第58回:無段階という思想
滑らかな変速と効率を求めたCVT
2019.09.19
自動車ヒストリー
エンジンの回転数を最適な状況に保つことで、高効率な走行に寄与する無段変速機CVT。「ギアを使わない」というユニークな発想によって、自由度の高い変速を実現したこの装置は、いかにして誕生し、どのような進化を遂げてきたのか。その歴史を振り返る。
アメリカで始まった自動変速機の普及
自動車の大量生産・大量消費のサイクルを確立したのは、1908年に登場した「T型フォード」だった。大衆が手に入れられる安さが爆発的な売れ行きの原因になったのは確かだが、ほかにも理由がある。運転のしやすさだ。T型は習熟が必要だった手動式ではなく、遊星歯車を用いた半自動式の変速機を採用していた。前進2段の切り替えをペダルで行い、リバースは別のペダルで選択する仕組みである。スロットルはレバーで操作した。
現在のオートマチックトランスミッション(AT)と似た機構が登場するのは、1939年である。ゼネラルモーターズ(GM)が1940年型のオールズモビルにオプションとして用意したハイドラマチックだ。1948年には、トルクコンバーターを備えたダイナフローを搭載するモデルがビュイックに現れる。イージードライブを好むユーザーが増加し、各メーカーはATの開発に力を注いだ。アメリカでは世界で最も早くAT化が進み、1970年までにAT比率は90%に達した。
日本初の本格的国産車「トヨペット・クラウン」は、1955年の発売当初には3段マニュアルトランスミッション(MT)仕様のみだった。1960年のマイナーチェンジで、トヨグライドと呼ばれる2段ATを備えたモデルが追加される。ATはなかなか普及しなかったが、1970年代後半から急速に増加し、1990年には自動車総販売台数に占めるAT車の比率が70%を超えた。2011年には95%に達している。
ここで言うAT車とは、AT限定免許で運転できる種類の自動車を指している。MT車の場合はクラッチペダルが必要なのでアクセル、ブレーキ、クラッチの3ペダルの構成だが、アクセルとブレーキのみの2ペダルのクルマであれば、AT限定免許で乗ることができる。トルクコンバーターとギアを組み合わせた以前からある仕組みのほかに、MTの変速操作を自動化したものも、法制上はATの扱いとなる。小型車や軽自動車を中心に装備されているCVTも2ペダルで、AT免許で運転できる。
CVTはContinuously Variable Transmissionの略で、無段変速機、あるいは連続可変変速機と呼ばれる。従来のATやMTはギアを用いるが、CVTはまったく異なるメカニズムを持っている。
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