第4回:まさにクルマは“お国柄”を映し出す鏡?
輸入車チョイ乗りリポート~アメリカ&スウェーデン編~
2019.03.02
JAIA輸入車試乗会2019
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輸入車の祭典「JAIA合同試乗会」の会場から、webCGメンバーが注目のモデルをご紹介! 第4回は、片や大排気量V8で片やフルEVという両極端なアメリカと、北欧はスウェーデンの合同編。「シボレー・コルベット グランスポーツ」「テスラ・モデルX P100D」そして「ボルボXC40 T4モメンタム」の走りをリポートする。
こんなクルマは他にない!
シボレー・コルベット グランスポーツ……1120万2500円
私見で恐縮だが、コルベットのレビューはスゴく書きやすいと思う。こんなクルマ、他にないからだ。このクルマだけは目隠ししてても、エンジンをかけた瞬間に「あ、コルベットだ」(ニヤリ)って分かる。ニブい記者でも分かる。
なんせにぎやかなのだ。6.2リッターという大排気量、OHVのカム駆動、大量の空気を飲み込み、吐き出すことで生まれる脈動感。エンジンはアイドリング中も車体を揺さぶり、お出掛けに向け高まる期待をわっふわっふと訴えてくる。低速でちょこちょこ動けば、ステアリングをバキバキ言わせて不満を猛アピール。そんなこんなで、オーナーはありがたくも四六時中「コルベットを運転していること」を実感させられる。そういうクルマに乗っているという手ごたえは、お値段3倍のスーパーカーより、むしろこっちの方が強いと思う。
そのくせ、ひとたび走りだすと意外やそのマナーは洗練されてて、ドライブモードを「エコ」や「ツアー」にしておけば乗り心地は実にソフト。トルコン式ATの恩恵で、走りだしや微低速時の変速マナーも、ライバルのDCT勢より明らかにスムーズだ。魅力&個性あふれるエキゾーストサウンドも、下手なことをしない限り音量は常識的。低回転域からモリモリ湧き出すトルクもあって、街中でも「LT1」の滋味深いエンジンフィールをじんわり楽しめる。周囲を威嚇しないと交差点すら渡れないようなクルマとは、そこが違う。
この価格帯のクルマになったら、踏んだら速い、踏んだらキモチイイは当たり前。踏んでショボいスーパースポーツとか見たことがない。だからこそ、大事なのはそれ以前の領域でどれだけ豊かな時間を与えてくれるかだと思う。昨今は高級車然としたマナーでもって応えるのがトレンドのようだが、多少煩わしくともサービス精神旺盛に迫ってくる、大型犬みたいなキャラクターも大アリだろう。いやあ、大好きですわ。コルベット。
(文=webCG ほった/写真=田村 弥)
いつか夢見た未来のクルマ
テスラ・モデルX P100D……1780万円
ファルコンウイングがゆっくり羽を広げると、光を放つように真っ白な独立型シートが姿を現す。この様子を見たときに頭の中を駆け巡ったのが、映画『2001年宇宙の旅』のテーマ曲『ツァラトゥストラはかく語りき』だ。そして、「降り立ったのは宇宙人だった!」とは続かないものの、このクルマを含めテスラ車が私たちに与えたインパクトは、それぐらい大きなものだったと思う。
室内は、いつか夢見た未来のクルマ、といった感じだ。フロントウィンドウが運転席頭上まで広がり、開放感抜群。パソコン画面がドーンと置かれたようにレイアウトされた17インチの大型ディスプレイでは、地図表示や車両設定など、運転以外のほぼすべての操作が可能。クルーズコントロールにオートステアリングをプラスした「オートパイロット」もテスラ車の大きな魅力となっている。この万能感は今まで体験したことのないものだ。
運転してみると、万能感にさらに拍車がかかる。発進時からの加速力はすさまじく、2.5t弱ある車重をまったく感じさせない。スポーツカー並みの俊敏性にも度肝を抜かれっぱなしだ。ただ、この万能感には、人間が御せない部分への恐れも同時に感じられる。事実、自分の操作以外のところで、クルマが突然不可思議な動きをするシーンに遭遇したこともあった。完全自動運転への進化の過程とはいえ、安全第一であってほしい。
まだまだ課題はあるものの、モデルXのようなクルマを世に送り出したテスラの功績は大きい。あいまいだけれど、イメージとして持っていた“未来のクルマ”を、いち早く作り、目にモノ見せてくれたのだから。あ、まだ空は飛んでいないけれど、ね。
(文=スーザン史子/写真=峰 昌宏)
選ばれるにはワケがある
ボルボXC40 T4モメンタム……439万円
1年前にデビューしたとき「これは欲しい!」と思ったXC40だけれど、日本カー・オブ・ザ・イヤーの受賞もあってか、いまやすっかり品薄に。すぐ注文したところで納車10カ月待ちの人気ぶりという。
聞けば、購入者の多くは40代後半から50代。“ボルボのエントリーSUV”とはいえ、スズキの「クロスビー」や「ジムニーシエラ」を2台買ってもお釣りがくる価格となれば、ヤングファミリーからも引く手あまた! というわけにはいかないのだろう。ただ、ボルボの中で最も女性比率が高い(約20%)のは、“カッコかわいい”このクルマならではの特徴といえそうだ。
インテリアは、誰からも「おしゃれ」と喜ばれるはず。イケアや無印良品のアイテムを連想させる(と言うとボルボはイヤな顔をするだろうけど)、すっきりとしたイヤミのない室内は、ありそうでなかなかないものだ。一見シンプルなようだけど、さまざまなポケット類や、さりげなく配された荷掛けフックに気づくたび、考え抜かれた機能性にも感心させられる。後席も広いし(163cmの筆者だとニールームは20cmほど)、荷室だって申し分ない(フロア実測:幅100×奥行き88cm)。
フットワークのよさも、XC40のいいところ。パワーユニットは「T5」(最高出力252ps、最大トルク350Nm)と「T4」(同190ps、同300Nm)の2本立てだが、控えめな後者でも十二分にパワフル。軽めのステアリングフィールと相まって、気軽にあちこち出掛けたくなってくる。そこに「運転支援システムてんこ盛り」とくれば、選ばない理由はもはやない。
でも、車幅が1875mmもあるし……車高は立駐オーバーの1660mm。これでコンパクトSUVなんて言っていいの!? ツートンカラー(+6万6000円)にパノラマルーフ(+20万6000円)と、あれこれ選べば500マン超えそうだし……。な~んて、筆者のようにブツブツ言っていると、納期はますます遠くなる。あーあ、もう。
(文=webCG 関/写真=田村 弥)

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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