第575回:イタリアのコンパクトSUVで試す
コンチネンタルの最新タイヤ「エココンタクト6」の実力
2019.06.18
エディターから一言
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ドイツのコンチネンタルタイヤから、第6世代の最新エコタイヤ「エココンタクト6」が登場。低燃費タイヤでありながら、高いコンフォート性能も特徴とされる新製品の出来栄えを、長年にわたりwebCGの社用車として活躍してきた「フィアット・パンダ4×4」で試す。
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エコはもちろん、最高レベルのウエット性能も特徴
webCG編集部の社用車として全国の取材地を駆けまわり、今はスタッフであるW女史の愛車へと退役(?)した、フィアット・パンダ4×4。このパンダ号のタイヤが、独コンチネンタルの最新エコタイヤ、エココンタクト6となったというので、イタフラ車&タイヤマニアである筆者がインプレッションさせてもらうこととなった。
まずは、このタイヤの素性からご紹介しよう。エココンタクト6は、コンチネンタルのラインナップの中でも経済性と環境性能に比重をおいて開発された商品である。よって、日本でのサイズバリエーションも14インチから18インチまでの全31種類と幅広く、当たり前だが、今回パンダに装着された175/65R15もその中にある。ちなみにエココンタクト6は、現行フィアット・パンダの標準装着タイヤでもあるようだ。
エコロジカルなタイヤがプライオリティーをおくのは、当然ながらまず燃費性能だ。その上で相反する走行安定性、特にウエット性能を高めることが、技術の見せ所となっている。ただ、今回の撮影は“アメフラシ”として知られるAカメラマンだったものの、天候は残念ながら(?)曇りだったこともあって、ウエット性能は確認できなかった。
しかし、データ的には28サイズ、40アイテムが欧州タイヤラベリング制度の「ウエットブレーキ性能/転がり抵抗」評価で、最高グレードとなる「A/A」を獲得しているというから、欧州ではその性能は“折り紙つき”ということなのだろう。日本で発売される31サイズにおいても、13サイズが欧州基準での「A/A」となっている。
日常の足として好適なコンフォート性能
さて、そんなエココンタクト6とパンダ4×4の組み合わせはどうだったのか? というと、まずその“平和なハンドリング”が何より印象的だった。
走り始めからエココンタクト6にはほどよい剛性が感じられ、これが高速巡航時でも素直に持続する。路面のアンジュレーションでタイヤが変形しにくいから、直進安定性が得られる。重量も適度に抑えられているのか、バネ下のバタつきがほとんどなく、凹凸を乗り越えた際の収まりもよい。
こうした適度な剛性感に対して、コンパウンド(ゴム)のグリップ感はサラッとした印象だ。操舵に対して過敏に反応しないのが、毎日のアシとして好ましい。そして、抵抗感なく、よく転がる。総じてバランスのいいコンフォート性能が備わっており、それを“平和”と感じたのである。
ただ、こと今回の試乗車であるパンダ4×4との相性に関して言えば、ちょっとアジリティーが足りない印象も受けた。例えばワインディングロードでは、結構ステアリングを切り込んでやらないとグリップを引き出すことができない。これは、パンダ4×4が意外や本格SUVだからという点もあるのだろう。ややたっぷりめに取られたサスペンションストロークと、ソフトなスプリングやダンパー剛性によって荷重がタイヤに移るスピードが遅くなるため、ハンドル切り始めの反応を若干ダルに感じるのだ。したがって、このクルマではもう少し柔らかいタイヤの方がハンドリングの初期応答性はよくなると思われる。
もちろん、ロールが深まり、きちんと荷重がかかった状態に至れば全く問題はない。エココンタクト6はしなやかかつシッカリと、背の高いパンダ4×4のコーナリング姿勢を支えてくれる。
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試乗車がもし普通の「パンダ」だったら……
ところで、このエココンタクト6のトレッドパターンには、面白い技術が盛り込まれている。トレッド面を支えるリブが、コーナリング時に踏ん張る側(つまり外側)が丸みを帯びたエッジとなっているのだ。このシェイプは、タイヤがたわんだ際のエッジの巻き込み変形(ロールイン)が小さく、直角なエッジよりも本来持つ接地面積をより多く確保できるのだという。また、サイプ(トレッド部に刻まれる細かい溝)の一部でもエッジが“面取り”されており、ブレーキングやコーナリングにおけるエッジのロールインを防いでいるという。
こうしたトレッドパターンの特徴からみても、もし今回の試乗車がFFの“普通のパンダ”なら、穏やかながらも適度にイタリア車的な初期操舵レスポンスをもって、エココンタクト6のグリップ性能をいち早く引き出せたのではないかと思う。
まとめると、コンチネンタル・エココンタクト6は、非常に運転しやすいタイヤである。今回はパンダ4×4が相手だったため、やや操舵初期応答性が鈍く感じられたが、気になったのはその程度。エココンシャスなコンパウンドを使いながらも、その構造でグリップを上手に引き出した製品と言えるだろう。
加えて言うと、操舵初期応答性がややダルになる傾向は、エココンタクト6に限らず現代のタイヤにおいて大なり小なり共通する特性でもある。なぜなら、一部の特殊なサーキットタイヤ以外、どんなタイヤもいまや環境性能を無視できない状況になっているからだ。
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これからのタイヤ開発に求められるもの
ここから先は、ちょっとエココンタクト6そのものの話から脱線してしまうが、どうかお付き合いいただきたい。これからのタイヤのあり方とアナタのタイヤ選びにとって、大切なことだからだ。
転がり抵抗を抑えることは、すなわちタイヤを変形させないこと。変形に際して発する熱=エネルギーロスだから、おのずとタイヤの剛性は高めになる。そうなると荷重移動量の少ない領域ではことさらタイヤがたわみにくくなり、ドライバーが感じ取るインフォメーションは薄くなる。それでも、プレミアムスポーツタイヤなどはコンパウンド性能が高いから、低速域での手応え自体は薄いのに、クルマが勝手に曲がっていく場合があったりする。レールの上をトレースするようなコーナリング感覚だ。
こうした初期から過渡領域における特性を、いかに人の感覚と近づけていくかは、どんなタイヤにとっても今後の課題になるだろう。いまは厳しい環境性能要求を満たすことが最優先課題となっているため、多くのタイヤがややエコに寄り過ぎてはいる。これまでのタイヤの進化が“低転がり抵抗偏重”から“ウエット性能との両立”へと発展していったように、最終的には自然なハンドリグを得ることも重視されていくはずである。
だからこそ読者の皆さんには、ラベリングばかりにとらわれず、自分が「運転しやすいな」という感覚を大切にしてタイヤを選んでほしい。いま履いているタイヤの「ここは好き」「ここは嫌い」という感覚を意識して、次のタイヤ選びに生かしてほしいと思うのである。ドライバビリティーは安全運転に直結する。燃費ばかりを意識していてクルマをぶつけてしまったのでは、そちらの方がよっぽど不経済なのだから。
(文=山田弘樹/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)

山田 弘樹
ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦経験をもつ、実践派のモータージャーナリスト。動力性能や運動性能、およびそれに関連するメカニズムの批評を得意とする。愛車は1995年式「ポルシェ911カレラ」と1986年式の「トヨタ・スプリンター トレノ」(AE86)。
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