ホンダ・レジェンド ハイブリッドEX・Honda SENSING Elite(4WD/7AT)
千里の道も一歩より 2021.04.02 試乗記 ホンダが世界初となる「レベル3」の自動運転技術を実用化。そのシステム「トラフィックジャムパイロット」を搭載したセダン「レジェンド」の試乗を通し、現時点における世界最新の運転支援機能の実力や、既存のシステムとの違いをリポートする。“レベル3”に行き着くまでが難しい
最初に告白しておくと、今回は記念すべき自動運転レベル3(以下、レベル3)の初体験となるはずだったのに、われわれ取材班は見事にそれに失敗してしまった。
そもそも今回の取材は、レジェンドに初搭載された先進安全運転支援+自動運転機能システム「ホンダセンシングエリート」を体験するメディア向け試乗会だった。設定された試乗ルートは、東京・台場にある会場を拠点として、まずは臨海副都心入口から首都高速湾岸線を西に向かい、大黒PAでUターン、その後は同じく湾岸線を使って戻る……というものだ。このあたりを走った経験のある人ならお分かりのとおり、このルートの復路(=首都高速湾岸線・東行き)では高い確率で渋滞が発生するのだが、その渋滞こそが、当試乗会のキモである。
現時点で世界唯一となるレベル3機能は「トラフィックジャムパイロット」という商品名で、前記ホンダセンシングエリートの一部として提供される。その名から想像できるように、世界で初めて型式指定(≒市販・実用化)されたレジェンドのレベル3は、あくまで渋滞時専用となる。もう少し詳しくいうと、それは「高精度3D地図が対応している高速道路および自動車専用道路」上で「渋滞に遭遇して車速30km/h以下」まで落ちた状態で初めて作動し、以後は車速50km/hまで作動状態が維持される。実際はほかにもいくつか条件があるのだが、おおざっぱにはそういうことだ。
さらにいうと、レジェンドのそれは「しばらく順調に高速で走っていたのに、渋滞にハマってしまった」という状況でないと作動しない。つまり、まずは渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線維持支援システム(LKAS)を作動させた“ハンズオフ高速走行”を一定時間続けたうえで渋滞にハマらないと、レベル3にはたどり着けないのだ。われわれ取材班は今回、1時間半という試乗時間内に、この条件に当てはめることに失敗したわけだ。自動運転レベル3への道は、かくも遠いのであった……。
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