第138回:検証! 失敗続きのタイヤ選び
2019.07.23 カーマニア人間国宝への道プライマシー3をメルセデスで試す
3カ月ほど前、当連載の第131回で「失敗続きのタイヤ選び」という記事を書きました。愛車の「BMW 320d」(5年落ち)のタイヤを交換するにあたって、せっかくだから純正(ブリヂストン・ポテンザS001ランフラット)とは別の銘柄にしてみようと、4本11万4000円にて「ミシュラン・プライマシー3ランフラット」を購入したところ、信じられないほど腰砕けになり、真っすぐすら走ってくれなくなった……という話でした。
プライマシー3のランフラットは、BMWではなくメルセデス承認。私が買った225/50R17は、「Cクラス」に装着されているらしい。
BMWに履かせたらこんなにメロメロになっちゃったタイヤで、メルセデスは大丈夫なのか? 個人的には、私が買ったタイヤの個体だけが欠陥品なのではないかとすら感じたが、とにかくメルセデスだったらどうなのかを確かめなければ! と思い立ちました。
そこで、メルセデス・ベンツ日本広報様に調べていただいたところ、ミシュラン・プライマシー3ランフラットを装着している広報車が1台だけ存在しました! それはCクラスではなく、「E200カブリオレ」。当然サイズは違ったけれど、とにもかくにも同じ銘柄ということで、試乗させていただくことになりました。
んでもって、メルセデス・ベンツ様で広報車を受け取る際、まずは広報担当様にお話をうかがいました。というのも、近年メルセデスは、脱ランフラットタイヤ化を進めているからです。
驚愕のランフラット体験
広報担当様によると、例えば「Sクラス」には2013年にランフラットを導入したものの、2017年のマイナーチェンジでスタンダードタイヤに変更。Cクラスは2014年からで、こちらは2018年のマイチェンでスタンダードに戻している。つまり、私が履いたタイヤは、もう新車のCクラスには採用されてないってことですね。
現在もメルセデスにはランフラットの設定が一部残っているが、それは本国が「このホイールにはこのランフラット」と指定したものだけになっているそうであります。
理由は、「お客さまやジャーナリストの皆さまから、乗り心地が良くないというご指摘があったことと、価格が高いことです。日本は路面はいいですし、全国どこでも救援ネットワークが存在します。日本の地域特性を考えると、ランフラットよりもスタンダードタイヤが適しているという判断になりました」(広報担当様)
つまり、メルセデスがグローバルで脱ランフラット化を進めているわけではなく、あくまで日本国内の話だそうであります。
でもって、実際のところ、プライマシー3ランフラットの乗り味はどうだったのか。
それは、ウルトラ驚愕(きょうがく)だった。
「ちゃんとランフラットやんけ~!」
“ちゃんとランフラット”というのは、ランフラット独特のサイドウオールの硬さを感じるということ。自分のBMWではまったく感じなかったけど、メルセデスではしっかり感じる! インチ数や扁平(へんぺい)率が違うにせよ。
これは、現在のBMWがランフラットを完全に履きこなしているから、とは言えるだろう。BMWもランフラット採用初期は、乗り心地がメチャ硬かった。それがどんどんこなれて、現在は乗り心地抜群、ランフラットをほぼ感じさせなくなっている。ランフラットを履きこなすには、メーカー側にかなりの経験値が必要であることは間違いない。ランフラットになった「レクサスLS」も、とっても乗り心地が硬く感じるッスから。
BMWとの相性はなぜ悪い?
というわけで、プライマシー3ランフラットを履いたE200カブリオレでは、ランフラット独特の硬さを感じたわけですが、私が愛車で感じた「真っすぐも走らない」という、トレッド面が常にグニャッと腰砕けの寒天ゼリーになっちゃったみたいなフィーリングはあったのかというと、全然ありませんでした~~~~~!
ぜんぜんフツーに真っすぐ走るやんけ。直進付近の手応えもコーナリングも、まったく問題ないでごわす!
プライマシー3ランフラットは、コンフォート系タイヤだ。ランフラットだけに、首都高のジョイントなどを乗り越えると「ガツン」とショックが来るけれど、通常の凹凸はなめらかにいなしてくれる。ステアリングの初期の手応えもかなりソフトで、かなりブロックがしなる感じはある。でも、直進性の悪化まではまったく感じない。我が愛車に履かせた時のフィーリングとはまるで違う~!
それにしてもE200カブリオレ、かなりハデなおクルマですなぁ。これに乗ってると、なんだかとっても優越感。梅雨時だったので一度もオープンでは走れなかったけど、こんなセレブっぽいクルマを借りた目的がタイヤの確認とは、本当に申し訳ないです。
そして実際に確認した結果、我が愛車がフニャフニャのダメダメ非エリート特急になってしまった理由は、さっぱり解明できませんでした。
もちろん、BMWにメルセデス承認タイヤを履かせたら相性が悪かった! というのは事実だが、これほど相性が悪いなんて、これまでのカーマニア人生で皆無。同じタイヤの仲間とは思えないほどメタメタだったのだ。
ちなみに、プライマシー3ランフラットは、メルセデス承認タイヤではあるけれど、「メルセデスはランフラット導入で乗り心地が悪くなった」という指摘に対応して、メルセデス側が「もっとソフトに作ってくれ!」と要望したわけでもなんでもない、とのことでした。謎。
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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