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第33回:古都が呼んでいる(前編)

2020.01.24 バイパーほったの ヘビの毒にやられまして
宿泊先のホテルの車止めにて。
宿泊先のホテルの車止めにて。拡大

ニッポンが誇る1000年の都・京都へと、このうえなくアメリカンな「ダッジ・バイパー」でドライブを敢行。走らせれば何かが起きるポンコツマッスルカーは、片道450kmの道のりを無事走破できるのか? webCG編集部員がささやかな冒険に挑む。

本稿を書くにあたってカメラの中身を見返したところ、1枚も京都らしい写真がないことに戦慄した。さすがは私、編集部きっての観光下手である。こちらは二条城のお濠を行くカモの群れ。「んなもん撮ってる暇があったら、平安神宮にでも行っとけよ」と、当時の自分の頭をはたきたい。強めに。
本稿を書くにあたってカメラの中身を見返したところ、1枚も京都らしい写真がないことに戦慄した。さすがは私、編集部きっての観光下手である。こちらは二条城のお濠を行くカモの群れ。「んなもん撮ってる暇があったら、平安神宮にでも行っとけよ」と、当時の自分の頭をはたきたい。強めに。拡大
京都で催された「大学同窓の集まり」というのは、本好きの旧友が集まって、本についてひたすら“だべる”という高尚なんだか不毛なんだか分からない会合である。写真は2019年の個人的ブック・オブ・ザ・イヤー。やたらとドン・ウィンズロウを読んだ一年であった。
京都で催された「大学同窓の集まり」というのは、本好きの旧友が集まって、本についてひたすら“だべる”という高尚なんだか不毛なんだか分からない会合である。写真は2019年の個人的ブック・オブ・ザ・イヤー。やたらとドン・ウィンズロウを読んだ一年であった。拡大
スウェーデン・ストックホルムにて、空港と市街をつなぐ鉄道。誤解されそうなんで釈明しますと、記者は別に鉄道が嫌いというわけではない。両方選べるのであれば、自分で運転できる乗り物で移動したいのである。
スウェーデン・ストックホルムにて、空港と市街をつなぐ鉄道。誤解されそうなんで釈明しますと、記者は別に鉄道が嫌いというわけではない。両方選べるのであれば、自分で運転できる乗り物で移動したいのである。拡大
元webCG編集部員の折戸青年が教えてくれた駐車場予約アプリ。今回のようにスケジュールが決まっていて、かつ目的地に駐車場がないような遠出では重宝する。まぁ、そんな機会あんまりないんだけどね。
元webCG編集部員の折戸青年が教えてくれた駐車場予約アプリ。今回のようにスケジュールが決まっていて、かつ目的地に駐車場がないような遠出では重宝する。まぁ、そんな機会あんまりないんだけどね。拡大

竹中直人かく語りき

京都市は、北緯35度01分、東経135度45分に位置する、近畿地方の都市である。その歴史は古く、794年から1869年まで、実に1000年以上にわたり日本の首都がおかれていた。今日でも多くの寺社仏閣や歴史的建造物が残る、世界屈指の文化都市である。

そんな京都に、バイパーで行くことにした。

なんでか? 特に理由はない。年イチで催される大学同窓の集まりが今回(2019年)は京都開催となり、「休みの日に電車に軟禁とか、ないわ」と思ったからである。

最近分かったことなのだが、マイカーを所有していると、クルマ乗りからは車種選定の理由を聞かれ、クルマに乗らない人からは、「なんで○○に行くのにクルマを使うの?」と聞かれる。なんでって言われましてもねぇ。むしろ自前でドア・ツー・ドアの移動手段があるのに、なんでわざわざ公共交通に頼らにゃいかんのよ?

そもそも、クルマ乗りがクルマに乗るのに、目的なんてあってないようなものなのだ。かつてわが心の師、竹中直人氏は、サングラスの怪人に運転の喜びを聞かれ、こう答えた。「仕事が早めに終わったらさ、海に行けちゃうんだもン」(2006年9月25日放送『笑っていいとも!』より)。まさに金言。これこそ他の交通手段じゃ得られぬ、自動車ならではの自由と気まぐれだろう。

ただし、今回の旅に関しては問題がひとつあった。会の幹事も、まさかホントにクルマで来るやつはおるまいと踏んでいたようで、投宿先に駐車場がなかったのだ。

しかし記者は慌てない。こんなこともあろうかとスマホに駐車場予約アプリをダウンロードしておいたのだ。別にコインパーキングでも構わないのだが、高いし、そのとき空いているか分からないし、場所によってはイタズラされるかもしれないしね。で、諸般の条件を入力して出てきたのは、二条城の近隣、宿から2.5kmの駐車場だった。ドア・ツー・ドアとは一体? という感じだが、通勤で家から駅まで30分歩いている記者からすれば、こんな距離屁(へ)でもない。当該駐車場の予約をポチり、いざ武蔵野を後にする。片道450km、往復でアバウト900kmの小旅行だ。

