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第160回:ローマが800万円になる日

2020.01.28 カーマニア人間国宝への道 清水 草一

「フェラーリ・ローマ」は“買い”か?

昨2019年11月、フェラーリがまたまたニューモデルを発表した。今度の車名は「ローマ」だ。

近年のフェラーリは、目が回るほど多くのニューモデルを出しているが、その多くがわれわれ庶民系フェラーリファンとは縁がなさそうで、あまり関心を持っていなかった。

しかしローマは、写真を見てビックリ!

「これ、いいじゃないか!」

近年のフェラーリはとにかくデザインが煩雑で、パネル面にはこれでもかとばかりにエグリやビラビラが並び、ディテールもくどいくどい。ところがローマは、特にサイドがスポーンと抜けてて実にシンプル。ディテールはモダン&クリーン。全体に60年代のFRフェラーリを思わせるエレガンスがある! 見た瞬間、これだったら欲しいかもと思ってしまいました。

ところでこれ、いったいどういう位置付けのクルマなの? と思ったら、「ポルトフィーノ」のクーペ版なんですね。

それにしてはポルトフィーノとはまるでスタイリングが違う。ポルトフィーノは「カリフォルニア」のハッテン形で、サイドにはよくわからないエグリが刻まれ、顔は「プジョー407」だ。でもローマはアレとは似ても似つかない美しさやないけ!

フェラーリデザインセンターは、ホンダ同様、これまでのゴテゴテデザインを反省してシンプル路線に回帰したんでしょうか!? これはフェラーリの「ホンダe」なんでしょうか!

これがおいくらまんえんくらいかと申しますと、本国価格が20万ユーロを少し超えるくらいだそうです。日本円だと約2500万円。日本向けは2800万円とかそれくらい? 最近のフェラーリとしてはかなりお安いし、この価格でこのデザインなら“買い”かもしれん!

「フェラーリ・ローマ」は2+2の新型FRスポーツモデル。最高出力620PS、最大トルク760N・mの3.9リッターV8ツインターボエンジンを搭載する。
「フェラーリ・ローマ」は2+2の新型FRスポーツモデル。最高出力620PS、最大トルク760N・mの3.9リッターV8ツインターボエンジンを搭載する。拡大
エクステリアは、1950~1960年代のローマで見られたドルチェヴィータ(華やかで自由気ままな生き方)の世界観を現代流に解釈し直したデザインが特徴となっている。
エクステリアは、1950~1960年代のローマで見られたドルチェヴィータ(華やかで自由気ままな生き方)の世界観を現代流に解釈し直したデザインが特徴となっている。拡大
リアウィンドウに組み込まれた可動式のリアスポイラーも特徴的。
リアウィンドウに組み込まれた可動式のリアスポイラーも特徴的。拡大
エレガントでボリューム感を感じさせるリアビュー。
エレガントでボリューム感を感じさせるリアビュー。拡大
「ローマ」は、写真の「ポルトフィーノ」をベースとしながらも、見た目の印象はだいぶ違う。
「ローマ」は、写真の「ポルトフィーノ」をベースとしながらも、見た目の印象はだいぶ違う。拡大
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FRフェラーリに色めき立つ

なによりうれしいのは、久しぶりにフェラーリが、フェラーリらしいエレガントなスタイリングのクルマをリリースしてくれたことだ。これならカッコだけでもイイ!

が、私の周囲のフェラーリオーナー(庶民系)の皆さまの関心は、著しく低うございました。「ローマ? ああ、出てましたねぇ」くらいで、まったくひとごとでほとんど無関心。「それよりオレの『F355』が断然サイコー!」でおしまいでした。

「488ピスタ」オーナーのBunbun先生(医師)は、もうちょっと具体的に「あれだったらアストンマーティンにしようと思っちゃうかもしれないな。だって、アストンなら経費にできるから」ですと! フェラーリは経費にできないけどアストンなら経費にできる。各税務署によって解釈は違うけど、大筋ではそうらしいです。

われら大衆は、経費にできるできないはカンケーなく、問題はシンプルにお値段のみ。もちろん私だって3000万円とかそんな大金を払って、愛する「328GTS」からローマに買い替えようとはコレッポッチも思いません。まるでベクトルの違うクルマだし。

でも、このエレガントで美しいボディーがフェラーリであるならば、そしてそれが比較的リーズナブルな価格まで下がってきてくれれば、「欲しいかも!」とはなる。

私はこれまで買ってきた12台のフェラーリすべてがミドシップ。フェラーリで死と隣り合わせの快楽を味わうならば、ミドシップ以外の選択肢はない。それは庶民系フェラーリファンほぼ全員の思いだろう。

が、新しめのFRフェラーリでも、お安ければ興味を示す者はいる! 私も含め!

医師のBunbunさんと、愛車の「488ピスタ」。(写真=木村博道)
医師のBunbunさんと、愛車の「488ピスタ」。(写真=木村博道)拡大
筆者の現在の愛車、「328GTS」。(写真=木村博道)
筆者の現在の愛車、「328GTS」。(写真=木村博道)拡大
値段が安ければ買いたい!
値段が安ければ買いたい!拡大

自動ブレーキ付きを期待

「550マラネロ」でFRモデルが復活して以来、FRフェラーリは常にミドシップに比べ不人気で、その分中古価格が安かった。10年ほど前、私がワインレッドの「512TR」(当時のお値段1000万円)に乗っていた頃、550マラネロは800万円くらい。より新しいモデルなのにお安かった。

となると、あのダイナミックかつ大味なスタイリングに惹(ひ)かれる人も確実にいた。市場は神の見えざる手なのである。

つまり、ローマも800万円くらいなら欲しくなる!

じゃ、ローマはいつ800万円になるのか!?

で中古車相場を調べてみると、550マラネロと「575M」は、今でも800万円くらいでした。しかしローマはカリフォルニアの系譜。そっちはどうかというと、

カリフォルニア/1300万円くらい

カリフォルニア30/1600万円くらい

カリフォルニアT/2000万円くらい

カリフォルニアの初期モデルなら、1000万円ちょいからタマがある。新車価格は2500万円くらいだったので、約10年で6割下がった計算だ。

つーことは、ローマも10年後には1200万円、20年後には800万円になってる可能性はあるネ!

20年後か……。

その時私は78歳。かなりのヨボヨボが予想される。

ヨボヨボになった自分が乗ることを仮定すると、なにより痛いのは、ローマには自動ブレーキやACCが付いてないことだ(詳細不明につき予測)。まだフェラーリはそういうの、付けてくれてないので! 

でも、自動ドリフトコントロール装置を付けてるんだから、自動ブレーキも付けていいんじゃないか? フェラーリに自動ブレーキが付いたって、いまさら誰も責めないべ!

あ、俺がそんなことわーわー言わなくても、近いうち義務化されるんだよね。

自動ブレーキ付きのローマ、早く出してください。20年後の私のために。

(文と写真=清水草一/編集=大沢 遼)

550マラネロ
550マラネロ拡大
筆者のかつての愛車、「512TR」。(写真=池之平昌信)
筆者のかつての愛車、「512TR」。(写真=池之平昌信)拡大
カリフォルニア
カリフォルニア拡大
カリフォルニアT
カリフォルニアT拡大
「カリフォルニアT」の3.9リッターV8ターボエンジン。
「カリフォルニアT」の3.9リッターV8ターボエンジン。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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