第611回:横浜ゴムの冬用タイヤ開発拠点でチェック オールシーズンタイヤは新たなトレンドとなるか?
2020.02.21 エディターから一言![]() |
毎冬恒例の横浜ゴム主催メディア向けタイヤ勉強会に参加した。北海道・旭川にある同社の北海道タイヤテストセンター(TTCH)を舞台に、毎回さまざまなテーマで講義があったり試走できたりするのだが、今回、私にとって特に興味深かった「スタッドレスタイヤの歴史」「タイヤの経年劣化」「オールシーズンタイヤという新たなトレンド」の3つのコンテンツについてお伝えしたい。
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約35年間のスタッドレスタイヤの歴史
横浜ゴムによれば、スタッドレスタイヤは1980年代半ばに登場した。同社の最初の製品は1985年の「ガーデックス」。この時期に主要タイヤメーカーが相次いでスタッドレスタイヤを製品化したのには理由がある。それ以前に積雪寒冷地域で冬季にほぼ100%の装着率で使用されていたスパイクタイヤが問題視され始め、社会がその代替品を求めたのだ。
スパイクタイヤは踏面(路面と接する部分)から多数の金属スタッド(びょう)が出ていて、それらが氷雪路を引っかくことでグリップを得る仕組み。しかしそのタイヤでアスファルト路面を走行することで、路面を削って粉じんを巻き起こし、ぜんそく等の健康被害の原因になること、道路を損耗させ多大な財政負担を生じさせること、そして大きな騒音を立てることなどが指摘され始めた。40代半ばよりも上の年齢の方ならビチビチビチという音を立てるスパイクタイヤの走行音を思い出すことができるのではないだろうか。確かにうるさかった。
そうした問題への解決策がスタッドレスタイヤだ。びょうで引っかくことができないため、タイヤメーカーはまず低温でも硬くならないゴムを使って路面との密着度を上げ、加えて踏面に占める溝面積比率を下げて接地面積を稼ぐことでグリップを得ようとした。またタイヤ溝のエッジ部分を増やして引っかく効果も狙った。これが80年代後半のスタッドレスタイヤ第1世代だ。
ところがスタッドレスタイヤが普及してくると、新たな問題が生じ始めた。スパイクタイヤ装着車が走行した後の氷雪路面は引っかかれることででこぼこの状態だったが、スタッドレスタイヤ装着車が走行した後の路面はツルツルした平滑な状態となった。特に加減速が繰り返される交差点付近は鏡のような路面が生じるようになった。いわゆるミラーバーンだ。スパイクタイヤ装着車は自らがグリップを得るだけでなく、路面を耕すことでその後に走行するクルマがグリップしやすい路面を生み出していたが、それがなくなってしまったのだ。
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