東京モーターショー2019

ホンダe:僕らの好きなホンダが帰ってきた!

2019.10.24 自動車ニュース 塩見 智
ホンダe
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電気自動車に既存のクルマと同じような万能性を求めるのをやめようじゃないか。こうしたある種のあきらめ=割り切りが功を奏したのが「ホンダe」だ。モータージャーナリスト塩見 智がその魅力を熱く語る。

 
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走らせて楽しいほうがいい

ホンダeは一度の充電で実質的に200km内外しか走ることができない。「『それでは困る』という人はほかを当たってほしい」と言わんばかりの潔さ。明確な都市型コミューターEVだ。これってEVのあるべき姿ではないだろうか。EVでも例えばテスラのようにバッテリーをたんまり載せて一度の充電で遠くまで行くことができるようにできないわけではない。けれど、そういうときにもEVを使わなきゃいけないのか。ハイブリッド車にプラグインハイブリッド車もあれば、高効率のIC(内燃機関のみを搭載するクルマ)だってあるじゃないか。ホンダはこのクルマでそう主張しているわけだ。

ホンダeのもうひとつの魅力は後輪駆動だということ。エンジンやトランスミッションがないから前後重量配分は多分最適で、かつ後輪駆動、さらにEVだからレスポンシブということになると、これはもう走らせて楽しいに違いない。回生の効率を考えると、前にモーターを置く前輪駆動のほうが有利だが、ホンダeの開発陣は走らせて楽しいほうを選んだ。航続距離を追い求めるのをやめたからこそできたことだという。サステイナビリティーというまじめな理由でEVをつくるけれども、隙あらば走らせる楽しさを盛り込んでしまう。これこそ僕らが好きなホンダではないだろうか。楽しいホンダ、お帰りなさい。

(文=塩見 智/写真=峰 昌宏/編集=藤沢 勝)

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