ホンダeアドバンス(後編)

2021.07.18 池沢早人師の恋するニューモデル 池沢 早人師 漫画『サーキットの狼』の作者、池沢早人師がその走りの楽しさを絶賛した電気自動車「ホンダe」。シティーコミューターとしての個性や完成度としなやかスポーツハンドリングに舌を巻く一方で、実はホンダに提案したいことがあるのだという。

ついついペースを上げたくなる

箱根のワインディングロードを舞台にホンダ初となる量産型EV、ホンダeに試乗し、どこかシトロエンを思わせる「しなやかな粘り腰」といえる足まわりにいたく感心したと語った池沢早人師先生。同時に「スクリーンに映像を出すのもいいけど、それよりも例えばホンダF1が鈴鹿をアタックしている際の音などを、車内で流せるようにしてはどうか」と言う。

先生がおっしゃる「音の追加」はとってもユニークなアイデアですね。「BMW i8」などでも加速時に室内のスピーカーから合成音を流していますし。
「でしょ? ホンダですから、F1だけじゃなくて『NSXの音』も作れるでしょうし、『スーパーGTの音』だってイケます(笑)。そういった音を、絶対に入れるべきだと思うんですよ」

エンターテインメントとしてもおもしろいですね。
「たとえそうしたお遊びが気に入らないとなっても、その音がいらない人は機能をOFFにしておけばいいだけですから」

なるほど。一方、電気自動車として気になるのは、やはり“航続距離”でしょうか。
「さっきも、いいペースで走ってたら残量50%ぐらいになっちゃってることに気づき、『あ……ヤバいかも』と軽くビビっていたところです(笑)」

そもそもシティーコミューターですから、バッテリー容量をウイークポイントとするのは間違ってるのかもしれませんが……。
「トロいペースで走ればそこまで(バッテリーの)減りは早くないのでしょうが、あまりにも気持ちいいクルマなので、トロすぎるペースで走る気にはなれないのが、このクルマの難しいところかもしれませんね。スポーティーなハンドリングに気をよくしていい感じの速度で走ろうとすると、ホント、目に見えてあっという間にバッテリーが減っていくんですよね」

都市部での利用を想定したというコンパクトなEV「ホンダe」。今回試乗した「アドバンス」グレードのボディーサイズは全長×全幅×全高=3895×1750×1510mm、ホイールベースは2530mmで、車重は1540kgと発表されている。
都市部での利用を想定したというコンパクトなEV「ホンダe」。今回試乗した「アドバンス」グレードのボディーサイズは全長×全幅×全高=3895×1750×1510mm、ホイールベースは2530mmで、車重は1540kgと発表されている。拡大
木目調パネルと淡いグレーのファブリックでコーディネートされる「ホンダeアドバンス」のインテリア。クラウドとAI技術を活用した対話型のインフォテインメントシステム「Hondaパーソナルアシスタント」も搭載している。
木目調パネルと淡いグレーのファブリックでコーディネートされる「ホンダeアドバンス」のインテリア。クラウドとAI技術を活用した対話型のインフォテインメントシステム「Hondaパーソナルアシスタント」も搭載している。拡大
【ホンダeアドバンス】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3895×1750×1510mm/ホイールベース:2530mm/車重:1540kg/駆動方式:RWD/モーター:交流同期電動機/最高出力:154PS(113kW)/3497-1万rpm/最大トルク:315N・m(32.1kgf・m)/0-2000rpm/タイヤ:(前)205/45ZR17 88Y XL/(後)225/45ZR17 94Y XL(ミシュラン・パイロットスポーツ4)/一充電最大走行可能距離:259km(WLTCモード)/交流電力量消費率:138Wh/km(WLTCモード)/価格:495万円

【取材時の電費データ】
テスト距離:268.8km(市街地2:高速道路6:山岳路2)/参考電力消費率:5.1km/kWh(車載電費計計測値)
【ホンダeアドバンス】
	ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3895×1750×1510mm/ホイールベース:2530mm/車重:1540kg/駆動方式:RWD/モーター:交流同期電動機/最高出力:154PS(113kW)/3497-1万rpm/最大トルク:315N・m(32.1kgf・m)/0-2000rpm/タイヤ:(前)205/45ZR17 88Y XL/(後)225/45ZR17 94Y XL(ミシュラン・パイロットスポーツ4)/一充電最大走行可能距離:259km(WLTCモード)/交流電力量消費率:138Wh/km(WLTCモード)/価格:495万円
	
	【取材時の電費データ】
	テスト距離:268.8km(市街地2:高速道路6:山岳路2)/参考電力消費率:5.1km/kWh(車載電費計計測値)拡大
関連記事
  • ホンダe(RWD)【試乗記】 2021.1.23 試乗記 「ホンダe」が素晴らしいのは運転してワクワクできるところだ。航続可能距離の短さがデメリットのようにいわれているけれど、それこそがホンダeの持つ強みだ……と筆者は主張するのだった。
  • ホンダeアドバンス(RWD)【試乗記】 2020.10.7 試乗記 コンパクトでキュートなデザインや都市型EVとして割り切った航続距離、発売を前にしての受注ストップなど、話題に事欠かない「ホンダe」。今回は上級グレード「アドバンス」に試乗し、過熱する人気の秘密を探った。
  • トヨタ・プリウスZ プラグインハイブリッド(FF/CVT)【試乗記】 2023.5.2 試乗記 過去のモデルとは一線を画すスポーティーなキャラクターと、電気のみで87kmの走行が可能という環境性能を併せ持つ「トヨタ・プリウス」のPHEV。0-100km/hが6.7秒の俊足電動マシンを前に、過去のプリウスを知るリポーターは何を思うのか?
  • フィアット500eアイコン(FWD)/ホンダeアドバンス(RWD)(後編)【試乗記】 2022.7.2 試乗記 日伊のコンパクトな電気自動車「ホンダe」と「フィアット500e」。ともにラブリーなデザインが魅力の都市型コミューターだが、両車のドライブフィールは全く異なるものだった。“選べる幸せ”を体現した2台の試乗を通し、ジドーシャの未来に思いをはせた。
  • ホンダe:僕らの好きなホンダが帰ってきた! 2019.10.24 自動車ニュース 電気自動車に既存のクルマと同じような万能性を求めるのをやめようじゃないか。こうしたある種のあきらめ=割り切りが功を奏したのが「ホンダe」だ。モータージャーナリスト塩見 智がその魅力を熱く語る。
ホームへ戻る