ダッジ の中古車

8リッターV10 OHVでエコラン大会

いや、その前にすることがあった。給油だ給油。実は今回、普通に900km走るだけでは面白くないので、ちょっとした課題をおのれに課していたのだった。

随分前の計算だが、高速におけるバイパーの燃費はおおむね6km/リッター台で、ガソリンタンク容量は72リッター。そして既述の通り、今回の旅の道のりは片道450kmほどである。あれ? これ、頑張ればワンタンクでいけんじゃね? というわけで開幕しました。東京-京都 無給油チャレンジ。プリウスやインサイトあたりなら寄席聞きながらでもできそうなものだが、挑戦するのはわがバイパー。こうして連載でネタにできるほどのハイエミッション野郎である。行けるかどうかは、まぁ五分五分。正直なところ、もう少し分のない勝負でないと記事的に盛り上がらないのだが、ただ京都まで走るよりは面白みが増すでしょう。

家の近所のシェルで給油しつつ、二条城付近のガソリンスタンドを検索。めんどうなので寄り道、回り道にならないことも勘案し、堀川通り沿いのエネオスをゴールとする。Googleマップによると、厳密な走行距離は455km、所要時間は5時間31分と出た。時刻は2019年12月21日午前5時22分。「昼前には着くかいな」とアバウトにソロバンをハジきつつ、今度こそ本当に、武蔵野の地を後にする。

武蔵境通りを南下し、ようやく甲州街道へとつながった東八道路を抜けて、高井戸から首都高4号新宿線へ。そしてETCゲートをくぐった直後に、首都高じゃなくて環八(下道)で東名高速まで行った方が、距離も時間も費用もガソリンも節約できたことに思い至る。

無給油チャレンジに、早くも暗雲が垂れ込める。

自宅近所のシェルで給油中のわが「バイパー」。日付は冬至間近の12月21日なので、午前5時台のお空は真っ暗だ。
自宅近所のシェルで給油中のわが「バイパー」。日付は冬至間近の12月21日なので、午前5時台のお空は真っ暗だ。拡大
2000年式の「バイパー」の燃料タンク容量は19ガロン(≒71.9リッター)。ちなみにバイパーのタンクはプラスチック製で、経年劣化でよくリークするんだとか。カンベンしてくれ。
2000年式の「バイパー」の燃料タンク容量は19ガロン(≒71.9リッター)。ちなみにバイパーのタンクはプラスチック製で、経年劣化でよくリークするんだとか。カンベンしてくれ。拡大
出発時のオドメーターの数字は5万2263マイル。今回はこの数字を基準に走行距離を測っていこうと思っていたのだが、途中で同メーターの計測が微妙に怪しいことが判明。Googleマップも併用して、走行距離を算出することにした。
出発時のオドメーターの数字は5万2263マイル。今回はこの数字を基準に走行距離を測っていこうと思っていたのだが、途中で同メーターの計測が微妙に怪しいことが判明。Googleマップも併用して、走行距離を算出することにした。拡大
東八道路の新開通区間を西から拝む。考えてみれば、自分が武蔵野に移り住んだ当初は、ここはもちろん新武蔵境通りも開通していなかった。武蔵野暮らしも長くなったなぁ。
東八道路の新開通区間を西から拝む。考えてみれば、自分が武蔵野に移り住んだ当初は、ここはもちろん新武蔵境通りも開通していなかった。武蔵野暮らしも長くなったなぁ。拡大

こんな時間からどこ行くの?

まあ、やっちまったものはしょうがない。気を取り直して4号線を新宿JCTへと向かいましょう。

それにしてもである。ちょいとクルマが多くないか? その量たるや、止まりはしないがだらだら運転を強いられるといった具合。時計を見れば、まだ朝の6時前。冬至のころとはいえ、お天道様は影も形もない時分だ。こんな時間から、皆さん一体ドコ行くの? ……ハタから見たら俺もなんでしょうけど。

加減速の繰り返しは燃費が落ちるし、ここは早々にエコラン(?)に移りたいところなんですが……。ま、永福入り口を過ぎればこの渋滞も解消されるでしょ。

ところがである。永福を過ぎてもクルマの数はまったく減らず、新宿JCT→C2→3号渋谷線をずっと忍耐でやり過ごす羽目に。さすがに東名に入れば……というのさえ希望的観測で、なんと小田原厚木道路が分岐する厚木JCTまで、ずっとこの調子だったのだ。いやホント、皆さんこんな時間からドコ行くの? まぁ俺もなんだけど。

