トライアンフ・ロケット3 R(MR/6MT)
英国の狂気 2020.06.05 試乗記 胴体のド真ん中に2.5リッターの“超”大排気量エンジンを搭載した「トライアンフ・ロケット3 R」。0-60mph加速のワールドレコードを持つ英国製ドラッグマシンは、どんなジャンルやヒエラルキーにも属さない、唯一無二の存在感を放っていた。異様なまでのエンジンの存在感
『webCG』のキャッチコピーは「クルマ好きなら毎日みてる」である。そんななか、たびたびこうやってバイク関連の記事を掲載してもらえるのはとてもありがたい。いちライターとしては限られたチャンスをフルに生かし、クルマ好きの幾人かでもバイク界に引き込みたいと考えている。
正攻法のひとつが、バイクならではの身軽さをアピールすることだ。パワーウェイトレシオ1.0kg/PSを切るようなハイスペック&ハイテクマシンがわりと普通に存在することや、逆にプリミティブであるがゆえに、山野へ気軽に繰り出せるオフロードモデルが豊富にそろうことなどもそれに該当する。クルマではなかなか得難い経験を比較的安価に提供できる点もバイクの魅力だ。
ところが、まれに「ほぼクルマやん」みたいなモデルも登場する。例えばこのトライアンフ・ロケット3 Rである。
たたずまいの異様さはご覧の通りで、なにせほぼエンジンで占められている。シリンダーヘッドの上にガソリンタンクとシートを載せてタイヤで前後を挟み、なんとなくハンドルを添えて出来上がり。トライアンフのエンジニアが聞いたら激高しそうな物言いだが、それほど存在感がデカい。
見た目にたがわず、排気量は2458ccもある。そこから引き出される167PS/6000rpmの最高出力と221N・m/4000rpmの最大トルクは、「三菱アウトランダー(ガソリン4WD車)」あたりのエンジンスペックと近しい。