第49回:謎のメチャ軽ステアリング(その1)
2017.07.11 カーマニア人間国宝への道赤い玉がコロン
恐ろしいほど軽いステアリング含め、すべてがとんでもなくスバラシイ赤い玉号こと「328GTS」だが、先日大事件が起きました!
なんと、本当に赤い玉が出たのです……。クルマではなく私に。
一応説明しておきますと、赤い玉(あるいは赤玉)とは、最後にコロンと出て「男の夜の方が終わる」といわれるモノです。もちろん民間伝承、あるいは迷信とでも申しましょうか。笑い話の類いだと思ってましたが、それが出たのです!
早朝4時頃。私はお小水がしたくなり、トイレに起きました。そして致したところ、最後の方で痛みを感じ、強烈な残尿感が。
寝ぼけまなこをこすりながら「これはおかしい」と思い、再度トイレに行きまして、座って致してみました。
するとなんと! お小水が真っ赤! しかも最後に赤い玉が3個もおぉぉぉぉぉぉ!
正確には玉ではないですね。小さな血のカタマリです。お食事中の皆さま、申し訳ございません。しかしこれを報告しないわけにはいかない。だって赤い玉号を買ったら赤い玉が出たんだから!
朝、ダッシュで病院に行って尿検査を受けた結果はぼうこう炎。抗生剤を飲んだら治りました。頻尿も残尿感も赤い玉も止まりました。
医学的には、加齢(55歳)と軽い熱中症で抵抗力が落ちていたことに原因があると推測されますが、なんにせよ赤い玉が出たことは事実。おそるべし赤い玉号のパワー……。私はいま、名実ともに赤い玉号に乗る資格を得た感動でいっぱいです!
フェラーリのタルガトップ最高!
その後赤い玉号で何度か首都高に出撃を試み、タルガトップをオープンにしてみました。
私は328GTSを買ったのはこれが2度目なのですが、前回は一度も開けなかったので(!)、初体験でした。
なんで開けなかったのかというと、若い頃の「ポルシェ911タルガ」(タイプ930)の体験から、「タルガトップを開けてもあんまり気持ちいい風は入ってこない」という思い込みがあったからです。いい風どころか乱気流が室内に入り込んで、目にゴミが入って参りました。
で、前のヨーコ様は黒だったので、黒いタルガトップがボディーに完全にマッチ。開ける必要をまったく感じないまま終わってしまったのです。
でも今度はボディーが赤。黒いタルガトップが見た目の調和を微妙に崩しているので、外したらもっとカッコいいんじゃないかと思って開けてみました。
やっぱメチャメチャカッコ良くなった! 外したタルガトップは、そのままシートの後ろに格納できるので、脱着は思ったより全然ラクだし。
で、そのままオープンで走ってみたら、ド早朝のサワヤカな風がソヨソヨと頰を撫(な)で、猛烈に気持ち良かったのです! うおー俺はこれを知らずに死ぬところだったのか!
もちろん、「F355」など、フェラーリのスパイダーの方が開放感ははるかに上だけど、タルガトップのGTSでも十分ウルトラ気持ちいい! 930タルガがダメだったのは、ベースの空力に無理があるせいだったのか! さすがフェラーリ様! フェラーリのタルガトップ最高! ポルシェと一緒にして申し訳ございません。
キャンバーに難アリ!?
スタイル最高、エンジン最高、サウンド最高、ミッション最高、タルガトップ最高。すべてが最高の赤い玉号だけど、やっぱりメチャメチャ軽いステアリングがちょっとだけ気になる。
軽すぎるせいでステアリングインフォメーションは限りなく乏しく、アクセル全開にするとフロント荷重が減ってほぼゼロになりコワイ。コワイところもフェラーリ的なのでそれは善しとしても、「なんでこんなに軽いのか」が気になる。なにせ、以前乗った328の3分の1くらいの手応えしかないので。
まず疑うべきはアライメントだろう。ただし、直進性自体はフツーにあり、「アライメントが狂ってる」という感覚は乏しい。ステアリングの手応えも、横Gが大きくなればそこそこ出てくる。
ところで、アライメントでステアリングが軽くなるとしたら、何がおかしいのか?
思い浮かぶのはキャンバーだ。車体を前から見て、タイヤがどれくらい「ハ」の字になってるかです。これが逆「ハ」の字、つまりポジティブキャンバーだとハンドルが軽くなるはず。赤い玉号の場合、ハンドルを切ると、ある舵角までハンドルが勝手に切れ込んでいくような感覚もちょっとある。
パワステがない時代は、ポジキャンにすることでハンドルを軽くしていたというし(※328はパワステなしです)、これはポジキャンに違いない!
アライメントを調べるには測定器がいるが、キャンバーだけなら分度器でも調べられるはず。私はスマホに分度器アプリをダウンロードし、角材を切って超原始的なキャンバー測定器を製作。赤い玉号のキャンバーを測ってみた。
結果は、驚くべきものだった……。
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第326回:三つ子の魂中高年まで 2026.1.5 清水草一の話題の連載。ホンダの新型「プレリュード」で、いつもの中古フェラーリ販売店「コーナーストーンズ」に顔を出した。24年ぶりに復活した最新のプレリュードを見た常連フェラーリオーナーの反応やいかに。
-
第325回:カーマニアの闇鍋 2025.12.15 清水草一の話題の連載。ベースとなった「トヨタ・ランドクルーザー“250”」の倍の価格となる「レクサスGX550“オーバートレイル+”」に試乗。なぜそんなにも高いのか。どうしてそれがバカ売れするのか。夜の首都高をドライブしながら考えてみた。
-
第324回:カーマニアの愛されキャラ 2025.12.1 清水草一の話題の連載。マイナーチェンジした「スズキ・クロスビー」が気になる。ちっちゃくて視点が高めで、ひねりもハズシ感もある個性的なキャラは、われわれ中高年カーマニアにぴったりではないか。夜の首都高に連れ出し、その走りを確かめた。
-
第323回:タダほど安いものはない 2025.11.17 清水草一の話題の連載。夜の首都高に新型「シトロエンC3ハイブリッド」で出撃した。同じ1.2リッター直3ターボを積むかつての愛車「シトロエンDS3」は気持ちのいい走りを楽しめたが、マイルドハイブリッド化された最新モデルの走りやいかに。
-
第322回:機関車みたいで最高! 2025.11.3 清水草一の話題の連載。2年に一度開催される自動車の祭典が「ジャパンモビリティショー」。BYDの軽BEVからレクサスの6輪車、そしてホンダのロケットまで、2025年開催の会場で、見て感じたことをカーマニア目線で報告する。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。









