大井松田ICの先、東名高速の下り線が二又に分かれる辺りに差し掛かると、さすがにクルマの数は減り、ようやく多少は好きな速度で走れるようになる。やれやれ、これでようやくエコランらしい走りができるわい。

ルートは東名&新東名で名古屋まで行き、伊勢湾岸道&名神で滋賀へ。草津JCTの分岐を京都方面へと向かい、京都東ICで降りてゴールというもの。今度関西に用があるときは、久々に“新”じゃない方の東名を使ってみたいと思う。
ルートは東名&新東名で名古屋まで行き、伊勢湾岸道&名神で滋賀へ。草津JCTの分岐を京都方面へと向かい、京都東ICで降りてゴールというもの。今度関西に用があるときは、久々に“新”じゃない方の東名を使ってみたいと思う。拡大
大橋JCTから東京ICへと向かう首都高3号渋谷線の様子。写真だと分かりづらいけど、休日の早朝にしては妙にクルマが多かった。
大橋JCTから東京ICへと向かう首都高3号渋谷線の様子。写真だと分かりづらいけど、休日の早朝にしては妙にクルマが多かった。拡大
首都高を抜け、東名に入っても交通量はご覧の通り。やきもきさせられました。
首都高を抜け、東名に入っても交通量はご覧の通り。やきもきさせられました。拡大

ヘビというより暴れ牛

一説によると、大体のクルマは車速を60km/hくらいで保つと、最も省燃費で走れるらしい。とはいえここは天下の幹線道路。前にも後ろにも迷惑をかけるのはご法度である。そんなわけで、車速は前が詰まらない限りは法定速度いっぱい、ギアは基本6速固定とする。ちなみに(前にも書いたかもしれないが)バイパーの場合、100km/h走行時のエンジン回転数はおおむね1250rpm。ガスペダルを踏むというより、足の重さを掛けておくだけ、といった状態である。

何がすごいって、これで普通に走れることよ。バイパーのエンジンは可変バルブなしの自然吸気だから、トルクバンドからはまったく外れているはずなんだけど、そこは8リッターの暴力でカバー。クラッチをつないだままブレーキを踏んでも、ペダルの踏み応えや制動の仕方に、押し返すような弾力(?)がある。トルクがブレーキを押し返してくるのである。で、前がすいたら今度はガスペダルに足を掛け直すだけで、車速がじわわ……と回復するんだから大したもの。

よく大トルクのMT車について、「まるでAT車のように運転できる」なんて言う人がいるけど、ここまできたらATどころかちょっとしたクルコンだ(前走車追従機能はついていないけどね)。しかも前回触れた通り、わがバイパーは今やフットワークが絶好調! 過日の鬼怒川ツアー同様、陸の王者気分で京都まで行ける、はずだった。

どうもオカシイ。何かがオカシイ。段差やわだちでクルマが盛大に暴れるのだ。以前はハンドルに手のひらを当てて、金星丘のお肉で振動をいなしつつ……という感じで走れたのに、今回は両手でガッとハンドルをつかんで暴れる牛をねじ伏せるがごとし。気分は大山倍達である。タイヤ替えたり、アライメントを見たり、あれやこれややってきたのに、全部元のもくあみ。いやコイツ、何が原因で良くなって、何が原因でダメになるのか全然わかんねぇよ!

しかしまぁ、バイパーとの付き合いも3年を過ぎた記者からすれば、こんな気まぐれも日常の彩(いろどり)。なんせ車名がヘビである。生き物なんだから、そりゃ機嫌のいい日も悪い日もあるさ。この程度のことで戸惑っていたら、このクルマとは付き合えませんぜ?

