レクサスNX450h+“Fスポーツ”(4WD/CVT)/NX350h“バージョンL”(4WD/CVT)
すべてが新しい 2021.12.10 試乗記 「Lexus Electrified」を旗印に電動化への道をひた走るレクサス。その次世代モデルの第1弾としてデビューしたのが新型「NX」だ。同ブランド初のプラグインハイブリッド車(PHEV)を中心に、その仕上がりを試してみた。徹底的に鍛え上げたモノコック
現在のレクサスの販売構成においては、「RX」や「ES」と並ぶセールスのスリートップ。一代にしてその座を確かなものにしたNXが初のフルモデルチェンジを受けた。
レクサスはこのモデルを新しいチャプターの第1弾と位置づけている。プラットフォームは満を持しての完全刷新。パワートレインはレクサス初のPHEVに新開発の4気筒ターボ、多様な四駆の提案や新しい電子プラットフォームによるインフォテインメント環境の完全刷新など、そのトピックは枚挙にいとまがない。というわけで、まずは電動化されたパワートレインを持つ「h」系のモデルにフォーカスしながら新しいNXの素性を2回にわたって掘り起こしてみたいと思う。
プラットフォームはコーポレートでミッドサイズのモデルをカバーする「GA-K」を採用……というところで、察しのいい読者の方々ならピンとくるのではないだろうか。新型NXの骨格の土台となるのは「RAV4」や「ハリアー」で、ホイールベースやトレッドは同じだ。
が、モノコックはフロントまわりでインパネレインフォースからサスタワー、カウル下部、ステアリングコラム周辺などに補強を加え、リアまわりはゲート開口部周縁からサスタワー、フロア部を取り囲む環状構造化するなどの補強を加えている。さらにスポット溶接部のピッチを短くするだけでなく、部位に応じて従来のレーザースクリューウェルディングに加えて、光線を素材貫通させることで多層溶接時の密着力を高めたレーザーピーニングなどの新たな溶接技術を用いて剛性を強化。ほかにも構造用接着剤の使用範囲拡大や高剛性発泡剤の封入などで、徹底的に車両骨格を鍛え上げている。
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システム出力309PSの「450h+」
細かなこだわりは「IS」に続いて採用されたハブとホイールのボルト締結化だけではない。新しいNXではボンネットフードのロッカーを2点支持とした。これによって高速域での低級音や不快な微振動を抑えるだけでなく、コアサポートとの結合度が高まることで前端部の横曲げ剛性の向上にも効果を発揮する。ドイツのプレミアム勢には散見されるディテールだが、工数等の課題で見送られていたところを、新しいNX以降では積極的な採用を目指しているという。
パワートレインはハイブリッド系と純ガソリンエンジン系が各2種類で、計4種類が用意される。うち、NX全体でも最も売れ筋となることが予想されるのが「350h」だ。搭載される2.5リッター4気筒直噴アトキンソンサイクルユニットは、型式名称はRAV4と同じ「A25A−FXS」型ながら、パワーで12PS、トルクで22N・mの高回転・高出力化を果たしている。併せて、フロントモーターもひと回り大きいサイズを採用することでRAV4のそれより50%以上大きい182PSを発生。ちなみに350hはFFのほかに「E-Four」、つまりAWDも用意されるが、リアモーターのサイズやパワーはRAV4用と同じ(54PS)だ。
と、この350h E-FourのパワートレインをベースとしてPHEV化されたのが「450h+」ということになる。搭載するモーターの出力や18.1kWhのリチウムイオンバッテリー容量は「RAV4 PHV」と同じ。だが、エンジンチューニングが高回転・高出力化していることもあって、システム総合出力は309PSとRAV4 PHVに対して3PS高く、一方で満充電からのEV航続可能距離はWLTC計測値で88kmと7km短い。充電時間は家庭用の100V・6Aで33時間、200V・16Aで5.5時間となり、CHAdeMOのような急速充電システムには対応していない。ちなみにRAV4 PHVの場合、満充電の駆動用バッテリーから最大1500Wの電力を、一般家庭の消費電力換算で言えばバッテリーのみで約7時間、エンジン併用で約3日間供給することが可能だという。新型NXもこれに準ずる外部給電能力を備えていることになるだろう。
モータードライブならではの速さ
というわけで、NXの新しさを最も端的に示すのは、この450h+であることに疑いはない。それは走ってもしかりで、モーターならではの力強い発進加速を筆頭に中高速域に至るまで、EV走行時の動力性能はまわりの流れをリードできるほどに余裕がある。
0-100km/h加速6.0秒といえばヘタなホットハッチもかなわぬ瞬発力だが、アクセルを踏み込むほどにエンジンの動力も頻繁に加わるハイブリッドモードでの威勢のよさの向こうにも、やはりモーターの大トルクによるグイグイと押し込むような力感が確実に介在していることが伝わってくる。同等の動力性能でも内燃機ではこうはいかない、そういう種類の速さだ。
この速さに加えて、バッテリーを床下に敷くがゆえの重心の低さや、それを収めるフレームが加わってのさらなる床面の剛性感、さらにハイブリッドの350h E-Four比で200kgの実重増が好作用してだろう、据わりのいいライド感も450h+ならではの美点として挙げられる。反面、重さがゆえのハンドリングの鈍さは完全に拭えるものではないが、後軸側の駆動力がレスポンスよく強めにもたらされることもあって、追い込んでいった際のアンダーステアも意外なほど気にならない。
