第546回:国内デビューまであとちょっと!?
デトロイトでベールを脱いだ“最新鋭レクサス”に注目せよ
2019.01.23
エディターから一言
拡大 |
アメリカ・デトロイトにおいて新型「スープラ」を披露したトヨタ。一方で、レクサスブランドからも注目のニューモデル2車種を発表している。その開発のねらいについて、関係者に聞いた。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
すぐ売れそうな完成度
長らく毎年1月に開催されていた北米国際自動車ショー(NAIAS)=デトロイトモーターショーは、2020年から6月開催に変更になる。最後の冬か……と感慨深いその地で、レクサスは2つのワールドプレミアを仕込んでいた。
ひとつは「LCコンバーチブルコンセプト」。コンセプトとは、これいかに? というほどトノカバーまわりの作り込みはしっかりしており、浮世離れしたディテールはといえば、サイズ不明のブリヂストン製タイヤを履いた足まわりくらいだろう。
「タイヤはサイズやスペックを記していませんが22インチのものを履いています。クーペの『LC』は21インチが最大になりますが、このサイズを履くか否かも含めて、市販にまつわる話というのはまだほとんど決まっていないんです」
現在はレクサスインターナショナルのエグゼクティブバイスプレジデントを務める佐藤恒治さんは、クーペ版のLCのチーフエンジニアを務めた経験を持つ。ではLCの屋根を切るという企ては、開発のどの時点から生まれたものだろうか。
「僕らが『LF-LC』というコンセプトカーを出したのは12年のNAIASです。そこでの大評判が追い風となってLCを造ることになった。そんな背景もあってデトロイトには縁のようなものを感じています。で、LCについてはもちろんクーペを開発している最中にもコンバーチブルの想定はありました。このセグメント、アメリカでは約半数が屋根開きですから、造らないことが不自然と言っても過言ではありません」
クーペのLCとは異なるテイスト
そんな背景もあってのことだろう、LCコンバーチブルコンセプトは明日発売されてもまったく不自然ではないほどにディテールの隅々までしっかりと作り込まれている。唯一、判然としないのは屋根の形状だが、チーフデザイナーの森 忠雄さんはほろ屋根を前提にしていることを教えてくれた。
「このクルマを横からみていただけると気づくのではと思うのですが、リアのトノカバーからトランクフードにかけてのシルエットが立体的にキックアップしてるんです。普通ならベルトラインに沿ってフラットに仕上げたくなるところですが、LCはクーペでもCピラーをブラックアウトして屋根をフローティング的にみせるデザインになっていますから、そのイメージをコンバーチブルにも引き継ぎたかった。この処理によって2+2の後席部もヘッドレストが目立たない仕上がりになりますし、走行風の“いなし”という点でも効果が発揮されます」
現在は立体的な形状のトノカバーからつながる屋根の形状をどう表現するかも含めて検討している項目が多いが、ほろを上げた姿はノッチバック的になるというから、クーペのLCとはちょっと異なるテイストのラグジュアリー感が醸し出されることになるだろう。もし、さらにライバルと異なる個性を押し出そうという話になれば、ストロングハイブリッドの「500h」が前面に出てるのもいいかもしれない。
そうこうしているうちにLCそのものがマイナーチェンジを迎えるかもしれないという話に対して佐藤さんは、クーペ側の熟成にもマンパワーを奪われているものの、とにかくスピード感をもって発売の可否判定にあたりたいとおっしゃっていた。個人的には9割以上の確率で市販化されると思う。
「Fとはなにか?」の再定義
一方の「RC F」は、既に発売されているモデルのマイナーチェンジ版。普通の「RC」は2018年秋にマイナーチェンジが施されており、見た目はシンプルに走りは濃密に……と、理想的かつ大幅な変化を遂げているという。
「レクサスの多くのプロダクトには“Fスポーツ”という標準車の派生グレードがあって、一部のモデルではその上に“F”があるわけですけれども、このキャラクターについて、どうも伝えきれていないという反省があります。加えてレクサスらしい走りとは? と問われると、作り手の側も即答が難しいという課題がある。そこで、なにはともあれFのダイナミクスを再定義することがレクサスの走りのデザインを語るにおいても必須だろうということで、弦本にそれを託しました」
そう語る佐藤さんに続けて、RC F主査の弦本祐一さんが話す。
「すっきりと奥深い走りというキーワードをレクサスは掲げていますが、そのリファレンスとしてRC Fを位置づけるべく、まずこだわったのは軽量化です。新しいRC Fでは、よりサーキット走行寄りにフォーカスしたトラックエディション“パフォーマンスパッケージ”も設定しましたが、そちらでは直近のRC Fに対して70kg減量しました」
その内訳は標準装備となるカーボンセラミックブレーキシステムで22kg、タイヤ&ホイールで3kgなど、バネ下だけで30kgあまりに及ぶ。加えてパネル類やリアカウルブレースのカーボン化や、部品造作の細かな見直しを積み重ねての数字だという。
