第94回:依存症が止まらない
2018.06.12 カーマニア人間国宝への道黒ニンニクがないと生きていけない
不肖ワタクシもあと3年半で還暦。おじいちゃんでちゅ。
すでにその兆候はビンビンに出ている。いろいろなモノの依存症なのだ。
私の最大の依存ブツは『熟成爆砕製法 大地と技が育てた 黒にんにく』というサプリです。これがなくては生きていけません。いや、ホントに生きていけないかどうかはわからないが、気分的には。
このサプリとの出会いは劇的でした。
以前の私は、ものすごく疲れやすい男でした。例えば、立食パーティーで立っていられない。立ってるだけで疲れて疲れてどうしようもない。スポーツ観戦やコンサートでピョンピヨンとびあがり続けるなんて考えられない。Jリーグファンの皆さまの映像を見るたびに、「この人たち、なんでこんなに元気なんだ……」とあきれるしかなかった。オマエらはバケモノか! と言いたかった。
そんな疲れやすい私が、40代のある日、焼き肉の際ににんにくホイル焼きを大量に食べました。するとあら不思議。その翌日、立っていても疲れなかったのです!
「オレ、ひょっとしてにんにくで元気になれるのか?」
そう思ってネットを検索し、このサプリを購入。毎日3粒飲み始めたところ、見ちがえるように元気になったのです!
以来十余年。もう立食パーティーでも立っていられます! 立食パーティーなんてめったにないけど。
サプリの広告によく「この1粒で生まれ変わりました!」みたいなのがあるけれど、私はマジで黒にんにくで生まれ変わったのです。ありがとう黒にんにく! という体験談で広告に登場したいくらいです。
クルマがないと生きていけない
依存ブツその2は、ヨーグルトだ。私は青年期以来40年間くらい、ずっと腸の不調で悩んでおったのですが、数年前に『大便通』(幻冬舎新書)なる名著に出合い、本に書いてある通り毎日ヨーグルトを食べるようにしたところ、腸の調子が劇的に向上! もはやヨーグルトを食べないと生きていけないカラダになりました。ありがとう辨野義己先生! (本書の著者)
その他の依存ブツには、スマホや目薬や爪切り、コーヒーといったものがあります。以前は耳かきもそうで、毎日数回耳かきで耳そうじをしないと耐えられませんでしたが、いよいよ耳の穴から血が出そうな感じがしたので、一念発起、禁耳かきを実行し、脱却に成功しました! ヤッタ~。
依存ブツというものは、実はなくても大丈夫なのかもしれないけど、精神的に依存していて、ないとダメに感じるもの。思えばクルマもそのひとつなのかもしれない。いや、確実にそうだろう。
私は、クルマがないと生きていけない。まぁ実際クルマでオマンマを食ってるので、ないとかなりキビシイですが、自動車評論家で自家用車を持ってない人も実在する。
12年間対談の連載を続けた故・前澤義雄氏はそのお手本で、箱根の試乗会にも、新宿からバスに乗って来場していた。なくてもなんとかなるのだ!
でも、私はないと生きていけない。それも複数台。だって1台だけだと飽きちゃうから。長年複数台所有を続けてきたせいか、1台じゃ絶対マンゾクできないカラダになってしまいました。
ACCがないと生きていけない
自動車ライターをやってると、取材ということでいろいろなクルマをお借りすることができまして、実際ほぼ常になんらかのクルマのテストをされている方もいらっしゃいますが、私はソレではダメです。人のクルマじゃ決してマンゾクできない。常に複数台の自家用車が必要。明らかに依存症です。
なにせ1台はフェラーリが必要なので、フェラーリだけで生きていけるはずもなし。つーかフェラーリはめったに乗らないので、フェラーリ以外に2台クルマが必要なのです。
現在は「BMW 320d」と「DS 3」がソレですが、320d購入の際にこだわったのは、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)。これが人生初ACCでした。
ACCとは実に便利でカイテキなものでして、今はもうACCがないと生きていけない。もはや黒にんにくやヨーグルトと並び、ACCは私の人生の必需品だ。
「うわ、また依存ブツが増えた~」
内心ガクゼンとする思いでした。背負うものが増える一方じゃねぇかオレ。
もっと自由でいたい! もっとワイルドに生きたい! その思いはつのるばかりでした。
そんな思いから、髪を洗うのを1週間に1回にしよう! と決めました。
作家の五木寛之先生は、3カ月に1回しか髪を洗わないという。髪を洗わないおかげで、80歳を過ぎた今でも先生の頭は超フッサフサ。スバラシイ! 五木先生最高! オレも五木先生を目指すぞ! 取りあえず1週間に1回だ!
そう思ったのですが、ムリでした。昨冬は5日に1回までがんばってみたのですが、春になり気温が上がるにつれキツくなり、今では2~3日に1回も洗ってしまっています。五木先生申し訳ございません。
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。