トヨタRAV4アドベンチャー(4WD/CVT)/RAV4ハイブリッドG(4WD/CVT)
照らせば光るSUV 2019.11.26 試乗記 国内での復活デビュー以来、好調なセールスが伝えられる新型「トヨタRAV4」。現実にはシティーユースがほとんどと思われるSUVだが、未舗装路ではどんな走りが味わえるのか? タイプの異なる売れ筋4WD車でチェックした。ワケあって3種類
「ひと口に北米と言いましてもね、意外とバリエーションがあるんです」と、トヨタのエンジニアの方。
「例えばカナダとの国境あたり、北部では本格的な4WDが求められますし、東部の都市部では、ちょっとした積雪に対応できればいい」
――いわゆる“生活ヨンク”ですね。
「そうです。これが西部、カリフォルニアになると、環境問題も絡んでくる」
――なるほど。
「新しいRAV4にはどうして3種類も4WDシステムがあるのですか?」と質問したところ、ていねいに答えていただいた。上記はその冒頭部分。もちろん、わかりやすくするために単純化しているけれど、北米市場に軸足を置くようになって久しいRAV4の開発背景が垣間見える。
念のため確認すると、ニューRAV4は、2リッターのガソリン車と、2.5リッター+モーターのハイブリッドモデルをラインナップする。ガソリン車に2種類、ハイブリッド車に1種類の4WDシステムがあり、双方、ベーシックグレードとしてFF(前輪駆動)車も用意される。3種類の四輪駆動システムは以下の通り。
<1>ダイナミックトルクコントロール4WD
従来からあるアクティブトルクスプリット型、つまり能動的に駆動力を前後輪に振り分ける4WDシステム。2リッターガソリン車に設定される。プロペラシャフトの後端、リアデファレンシャルの前に電子制御式の多板クラッチを配して、前後のトルク配分を可変化。FFを基本に、発進、加速時など、必要に応じて後輪に相応のトルクを送る。
<2>ダイナミックトルクベクタリングAWD
新型RAV4の目玉テクノロジー。ガソリン車の上級モデルに採用される。後輪左右にそれぞれ電制多板クラッチを設けることで、前後のみならず、後輪左右間のトルク配分も可変化する。積極的に左右の駆動力をコントロールすることで、四輪駆動車の“曲がりにくさ”を克服しようというシステムだ。また、エンジンからプロペラシャフトへの駆動力をカットするためのクラッチを備え、定常走行など4輪の駆動が不要なシチュエーションでは、燃費向上のため自動的にFFに移行する。トヨタでは、これを「ディスコネクト機構」と呼んでいる。
<3>E-Four
ハイブリッド車用の電気式4WD。ハイブリッドシステム用のモーターに加え、後輪を駆動するため、さらにもうひとつモーターを搭載する。フロントモーターの最大トルクは202N・m、リアのそれは121N・mと、従来より後輪の駆動力を太らせたのが特徴。前後トルク配分を100:0~20:80まで変更できる。
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本格派“っぽさ”がいいらしい
こうした4WDシステムは、「AIM(AWD Integrated Management)」によって、電子的に統合制御される。目に見えるデバイスとしては、「エコ」「ノーマル」「スポーツ」(ハイブリッドはプラス「EV」)から走行モードを選択できる「ドライブモードセレクト」。泥濘(でいねい)地や岩場、雪道など、路面状況に合わせた走行支援を行う「マルチテレインセレクト」(ハイブリッドでは「トレイルモード」)として具体化される。
センターコンソールに、ダイヤルやボタン類が設けられ、グレードによって操作の入り口は異なるが、基本的な作動原理は同じだ。AIMによって、エンジン出力、シフトプログラム、トルク配分、ステアリングのアシスト量、ブレーキコントロール、そしてエアコンを個々に細かく制御し、選択されたモードごとに組み合わせるわけだ。
個人的には、持ち前の貧乏性ゆえ「そんなに走行モード、いる?」と思わないでもないが、必要十分な実用性だけでおさまらないのが、クルマという商品。まだ発売半年ほどだが、ニューRAV4の売れ筋はダイナミックトルクベクタリングAWD搭載車とハイブリッドモデルで、それぞれが販売台数の約4割、全体のおよそ8割に達する。
ことに最上級モデルの「アドベンチャー」が人気で、未舗装路での走破性の高さというより、「“ギア”っぽさがウケているようです」と先のエンジニア氏。やたら高機能なアーミーナイフや人間が潜れない深海まで耐えられるダイバーウオッチみたいなもんでしょうか。タフやワイルドさを強調した新型RAV4の「ROBUST(ロバスト)」路線、いまのところ大成功のようだ。
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パワフルなE-Fourにニッコリ
そもそも、先代のRAV4では見送られた日本市場への投入が、ニューモデルで決まったのは、これまでのシティー派から「好きにまみれろ!」とアウトドア派に転じたことが大きい。SUV市場の拡大はもとより、国内でも「ハリアー」とのすみ分けが明確になったため、今回、日本で販売する“GOサイン”が出たのだという。
かつてのライバル「ホンダCR-V」は、アーバンカウボーイ路線を守りつつ、少しずつラグジュアリーの響きを強めているので、今のRAV4とは「ちょっとカテゴリーが違う感じ」。ガチのライバルは、「スバル・フォレスター」であり、「日産エクストレイル」だという。RAV4の、泥や雪だけではない、ちょっとポップなイメージを含んだデザイン性の高さはもとより、多彩な駆動方式も、幅広いユーザーに網をかけるのに有効なはずだ。
さて、試乗会場には未舗装の簡単なジムカーナコースが用意されていた。まずはE-Fourを備えたハイブリッドモデルが割り当てられる。「むしろクルマ任せにした方が速いですよ」というエンジニア氏のアドバイスに従って、すべてノーマル設定のまま走りだす。いきなり大トルクを発生する電気モーターを2基も載せているだけあって、思いのほか力強い発進加速。
大きな左カーブで速度を乗せて、ボディーを振り回しながらテクニカルセクションへ。スロットル操作に間髪入れず反応するモーターの恩恵で、RAV4 E-Fourは、コントローラブルにして豪快なハンドリング。これは楽しい!
