第550回:レースで活躍した「サニー」が復活
名車再生クラブの取り組みを振り返る
2019.02.10
エディターから一言
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サーキットで活躍した名車「日産サニー1200 GXクーペ」を再生させた、名車再生クラブ。日産および関連会社の有志によって構成され、往年の日産車を“手弁当”でレストアする同クラブの取り組みを、2018年度の活動を通して紹介する。
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復活を遂げた鮮やかなオレンジの「サニー」
神奈川・厚木にある日産テクニカルセンター内のとあるビル。ゲートを抜けて正面のエスカレーターを上った先、吹き抜けのスペースに数台のクルマが並んでいた。平日は日産自動車やその関連企業、サプライヤーなどの人々でにぎわっているのだろうが、取材に訪れた2月2日は土曜日。休日ということもあり、明かりは落とされ、ひっそりとしている。並べられているのは、昨年(2018年)最も数多く売れた登録車である「ノート」や、「リーフ」「エクストレイル」といった日産の人気モデルだが、その端に、小さいけれど鮮やかなオレンジ色のボディーカラーで存在感を示すクルマがあった。それが1972年式「サニー1200 GXクーペ TS仕様」。この日の取材の主役だ。
日産の社内クラブに「名車再生クラブ」がある。座間(日産自動車座間事業所)に収蔵されている往年の日産車を、1年に1台ずつ(2011年のみ2台)就業時間外にレストアしてゆく有志のクラブだ。2006年の発足以来、これまでに延べ13台をレストアしてきた。毎年、12人のコアメンバーが有志を募り、今回も80人ほどが参加したという。2018年度の活動は、同年5月26日のキックオフ式に始まり、車両のレストア作業、12月1~2日に開催された「NISMO FESTIVAL」での完成車のお披露目を経て、今回取材した2019年2月2日の「再生完了宣言式」で終わる。
明かされる驚きのエピソードの数々
「これをもちまして、再生は完了しました」というクラブ代表・木賀新一氏の宣言を見守ったのは、われわれ取材メディアとクラブのメンバー約50名である。またその後には、車体やエンジン、ブレーキ、電装系など、担当部署ごとのレストア作業の報告が行われた。
報告は、「5段トランスミッションが売りのクルマなのに、なぜか4段が載っていた」「LSDが破損していたので、部品を図面から起こして作り直した」「フロントスポイラーがアルミのたたき出しであった」「初めて見るブレーキキャリパー方式だった」「軽量化のために車体の内側のあちこちが大胆にカットされていた」「ドアのゼッケン用の白いサークルのサイズが左右で違った」「フロントガラスのウェザーストリップの取り付けが古いやり方で、知っている人が1人しかおらず、専用工具もその人の個人のものしかなかった」など、驚くような話が続出。またNISMO FESTIVALでのサーキット走行を車内で撮影したオンボード動画の上映も行われた。復活したサニー1200 GXクーペは、ストレートエンドで車速が190km/hに達するなど、レーシングカーならではの走りを見せてくれたのだ。
日本のモータースポーツ史を彩る名車
「NISMO FESTIVALでは、年配の方から若い方まで、非常に多くの方に声をかけていただきました。『昔、このクルマに乗っていたんだよ』『うちにサニーがありました』と。よく考えてみれば、日産の最量販時期のモデルなんですよね。昨年にノートが48年ぶりに(登録車の)販売台数No.1を獲得しましたが、その48年前っていうのが、このサニーですから(笑)」とクラブのメンバーが語る。
ちなみに、日本のモータースポーツ史においてプライベートチームやチューナーを育てたのも、このサニーと言っていいだろう。1960年代のレースは自動車メーカーによるワークスの戦いであったが、オイルショックで各メーカーは撤退。1970年代のレースはプライベーターが戦う場になり、そこで有力なモデルとして使われたのがサニーだったのだ。「現在の日本のレース界の基礎を築いたクルマでしょうね」と、ゲストとして参加していた日本MS推進機構理事長の日置和夫氏も言う。
レストアされた車両は、この後、座間にある日産ヘリテージコレクションに移される。インターネットで予約すれば誰でも見学は可能なので、気になる人はチェックしてみよう。
(文と写真=鈴木ケンイチ/編集=堀田剛資)

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
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