「細かいところではリアシートのカップホルダーのふたを排除するなど、結果的に無駄な装飾になっていたところも改めています。あと、バンパーレインフォースを小さくしつつ、カーボンの補強材を貼ることで従来と同様の剛性を確保したりと、Z軸から遠いところの部品も細かく見直しました。結果、基準車でも20kgの減量を達成しています」
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
200km/hからが違う
ちなみに標準車とトラックエディションのサスは、コイルやスタビライザーなどの金物は同じで、AVSダンパーのセッティングは異なっているという。加えて、ブッシュやマウント類を固めることで応答遅れや動き待ちなどのわずかなラグを大幅に詰めるにいたったそうだ。
「街乗りからサーキット走行までをシームレスにつなぐというコンセプトに変わりはありません。ゴムものは締めましたがバネ下がぐっと軽くなってますので乗り心地に関しても先代と同等以上と体感してもらえるものと思っています。そしてもうひとつこだわった大きなポイントは空力特性の最適化です」
マイナーチェンジ版RCのデザインに関しては、前後バンパーや車体側面の形状、ボディーパネルのプレスにいたるまで空力要件を評価部門が算出した上で、デザイナーがそのデータを最優先するかたちで形状を練り直していったという。加えてRC Fではバンパーにカナード形状を内包することやサイドスカートの後端にえぐり取るような形状を加えたりと、レースの経験で培ってきたディテールを随所に盛り込んでいる。
「200km/hを超えて250km/hくらいにいたるところのスタビリティーは相当改善されました。先代をご存じであれば、フロントリフトを抑えたペタッと路面に張り付くような安心感を実感していただけると思います」
わずかながらの動力性能向上とVSCとの連携による、駆動配分の緻密化を伴ってのローンチモードの採用などもあって、パフォーマンスパッケージでは0-60マイル(約96km)/h加速が4秒を切るというアメリカ的なハイパフォーマンス評価のハードルをクリアしたRC F。日本での発売は2019年5月を予定しているという。
(文=渡辺敏史/写真=佐藤靖彦、トヨタ自動車/編集=関 顕也)

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
-
第876回:“ヨコハマ史上最高”が目白押し SUV向けスタッドレスタイヤの新製品「アイスガード8 SUV」を試す 2026.10.2 2026年9月1日に販売が開始された横浜ゴムのSUV用スタッドレスタイヤ「アイスガード8 SUV」。従来製品との比較で氷上性能を14%、雪上性能を4%、耐摩耗性能を11%アップさせたというその実力を、一足先に冬のテストコースで確かめた。
-
第875回:キモは氷上性能! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「ウインターマックス アイスプロ」を試す 2026.7.1 違いは氷の上で表れる! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX ICE-Pro(ウインターマックス アイスプロ)」に、冬の北海道で試乗。氷上性能を徹底的に追求したという新製品の、パフォーマンスの一端に触れた。
-
第874回:自動運転からワイパーまで! 自動車を支えるメガサプライヤー ボッシュのあくなき挑戦 2026.6.27 世界屈指のメガサプライヤー、ボッシュが開発中の新技術を披露! 市街地での高度な運転支援技術に、日本の方言にも対応した対話型AI、サーキット走行のノウハウを教えてくれるコーチング機能等々……興味深いその中身をリポートする。
-
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す 2026.6.19 2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。
-
第872回:「フォレスター」がJNCAPで最高評価を獲得! “安全”に対するスバルの不断の取り組みに迫る 2026.6.6 相対速度100km/hの衝突後でも、普通にドアが開く!? 人気のSUV「スバル・フォレスター」が、日本の自動車アセスメントで最高評価を獲得した。安全なクルマづくりを第一とするスバルの取り組みを、群馬製作所で行われた衝突試験デモの様子とともにリポートする。
-
NEW
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
NEW
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
NEW
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。 -
「BYDラッコ」「スズキeスカイ」登場で卍どもえに 軽乗用BEVの覇権はどこが握る?
2026.10.14デイリーコラムこれまで「日産サクラ/三菱eKクロスEV」と「ホンダN-ONE e:」のみだったところに「BYDラッコ」と「スズキeスカイ」が加わり、軽BEV市場がにわかに盛り上がりを見せている。どれもほぼ同じ床面積を持つBEVだが、比べてみるとその中身は結構違う。今後の覇権を握るのはどの陣営か。















