“曲がる四駆”も腕次第
ちょっと話題がズレるが、新型「ヤリス」のE-Fourモデルの“走り”のよさといい、今回のRAV4といい、トヨタは電気式4WDの技術を自家薬籠中のものにしつつあるようだ。商売にならないピュアEVの商品化は取りあえず捨て置いて、しかしプラグインハイブリッドやE-Fourを通してEVのコア技術はしっかり磨いている……というのは邪推にすぎましょうか。
続いて乗ったのは、ダイナミックトルクベクタリングAWD搭載モデル。「グイグイ曲がっていきますよ」という開発者の言葉を背に、ステアリングホイールを握って走り始めたのだが、アレッ!? 意外におとなしい。2.5リッターの排気量に2つのモーターを持つハイブリッドに対し、こちらは最高出力171PSと最大トルク207N・mを発生する2リッターエンジンひとつだけ。絶対的なアウトプットではかなわない。
なるほど、カーブでの“入り”がいい……ような気がする。単に進入速度が遅いだけかもしれませんが。テクニカルセクションでは運転者の未熟さゆえ、オーバースピードによる派手なアンダーステアを誘発して、せっかくのトルクベクタリング機能を生かせない。反省。
恥を忍んでタイムを確認すると、多少なりとも習熟度が上がっているはずなのに、ハイブリッドモデルのタイムにわずかに及ばない。やはりモータースポーツにおいては、直線が速いのがなにより大事。最大のチューニングは排気量アップである……と、スイマセン、無意味にカッコつけました。本当に再確認したのは、どんな優れた電子制御や4WDシステムを備えていようとも、ドライバーの無謀な運転はカバーできないということだ。
(文=青木禎之/写真=田村 弥/編集=関 顕也)
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テスト車のデータ
トヨタRAV4アドベンチャー
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4610×1865×1690mm
ホイールベース:2690mm
車重:1630kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:171PS(126kW)/6600rpm
最大トルク:207N・m(21.1kgf・m)/4800rpm
タイヤ:(前)235/55R19 101V M+S/(後)235/55R19 101V M+S(ヨコハマAVID GT)
燃費:15.2km/リッター(WLTCモード)
価格:319万5500円/テスト車=392万0950円
オプション装備:ボディーカラー<アッシュグレーメタリック×アーバンカーキ>(5万5000円)/デジタルインナーミラー(4万4000円)/インテリジェントクリアランスソナー<パーキングサポートブレーキ[静止物]>(2万8600円)/リアクロストラフィックオートブレーキ<パーキングサポートブレーキ[後方接近車両]+ブラインドスポットモニター[BSM]>(6万8200円)/3本スポークステアリングホイール<本革巻き+サテンメッキ加飾付き>+ステアリングヒーター+シフトノブ<本革巻き+サテンメッキ加飾付き>(7万9920円)/ハンズフリーパワーバックドア<挟み込み防止機能+停止位置メモリー機能付き>(8万1400円)/バックカメラ(2万7500円)/アクセサリーコンセント<ラゲッジ>(8800円) ※以下、販売店オプション T-Connectナビ 9インチモデル(24万4200円)/カメラ一体型ドライブレコーダー(2万1450円)/ETC車載器<ビルトイン/ナビ連動タイプ[光ビーコン付き]>(3万3000円)/フロアマット<ラグジュアリー>(3万6300円)
テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:6425km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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トヨタRAV4ハイブリッドG
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4600×1855×1685mm
ホイールベース:2690mm
車重:1690kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:178PS(131kW)/5700rpm
エンジン最大トルク:221N・m(22.5kgf・m)/3600-5200rpm
フロントモーター最高出力:120PS(88kW)
フロントモーター最大トルク:202N・m(20.6kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:222PS(163kW)
タイヤ:(前)225/60R18 100H/(後)225/60R18 100H(ダンロップ・グラントレックPT30)
燃費:20.6km/リッター(WLTCモード)/25.0km/リッター(JC08モード)
価格:388万8500円/テスト車=436万0950円
オプション装備:ボディーカラー<センシュアルレッドマイカ>(3万3000円)/デジタルインナーミラー(4万4000円)/ハンズフリーパワーバックドア<挟み込み防止機能+停止位置メモリー機能付き>(1万6500円)/アクセサリーコンセント<ラゲッジ内AC100V/1500W、非常時給電システム付き>(4万4000円) ※以下、販売店オプション T-Connectナビ 9インチモデル(24万4200円)/カメラ一体型ドライブレコーダー(2万1450円)/ETC車載器<ビルトイン/ナビ連動タイプ[光ビーコン付き]>(3万3000円)/フロアマット<ラグジュアリー>(3万6300円)
テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:6885km
テスト形態:ロードインプレッション/トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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