日本ではなじみのないカンパニーカーという存在

もうひとつ、日本と欧米の都市部におけるクルマ事情の大きな違いは、カンパニーカーの存在だ。欧米企業では、中間管理職以上の幹部社員や役員に対する就業規定の一部として、通勤に利用する自動車を貸与する制度がある。これを一般的にカンパニーカーと呼ぶ。もちろん、週末に家族と一緒に出かける場合でも利用は可能だ。車種についても、幹部社員や役員なら、企業が設定する予算に応じて新車を選ぶことができる場合もある。

日本でもガソリン代や高速料金など、自動車に対する通勤手当はあるが、社長など経営陣の一部を除き、社員にクルマを丸ごと貸与するカンパニーカー制度を導入しているケースは稀(まれ)だ。一方で、欧米の都市部で目にする個人が乗る高級車の多くは、実はカンパニーカーなのだ。

昨今、都市部におけるクルマの話題というと、自動運転や通信によるコネクテッドサービスを使ったEVの活用など、ITを用いた革新的な技術が取りざたされることが多い。だが、そうした技術開発を進める上でも、現状における各都市でのクルマの使われ方を十分に理解する必要があるのではないだろうか。アメリカや欧州各国を巡りながら、あらためてそう感じた。

(文=桃田健史/写真=堀田剛資/編集=堀田剛資)

米ロサンゼルスの通勤渋滞の様子。この中にも、少なくない数のカンパニーカーが交じっているはずだ。
米ロサンゼルスの通勤渋滞の様子。この中にも、少なくない数のカンパニーカーが交じっているはずだ。拡大
個人所有に加え、レンタカーやカーシェアリング、カンパニーカーと、欧米ではさまざまな形の「人とクルマの関係」が実践されている。駐車場事情も含め、日本とはクルマとの付き合い方が大きく異なっているのだ。
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