東名高速道路下り線の、神奈川・鮎沢付近にて。上を通っているこの橋はなーんだ? というと、実はこれ、同じ東名高速の上り線なのだ。この辺りは下り線が二又に分かれていたり、上り線と下り線が写真のようにクロスしていたりと、やたら複雑な道のつくりをしている。なんでこんな構造なのか気になった人は、レッツ検索。東名高速の歴史を感じられます。
東名高速道路下り線の、神奈川・鮎沢付近にて。上を通っているこの橋はなーんだ? というと、実はこれ、同じ東名高速の上り線なのだ。この辺りは下り線が二又に分かれていたり、上り線と下り線が写真のようにクロスしていたりと、やたら複雑な道のつくりをしている。なんでこんな構造なのか気になった人は、レッツ検索。東名高速の歴史を感じられます。拡大
100km/h巡行時の「バイパー」のエンジン回転数は1250rpmくらい(写真ではちょいとはみ出ていますが)。ガスペダルに足を掛けておくと、するすると前に進んでいく。
100km/h巡行時の「バイパー」のエンジン回転数は1250rpmくらい(写真ではちょいとはみ出ていますが)。ガスペダルに足を掛けておくと、するすると前に進んでいく。拡大
金星丘とはココ。親指の付け根の、肉が厚くふくらんでいる部分である。
藤沢青年「詳しいんですね~」
ほった「Googleで調べた」
金星丘とはココ。親指の付け根の、肉が厚くふくらんでいる部分である。
	藤沢青年「詳しいんですね~」
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大山倍達は極真空手を興した昭和の格闘家。修行のために山にこもったり、牛を素手でとっちめたりしていたらしい。(写真はイメージ)
大山倍達は極真空手を興した昭和の格闘家。修行のために山にこもったり、牛を素手でとっちめたりしていたらしい。(写真はイメージ)拡大

“遠くへ来た”感が一気に盛り上がる

箱根の峠や富士スピードウェイへの道程でお世話になっている御殿場ICを抜け、御殿場JCTからいよいよ新東名へ。普段、ロケなどで足を延ばしているのは御殿場・裾野辺りまでなので、そこを過ぎると一気に“遠出感”が湧いてくる。テンションが上がる。

バイパーの方も気分がノってきたのか、今まで以上に車体が暴れる。新東名と聞くと、皆さん「こっちの方が新しくて道がきれいなんだから、スムーズに走れるのでは?」とお思いでしょう。私もそう期待していたのだが、意外にも凹凸やうねりが多いのだ。東名区間より明らかに高い平均車速もあって、補修箇所や車線間の“うね”に乗り上げたときの挙動が怖い。特に怖いのが片輪だけが補修路面を踏んだときで、クルマが意思を持ったかのように力強くナナメを向く。これ、ドライバーはともかく、助手席に乗っている人がいたら確実に酔うわ。

そんなバイパーをどうにか御して、遠州森町PAに到着。なるたけ距離を稼ぎたくてノンストップでここまで来たのだけど(トイレ休憩除く)、遠州森町ってどの辺なんだろ? スマホで調べてみたところ、天竜川のちょい手前であることが判明した。余談だが、天竜川の東側はヤマハの根城である磐田、西側はスズキの居城・浜松である。静岡すげえ。

検索ついでにスタート地点からの距離も調べると、223kmと出た。実際の数値との誤差がどれほどかは知らないが、“アバウト折り返し地点”と表して差し支えないでしょう。今が8時22分なので、所要時間はジャスト3時間。今のところはスケジュール通りといったところか。

朝食をいただき、カチコチに凝り固まった右足をほぐしたら、あらためて京都へと出発。燃料計を見ると、針は半分と4分の3の間を指していた。旅は思いのほかに順調である。(つづく

(webCGほった)

御殿場JCT(下り線)名物の、思わず二度見する道路標識。……言いたいことは分かるけど、なんか他にやりようはなかったの?
御殿場JCT(下り線)名物の、思わず二度見する道路標識。……言いたいことは分かるけど、なんか他にやりようはなかったの?拡大
新東名では、御殿場JCTから浜松いなさJCTの間で6車線化の工事が進められており、これまで“やたら広い路肩”だった場所が防護柵で塞がれていた。「これからは便利になるなあ」と思う反面、最初から6車線にしておけばよかったんじゃないの? という気も……。
新東名では、御殿場JCTから浜松いなさJCTの間で6車線化の工事が進められており、これまで“やたら広い路肩”だった場所が防護柵で塞がれていた。「これからは便利になるなあ」と思う反面、最初から6車線にしておけばよかったんじゃないの? という気も……。拡大
遠州森町PA出発時の燃料計の様子。旅の折り返し地点……のちょい手前くらいだが、ガソリンタンクには半分以上燃料が残っていた。この時点で、難所である神奈川・静岡の“山越え”ゾーンはほぼクリア。無給油チャレンジは想像以上に順調だった。
遠州森町PA出発時の燃料計の様子。旅の折り返し地点……のちょい手前くらいだが、ガソリンタンクには半分以上燃料が残っていた。この時点で、難所である神奈川・静岡の“山越え”ゾーンはほぼクリア。無給油チャレンジは想像以上に順調だった。拡大
新東名高速道路・遠州森町PAにて。
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