ポルシェ911カレラ(RR/8AT)/911カレラ カブリオレ(RR/8AT)/911カレラ4(4WD/8AT)
やめられない とまらない 2019.10.03 試乗記 「GTS」や「GT3」などの“役物”もいずれラインナップされるのだろうけれど、「ポルシェ911」といえば、まずは素の「カレラ」に乗らなければ始まらない。ドイツ・フランクフルトからの第一報をお届けする。「カレラS」に続いてベースの「カレラ」を投入
2018年11月のロサンゼルスモーターショーで、まずは「カレラS」と「カレラ4S」がデビューした992型ポルシェ911。2019年1月には「カレラSカブリオレ」および「カレラ4Sカブリオレ」を追加。遅れること半年、7月にはベースとなるカレラと「カレラ カブリオレ」が、そして9月のフランクフルトモーターショーで、「カレラ4」と「カレラ4カブリオレ」が発表された。
第8世代となった911シリーズも、近年のポルシェの法則にのっとって順調にモデルレンジを拡充している。高性能な「S」系とベースモデルとの最大の相違点はもちろんエンジン出力だ。両者とも991型後期より採用された3リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンをべースに、最新の排ガス規制をクリアすべくガソリン微粒子フィルター(GPF)を装着。ちなみに規制内容の違いから、日本仕様には装着されないという。よりダイレクト感を享受できるというわけだ。一方でパフォーマンス向上のためにインタークーラーを移設するなど新設計されたクーリングシステムや、ピエゾインジェクションバルブを初採用した点なども共通だ。カレラSは最高出力450PS、最大トルク530N・mを発生。ベースモデルのカレラは同385PS、同450N・mとなる。
ちなみにカレラSのパワーアップは、ブースト圧調整ではなくターボチャージャーを変更することで実現している。エンジンに対して左右対称に配置された2つのターボチャージャーは、カレラ用がタービン直径45mm、コンプレッサー直径49mmであるのに対し、カレラSではそれぞれ48mmと55mmにまで大径化され、最大過給圧は約1.2barに到達。またウェイストゲートバルブの調節を電動化してステップモーターで行う(従来は負圧で調整)ことで、迅速かつ正確な吸気圧の制御が可能になった。
動力性能でみれば、カレラの0-100km/h加速は4.2秒(先代は4.4秒)、一方でカレラSは3.7秒(同3.9秒)と、4秒を切る。共にオプションのスポーツクロノパッケージを装着した場合には、さらに0.2秒短縮できるという。最高速はカレラSが308km/h(同306km/h)であるのに対してカレラは293km/h(同295km/h)。開発者いわく最高速は991でも十分なので、加速性能の向上を重視したということだ。
見た目の違いは最小限
2019年のフランクフルトモーターショーのプレスデーの翌日、フランクフルト市内のホテルに試乗用に用意されたのが、カレラ(クーペ)だった。ホイールは標準がフロント19インチ、リア20インチなのに対して、テスト車はオプションのフロント20インチ、リア21インチに、タイヤはグッドイヤーの「イーグルF1」を装着していた。
従来はRWDと4WDとで使い分けられていたボディー構成は統一されることになった。RWDのカレラでも、991の4WDと同様、全幅は1852mmに、またフロントトレッドは約50mmも拡大されている。こうなるとテールにあるバッジを見ない限り、カレラとカレラSとを識別することは難しい。厳密には、カレラのテールパイプは四角い2本出し、カレラSでは丸い4本出しになるのだが、オプションの「スポーツエグゾーストシステム」が装着されていれば、いずれもオーバルの2本出しとなり判別がつかなくなる。
サイドサポートが大きく張り出したスポーツシートに腰掛ける。インテリアは、初代911を彷彿(ほうふつ)とさせる水平基調のデザインに最新のデジタルデバイスを組み合わせたモダンなもの。991型から乗り換えるとひと目で新しさを感じるところだ。伝統の5連メーターは、中央のタコメーターのみアナログで、まわりの4つは液晶になった。
ポルシェに限った話ではないが、やはりインポートカーの左ハンドルモデルの収まりの良さは秀逸。ステアリングとシート、そしてペダルの配置が無理なく体にフィットする。そして例のごとく左手を伸ばし、鍵をシリンダーにさす儀式はなくなったけれども、レバーを右にひねればエンジンが始動する。日本ではいまのところ左ハンドル仕様の設定はないようだが、911ファンとしては要望したいところだろう。
暖機を終えたエンジンは、GPFの影響なのか思いのほか静かだ。そう指摘されることを想定したのか、用意された試乗車のすべてにオプションのスポーツエグゾーストが装着されていた。市街地ではノーマルサウンドで走れ、郊外のワインディングロードなどで興が乗ってくれば、スイッチひとつでスポーツサウンドに切り替えられるのがいい。4000rpmを超えたあたりから気持ちのよいサウンドを奏でる。
RWDと4WDの選択はお好みで
992型から標準になった8段PDKは、低速域からスムーズに変速を行い、ノーマルモードでは効率的にリズムよくシフトアップしていく。スポーツモードではシフトスピードを高め、高回転域を維持しながら走る。911のマーケティング担当者にMTの設定はないのか尋ねると、そう遠くないタイミングで7段MTを導入すると教えてくれた。スポーツカーから続々とMTが消えゆくなか、あえて続けるのはポルシェの矜持(きょうじ)といえるかもしれない。
カレラには、Sにはオプションで用意されるリアアクスルステア(4WS)の設定はないが、ステアリングのギア比は先代比で11%高められており、入力に対して素直に反応する。車内の静粛性は高く、アルミの比率を7割にまで高めた高剛性ボディーの影響もあって、日がなアウトバーンや郊外のワインディングロードを走り回っても、不満などまったくなかった。
フロントトレッドの拡大によってスポーツカーとしての性能を高めたのはもちろん、スタビリティーも大幅に向上し、グランドツアラーとしての能力にも磨きがかかっている。
