最後まで何が起こるかわからない

ラリーは金曜夕方に、ローマ市内の観光名所「真実の口」のそばからスタートした。警察車両の先導により、市内の観光スポットをパレード……というにはあまりに速いペースで巡る。SS1はイタリア文明宮前の広場に特設された特設コースで行われ、眞貝・ダニーロ組はクラス2位で初日を終えた。

明けて土曜からはフィウッジ周辺の山間部がステージ。山あいの街をつなぐ道がそのままコースとなるため、街中ではバールや民家の目の前をラリー車が全開で走り抜けるという、日本ではおよそ想像もつかない光景が繰り広げられる。WRCでも街中を通るステージはあるが、ここまでの規模は見たことがない。いずれにせよ、イタリア人がコーヒーやワインを飲みながらラリーを観戦しているのだから、盛り上がらないはずがないだろう。

こうした市街地コースもあるかと思えば、SSの中には道が細くて路面はバンピー、片側は谷でアベレージスピードがやたらと高いといった、性格の全く異なるステージも待ち受けている。かように変化に富んだラリーだけに、トップ選手も含めてクラッシュが続出。そんな中で眞貝/ファパーニ組は着実にSSをこなしていった。

これが海外3戦目となる眞貝は、地元勢と比べて圧倒的に経験が少なく、昨年はその焦りからコースオフ。マシンを傷めてリタイアを喫した。今年も思い通りに走らせられない自分にいら立ちを見せるも、ベテランのファパーニが眞貝をうまくコントロール。とにかく焦らず無理せず、確実にステージをこなすことに集中させる。経験豊富なコ・ドライバーの仕事ぶりには、チーム代表も全幅の信頼を置いていた。

眞貝が「ドライバーとしては全く納得のいかない走り」と語りながらもクラス3位で迎えた最終日。マシンのセットアップとタイヤ選択は、確実な完走を目標としたものだった。とはいえ、走りきることができたならば、最後の最後に何かが起こるかもしれないのがラリーというスポーツ。そして実際、それが最終ステージで起こってしまった。クラストップを走行していたエマ・ファルコンのDS3が、エンジントラブルでリタイア。最終ステージを走りきった眞貝/ファパーニ組がクラス優勝を飾ったのだ。

勝利にうれしさを見せながらも、思い通りにドライブできなかったもどかしさと、あらためて実感したヨーロッパ人ドライバーとの実力差について語る眞貝。今後は、日本のラリーとは全く異なる道や環境に慣れ、日本をベースに海外ラリーに参戦することの難しさを、いかに克服するかが課題となるだろう。とはいえ、眞貝の次戦は全日本ラリーの最終戦、新城ラリーである。ラリーの本場でクラス優勝を果たした眞貝がどのような走りを見せるか、ぜひ注目したい。

(文と写真=山本佳吾/編集=堀田剛資)

SS1に挑む「アバルト500R3T」。奥に見えるイタリア文明宮はムッソリーニ時代の建築物で、今はFENDIの本社ビルとなっている。
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アバルトユーザーの選手や関係者、ゲストのために設置された、アバルトのホスピタリティーブース。そこら辺のイタ飯屋よりもおいしい料理が提供される。クルーを送り出すと暇になるメカニックは、もっぱら昼寝か、こうしてゲームで時間を潰す。
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地元の人からしたら「自宅の前がステージ」なので、庭や窓から参戦する姿も見られる。筆者も、なぜか仲良くなった地元の名士(自称)だというおじさんにコーヒーをごちそうになりながら撮影を敢行。さすがに仕事なので、ワインのお誘いは丁重にお断りした。
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すべてにおいてプロフェッショナルだったコ・ドライバーのダニーロ・ファパーニ選手。なんと、世界で5番目の参戦数を誇るコ・ドライバーだとか。
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ラリーを終始リードするも、最終SSのエンジントラブルに泣いたエマ・ファルコンの「シトロエンDS3 R3T」。ちなみに、エマさんは1991年生まれの速くて美人な女性ドライバーである。
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最後まで走りきることが最も重要なこと。去年の反省を踏まえ、今年は絶対完走を目標にしたmCrtの眞貝/ファパーニ組。最後の最後にサソリの神様がご褒美をくれたのかも。
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