レクサスGS プレプロトタイプ【試乗記】
貴重なインパクト 2011.08.19 試乗記 レクサスGS350 プレプロトタイプ(FR/6AT)/GSハイブリッド プレプロトタイプ(FR/CVT)年明けの国内発売が予定される新型「レクサスGS」の、プレプロトタイプに試乗。その仕上がり具合をリポートする。
楽しみなスタイリング
「レクサスGSハイブリッド」でテストコースを走っている。ATシフターの後ろに設置されたダイヤルを回してスポーツモードを選ぶ。
「アレ?」。メーターナセルのなかを見て驚いた。向かって左のメーターが回転計に変わっている。それまでは、左下から上へ向かって円周上に「CHARGE」「ECO」「POWER」と目盛りが表示されていたのに、いまでは何の変哲もない(!?)タコメーターが、シレッと針を上下させている。レッドゾーンは、6600rpmから。
メーターをディスプレイに表示させるクルマが現れてから、ひとつのメーターに複数の役割を担わせるようになるとは予想していたが、なるほど、GSハイブリッドの切り替え方はうまい。機能に即しているうえ、自然に感じさせるところが、さすがはトヨタ由来のプレミアムブランドである。
2011年4月のニューヨークショーで、「レクサスLF-Gh」として新しいスタイリングを披露した新型「GS」。「スピンドルグリル」と仰々しい名前を付けてはいるものの、「レクサス版シングルフレーム」とでもいうべき顔つきに、少々危惧の念を抱いていたレクサスファンも多かったはず。しかし追って8月、テストコースを使って開催されたプレス向け先行試乗会で姿を現した(ほぼ)市販車仕様では、太いバンパーがグリルをしっかり上下に分けていた。デザイン的には多少テーマが弱まったかもしれないが、消費者目線では、むしろ安心できるフェイスとなった。
個人的に「いいな」と感じたのは、斜め後ろから見た姿。トランクの後端上部をちょいとつまんだような空力処理はしゃれているし、後方にボリュームの中心が置かれたキャビンのおかげで前のめり気味、低く構えていかにも走りだしそうな様子だ。スポーティ! ここかしこに振りかけられたジャーマンフレイバーが気にならないこともないし、今後のレクサスデザインを引っ張っていく存在なのに、「流行の後追いをするのはいかがなものか」と外野の気楽さで思ったりもするが、一方で、なんだか楽しみなスタイリングでもある。
新しい「レクサスGS」。ちょっとばかりフェンダーを広げてギラつく大径ホイールを履かせ、ペタペタに車高を落としたらカッコよさそうだ。フロントバンパーをマットブラックで塗って、スピンドルグリルをメッキで縁取りする……。そんなことを考えながら腕をさする人たちが出てくるに違いない。意気消沈気味なニッポンの自動車市場において、ニューGSのインパクトは貴重なものだ。
そのサイズにはワケがある
新型レクサスGSは、まずはV6モデルが「GS350」として、北米カリフォルニア、コンクール・デレガンスで有名なペブルビーチ・ゴルフコースの芝生の上でワールドデビューを飾った。
メインマーケットたる北米市場では4代目。日本では当初「トヨタ・アリスト」の名前で販売されていたから、レクサスGSとしては2代目となる。ハイブリッドモデルと3.5リッターV6の2本立て。現行モデルでラインナップされているV8モデルは、アメリカでも販売ボリュームが限られており、GSハイブリッドと「どちらがトップモデルかわかりにくい」という販売政策上の理由もあって、カタログ落ちする見込みだ。
ニューGSで特徴的なのは、全長×全幅×全高=4850(0)×1840(+20)×1455(+30)mmと、ボディサイズがほとんど変わらないこと。モデルチェンジのたびに肥大化していくクルマが多いなか、勇気ある判断だ。さらに、専用のフロアパネルを開発し前後ともトレッドを広げながら、「切れのある走り」「鋭さ」を維持するためあえて2850mmのホイールベースは変えなかった。フロントサスペンションはアルミ化されたダブルウィッシュボーン、リアのマルチリンクも新たに見直されている。
新しいシャシーのため、LDH(Lexus Dynamic Handling System)が開発された。ステアリングのギアレシオを可変化し、後輪のステアを能動的に行うシステムである。ハイブリッド、V6ともに用意されるグレード、「スポーツ」「ラグジュアリー」のうち、前者に搭載される。基本的に、80km/hまではリアタイヤがフロントと逆位相、それ以上の速度では同位相にステアされる積極的なもの。「究極の軽快感と安心感の両立を図った」と、GSの開発陣は主張する。
“味付け”もしっかり
V8モデルがなくなることで、名実ともに「トップ・オブ・GS」の座につく今回のハイブリッドモデル。世界初の量産FRハイブリッド車と話題になったシステムの基本はそのままに、各部がモディファイされた。モーターのリダクションギアは2段から3段となり、あたかもファイナルギアを変えるかのように、モードや走行状態に合わせた加速感の演出や燃費向上が図られている。
スターターボタンを押しても、エンジンはかからず、「READY」が表示されるだけ。静かなままスルスルと走り始め、やがてさりげなくエンジンがかかる。一番おとなしい「ECO」モードでも「オッ」と思わせるトルキーな動力系である。
モード切り替えダイヤルを下に押すとノーマルモードになる。ひねると「SPORT S」、続いて「SPORT S+」。前者はエンジンとトランスミッション、後者ではさらにステアリングの手応えが増し、足まわりがよりスポーティになる。
現行のハイブリッドモデル「GS450h」には、「加速がスムーズなのはいいが、実感がない」という感想が多く寄せられたという。今回、特に「SPORT S」モードにすると、加速時には定格電圧を上昇させてモーターのアシスト量を増やし、さらに電気CVTたるトランスミッションの特性を生かしてエンジン回転数を早めに引き上げることで、加速時の「ライブ感」を増した。ノーマルでもスポーツでも使える資源の量は同じなので、一定の速度に達するまでの時間は変わらないが、そこに至るまでの速度の上げ方に差をつけたわけだ。
テストコースでは、「SPORT S」モードにすると、100km/h前後からの加速が明らかに力強くなった。実際の路上では、アクセルペダルを踏んでから数秒間の速度上昇が大事だから、追い越し時に溜飲を下げるGSハイブリッドオーナーが増えそうだ。
一方、減速時には、エンジンブレーキを意識的に効かせるセッティングが施された。加減速時ともに、メリハリある運転感覚が得られるよう配慮されたGSハイブリッド。高速巡航が多いヨーロッパのユーザーにも、違和感なく運転してもらえるのではと期待が高まる。日米と比較していまひとつ評価が芳しくなかった欧州では、一部地域を除き、ハイブリッドモデルで勝負にでる。
「V8がわりのパワフルなハイブリッド」という役割に加え、現行モデルで聞かれる「意外に燃費が伸びない」という不満にも対応した。詳細はまだ明らかにされないが、「実用燃費でもモード燃費でも、かなりいい数字を出せそうです」と開発陣は自信を見せる。期待したい。
なお、GSハイブリッドは、GS350に遅れること約1カ月、2011年9月のフランクフルトショーでデビューを果たす予定だ。
(文=青木禎之/写真=小林俊樹)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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