カレラ4にも少し試乗することができたが、4WDは明確にフロントの接地感が高く安定感が増す。ただし、RWDであっても992型ではポルシェスタビリティーマネジメントシステム(PSM)をはじめ、路面のぬれや水しぶきを感知するとそれらのシステムを協調制御する雨の日も安心なウエットモードまで用意しているだけに、不安になる場面はほとんどない。ここまで出来がいいと好みで選択すればいいと思うが、個人的にはすっきりと切れ味のいい回頭性をもったRWDを選ぶ。
あらゆる場面で万能
そしてカブリオレも試した。ソフトトップの骨組みはマグネシウム合金製で、リアウィンドウはガラス製。高速走行時でも静粛性が高く、まったくバタつくことはない。50km/hまでなら走行中でも開閉が可能で、機構に新技術の油圧システムを採用したことにより、所要時間は約12秒にまで短縮されている。
厳密には屋根を開けるとボディーのねじり剛性が落ち、ステアリングのレスポンスが鈍り……という話になると思うが、少なくとも一般道で運転している分にはまったく気にならなかった。そんなことより、電動ウインドディフレクターによって風の巻き込みが最小限に抑えられているし、何よりエンジン音が心地いい。ここでスポーツエグゾーストが本領を発揮する。
欧米ではクーペとカブリオレの販売比率がほぼ50:50なのだという。かの地の人たちは何も目を三角にして走ることだけが911の価値ではないと知っているのだろう。日本ではカブリオレの割合はわずか1割というから、あえてのしゃれた選択になるというわけだ。
日本で先にカレラSに試乗したが、その速さに驚いた。もはや公道ではその性能の半分も味わうことすら難しい領域にまで達している。ベースのカレラにはそこまでの速さはない。でもドイツのアウトバーンや、郊外の制限速度100km/hのワインディングロードを走って、ほどよいパワー感でちょうどいいと感じた。やはりエントリーレベルであっても911、あらゆる場面で万能。ある開発者は、おそらく911がポルシェにとって最後まで内燃機関を搭載するモデルになるだろうと話していた。最新が最良であることは911に課せられた義務であり、内燃機関がなくなるその日まで、進化はやめられないし、とまらないのだ。
車両価格はカレラが1359万7222円、カレラSが1696万8519円で、価格差が約337万円(すべて消費税10%を含む)。私なら前者を選んで内装を好みの仕様にしてと、いまコンフィギュレーターにいそしんでいる。
(文=藤野太一/写真=ポルシェ/編集=藤沢 勝)
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テスト車のデータ
ポルシェ911カレラ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4519×1852×1298mm
ホイールベース:2450mm
車重:1505kg(DIN)
駆動方式:RR
エンジン:3リッター水平対向6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:385PS(283kW)/6500rpm
最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)/1950-5000rpm
タイヤ:(前)245/35ZR20 91Y/(後)305/30ZR21 101Y(グッドイヤー・イーグルF1)
燃費:9.0リッター/100km(約11.1km/リッター、欧州複合サイクル)
価格:1359万7222円(消費税10%を含む)/テスト車=--円
オプション装備:--
※車両本体価格は日本市場でのもの。
テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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ポルシェ911カレラ カブリオレ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4519×1852×1297mm
ホイールベース:2450mm
車重:1575kg(DIN)
駆動方式:RR
エンジン:3リッター水平対向6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:385PS(283kW)/6500rpm
最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)/1950-5000rpm
タイヤ:(前)235/40ZR19/(後)295/35ZR20
燃費:11.4リッター/100km(約8.8km/リッター、欧州複合サイクル)
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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ポルシェ911カレラ4
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4519×1852×1298mm
ホイールベース:2450mm
車重:1555kg(DIN)
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター水平対向6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:385PS(283kW)/6500rpm
最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)/1950-5000rpm
タイヤ:(前)245/35ZR20/(後)295/35ZR20
燃費:13.2リッター/100km(約7.6km/リッター、欧州複合サイクル)
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

藤野 太一
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