ロータス・エリーゼ スプリント220(MR/6MT)
もはや伝統芸能 2018.05.19 試乗記 ロータスの軽量スポーツカー「エリーゼ」に、さらなる軽量化によって運動性能を高めた「スプリント」シリーズが登場。ファンにとって懐かしいモデル名をよみがえらせた新グレードは、どのような走りを見せるのか? 過給機付きの「スプリント220」で確かめた。23年の歴史を振り返る
ロータス・エリーゼもデビューからすでに23年がたつ。ロータスマニアの間では現行型は大きく“フェイズIII”と呼ばれており、今回のスプリントを含む最新2018年モデルは、そこにフェイスリフトを施されたタイプである。つまり、いうなれば“フェイズ3.5”とでも呼びたくなるエリーゼである。
ただ、単体で成立するランニングシャシーに、基本的に応力を受けない樹脂外板を組み合わせるロータスのような構造の場合、なにをもってモデルチェンジと定義するかは少しむずかしい。フロアと上屋が一体のスチールモノコック車体=一般的な構造のクルマなら、上屋のプレス部品の半数以上が変更されれば、それをもってフルモデルチェンジとするケースが多い。それをエリーゼに当てはめると、2001年登場のフェイズIIをフルモデルチェンジと考えることは可能だろう。
フェイズIIではエクステリアデザインが刷新されただけでなく、その外板の素材そのものも、従来のハンドプライFRPから金型成形のSMC(シート・モールディング・コンパウンド)に変わっている。当時はさらにエアコンの追加、サスペンションのジオメトリー変更、そしてスプリング/ダンパー/タイヤもすべて見直し……と、その変更点は多岐にわたる。いっぽうで、英MGローバー(当時)製のエンジンはそのままで、特徴的なサイドシルはわずかに低められたが、アルミのバスタブフレームの設計は基本的に変わらなかった。
以後、フェイズIIの途中には助手席エアバッグ標準化にともなうインテリア意匠の刷新、新設計シート(今も使われるProbaxシート)の採用、トヨタ製エンジンへの全面換装などが実施されるが、外板やシャシーへの変更はなく、“フェイズ~”の呼称はそのままだった。