第611回:横浜ゴムの冬用タイヤ開発拠点でチェック オールシーズンタイヤは新たなトレンドとなるか?

2020.02.21 エディターから一言
横浜ゴム主催メディア向けタイヤ勉強会は、旭川にある北海道タイヤテストセンター(TTCH)で行われた。同施設は東京ドーム約19個分の敷地面積を有し、アイスバーンの状態を均一に保つ屋内氷盤試験場や総合試験路、2つの圧雪ハンドリング試験路などさまざまな設備が設けられている。
横浜ゴム主催メディア向けタイヤ勉強会は、旭川にある北海道タイヤテストセンター(TTCH)で行われた。同施設は東京ドーム約19個分の敷地面積を有し、アイスバーンの状態を均一に保つ屋内氷盤試験場や総合試験路、2つの圧雪ハンドリング試験路などさまざまな設備が設けられている。拡大

毎冬恒例の横浜ゴム主催メディア向けタイヤ勉強会に参加した。北海道・旭川にある同社の北海道タイヤテストセンター(TTCH)を舞台に、毎回さまざまなテーマで講義があったり試走できたりするのだが、今回、私にとって特に興味深かった「スタッドレスタイヤの歴史」「タイヤの経年劣化」「オールシーズンタイヤという新たなトレンド」の3つのコンテンツについてお伝えしたい。

横浜ゴムの主力スタッドレスタイヤ「アイスガード6 iG60」。13~20インチまで、全90サイズがラインナップ(2020年1月現在)されるほか、ランフラットモデルも全6サイズ用意。
横浜ゴムの主力スタッドレスタイヤ「アイスガード6 iG60」。13~20インチまで、全90サイズがラインナップ(2020年1月現在)されるほか、ランフラットモデルも全6サイズ用意。拡大
2019年の全日本ラリー選手権JN-1クラスで3位となった実力派ラリードライバー奴田原文雄選手がドライブする「三菱ランサーエボリューションⅩ」ベースのラリーマシンに同乗試乗。デモ走行では、なんと市販のスタッドレスタイヤ「アイスガード6 iG60」を履いて華麗なドリフトを披露してくれた。
2019年の全日本ラリー選手権JN-1クラスで3位となった実力派ラリードライバー奴田原文雄選手がドライブする「三菱ランサーエボリューションⅩ」ベースのラリーマシンに同乗試乗。デモ走行では、なんと市販のスタッドレスタイヤ「アイスガード6 iG60」を履いて華麗なドリフトを披露してくれた。拡大
前235/40R19、後ろ265/40R19サイズの「アイスガード6 iG60」が装着された「ポルシェ718ケイマン」で、低偏平タイヤのハンドリングを試すことができた。
前235/40R19、後ろ265/40R19サイズの「アイスガード6 iG60」が装着された「ポルシェ718ケイマン」で、低偏平タイヤのハンドリングを試すことができた。拡大
「アイスガード6 iG60」が装着された「ポルシェ718ケイマン」の走行シーン。トラクションコントロールをONにしていれば、雪上でも最高出力300PSのパフォーマンスをコントロールできる。
「アイスガード6 iG60」が装着された「ポルシェ718ケイマン」の走行シーン。トラクションコントロールをONにしていれば、雪上でも最高出力300PSのパフォーマンスをコントロールできる。拡大

約35年間のスタッドレスタイヤの歴史

横浜ゴムによれば、スタッドレスタイヤは1980年代半ばに登場した。同社の最初の製品は1985年の「ガーデックス」。この時期に主要タイヤメーカーが相次いでスタッドレスタイヤを製品化したのには理由がある。それ以前に積雪寒冷地域で冬季にほぼ100%の装着率で使用されていたスパイクタイヤが問題視され始め、社会がその代替品を求めたのだ。

スパイクタイヤは踏面(路面と接する部分)から多数の金属スタッド(びょう)が出ていて、それらが氷雪路を引っかくことでグリップを得る仕組み。しかしそのタイヤでアスファルト路面を走行することで、路面を削って粉じんを巻き起こし、ぜんそく等の健康被害の原因になること、道路を損耗させ多大な財政負担を生じさせること、そして大きな騒音を立てることなどが指摘され始めた。40代半ばよりも上の年齢の方ならビチビチビチという音を立てるスパイクタイヤの走行音を思い出すことができるのではないだろうか。確かにうるさかった。

そうした問題への解決策がスタッドレスタイヤだ。びょうで引っかくことができないため、タイヤメーカーはまず低温でも硬くならないゴムを使って路面との密着度を上げ、加えて踏面に占める溝面積比率を下げて接地面積を稼ぐことでグリップを得ようとした。またタイヤ溝のエッジ部分を増やして引っかく効果も狙った。これが80年代後半のスタッドレスタイヤ第1世代だ。

ところがスタッドレスタイヤが普及してくると、新たな問題が生じ始めた。スパイクタイヤ装着車が走行した後の氷雪路面は引っかかれることででこぼこの状態だったが、スタッドレスタイヤ装着車が走行した後の路面はツルツルした平滑な状態となった。特に加減速が繰り返される交差点付近は鏡のような路面が生じるようになった。いわゆるミラーバーンだ。スパイクタイヤ装着車は自らがグリップを得るだけでなく、路面を耕すことでその後に走行するクルマがグリップしやすい路面を生み出していたが、それがなくなってしまったのだ。

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