにも見たりという感じだ。

それはインテリアもそうで、見たとたん欧州のプレミアムカーもかくやと思えるマテリアルクオリティーの高さと同時に、シフト面が高くなって一体感が増しているのに気づく。既にライバルは欧州車といわれるマツダだが、その方向は明らかに強化されている。

ついでにユニークなのはボディーカラーへのこだわりで、今回「ソウルレッドプレミアムメタリック」に代わる「ソウルレッドクリスタルメタリック」を新開発。先日発表された「マシーングレープレミアムメタリック」より発色が難しいそうで、塗装の乾燥の工程からして手間がかかるとか。

でもそういった細かいディテールにこだわってまで己の理想を追求するのが今のマツダ。2代目CX-5にもその体質は確実に反映されている。

ヘッドライトは天地に薄いシャープな形状へ。グリルはよりワイドになり、シグネチャーウイングをライトの下側に通すことで、横方向の広がりを強調した。
ヘッドライトは天地に薄いシャープな形状へ。グリルはよりワイドになり、シグネチャーウイングをライトの下側に通すことで、横方向の広がりを強調した。拡大
諌山慎一チーフデザイナー(左から2人目)と前田育男常務執行役員(同3人目)。
諌山慎一チーフデザイナー(左から2人目)と前田育男常務執行役員(同3人目)。拡大
インテリアでは理想的なドライビングポジションを追求し、フロアコンソールの高さを上げた。シフトセレクター(シフトノブ)の位置をAT車で約60mm、MT車で約40mm上方に移動し、操作性を改善させた。
インテリアでは理想的なドライビングポジションを追求し、フロアコンソールの高さを上げた。シフトセレクター(シフトノブ)の位置をAT車で約60mm、MT車で約40mm上方に移動し、操作性を改善させた。拡大

アメリカこそディーゼルが合っている

一方、中身というか走りだが、開発主査の児玉眞也さんによると、プラットフォームは基本旧型のキャリーオーバー。だが、前述の大塚さんいわく、既に北米市場で出ている全長5m超の大型SUV「CX-9」開発時に共有プラットフォームを大幅強化したとのこと。今回小沢も世界カーオブザイヤー試乗会でそこを実感しており、そのソリューションを新型CX-5に投入しているからボディーはムチャクチャしっかりしているというし、児玉さんも、「全体が1枚マスキングされたんじゃないかっていうくらい静粛性、乗り心地は良くなってます」と自信満々。シートにも新しいコンセプトを導入して、相当座り心地が良くなっているとか。

また今回の新型CX-5と同時に投入が決まった北米初のディーゼル仕様だが、「アメリカは日本以上に超渋滞しますが、絶対に止まらない。止まりそうで止まらずに突然加速したり速度を落としたり。そういうシーンにこそディーゼル。ディーゼルエンジンこそがアメリカ向きなんですよ」と大塚さん。実は軽油価格がガソリン価格より高かったりする北米。経済性というよりクオリティーアップのためにディーゼル投入を決めたのが真実なのだ。

それもこれもCX-5こそが今の絶好調マツダのスカイアクティブ革命の第1弾であり、象徴たる年間グローバル販売37万台の稼ぎ頭だから。そのうちの約4割が北米だそうで、そりゃコッチで頑張るっきゃないし、革命の手を緩めるわけにもいかないわけだ。

一見ビックリするほどの変化はないけど、確実に美しく、なおかつ全体的に濃くなってるって話のニューマツダCX-5。国内試乗が楽しみですなぁ。

(文=小沢コージ/写真=Victor Decolongon/Getty Images for Mazda Motor Co./編集=竹下元太郎)

新型ではAピラーの位置を現行型より約35mm後退させ、Aピラーとフロントアクスルの位置関係を適正化している。
新型ではAピラーの位置を現行型より約35mm後退させ、Aピラーとフロントアクスルの位置関係を適正化している。拡大
プレスカンファレンスではマツダの丸本 明副社長が登壇。北米市場への「SKYACTIV-D 2.2」の導入を発表した。
プレスカンファレンスではマツダの丸本 明副社長が登壇。北米市場への「SKYACTIV-D 2.2」の導入を発表した。拡大
プレスカンファレンスでスピーチするマツダノースアメリカンオペレーションズの毛籠勝弘社長兼CEO。
プレスカンファレンスでスピーチするマツダノースアメリカンオペレーションズの毛籠勝弘社長兼CEO。拡大
新型「マツダ CX-5」は日本では2017年2月に発売される予定。
新型「マツダ CX-5」は日本では2017年2月に発売される予定。拡大
小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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