質感向上による好循環
この点、同じモーターでパワートレインが構成される350h E-Fourでは後軸側の蹴り出し感がやや控えめに感じられる。純然たる軽さがハンドリング面では効いている一方で、四駆ならではの……というよりは、やはりFFベースのモデルというドライバビリティーが強く現れる。この点についてエンジニアに聞いてみたところ、バッテリーのSOC(充電率)に応じてリアモーターへの電力配分状況が変わるため、大容量バッテリーを搭載する450h+のほうが350hより駆動環境的には変化が小さいという答えだった。
それにしても驚かされるのは新しいNXの上質なフットワークだ。恐ろしく高まったボディー剛性、軸物や摺動部のブレ感のなさ、決して軽くはないだろうバネ下の動きの収束……と、動くことのすべてにおいて伸びしろが著しい。加えて言えば、無駄な動きがことごとく抑えられているぶん、乗り心地がスッキリしているし、走行騒音も小さくなっている。ハコをきっちりつくり込んだことによる質感向上の好循環は、350hでも450h+でも、次回紹介する内燃機バージョンの「350」や「250」でも変わらない。ただし、それがもろ手を挙げての大歓迎かといえばさにあらず。ああ惜しいなぁと気になるところはいくつかあった。
……と、いやらしく引っ張りつつ、次回は大幅に進化したインフォテインメントシステムをはじめとした電子装備系にフォーカスしながら、内燃機の2モデルの詳細を取り上げたい。
(文=渡辺敏史/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)
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テスト車のデータ
レクサスNX450h+“Fスポーツ”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4660×1865×1660mm
ホイールベース:2690mm
車重:2030kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:185PS(136kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:228N・m(23.2kgf・m)/3600-3700rpm
フロントモーター最高出力:182PS(134kW)
フロントモーター最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:309PS(227kW)
タイヤ:(前)235/50R20 100V/(後)235/50R20 100V(ブリヂストン・アレンザ001 RFT)
燃費:19.8km/リッター(WLTCモード)
価格:714万円/テスト車=781万7600円
オプション装備:パノラミックビューモニター<床下表示機能付き>+パーキングサポートブレーキ<後方歩行者>+緊急時操舵支援<アクティブ操舵機能付き>+フロントクロストラフィックアシスト+レーンチェンジアシスト(9万5700円)/レクサスチームメイト アドバンストパーク<リモート機能付き>+パーキングサポートブレーキ<周囲静止物>(13万9700円)/別体型ディスクプレーヤー(18万1500円)/ルーフレール(3万3000円)/デジタルキー(3万3000円)/ムーンルーフ<チルト&スライド式>(11万円)/おくだけ充電(1万3200円)/充電ケーブル<AC200V用・15m>(8800円)/デジタルインナーミラー(4万4000円)/寒冷地仕様<LEDリアフォグランプ+ウインドシールドデアイサー>(1万8700円)
テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:853km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:---km/リッター
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レクサスNX350h“バージョンL”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4660×1865×1660mm
ホイールベース:2690mm
車重:1790kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:190PS(140kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:243N・m(24.8kgf・m)/4300-4500rpm
フロントモーター最高出力:182PS(134kW)
フロントモーター最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:243PS(179kW)
タイヤ:(前)235/50R20 100V/(後)235/50R20 100V(ブリヂストン・アレンザ001 RFT)
燃費:20.9km/リッター(WLTCモード)
価格:608万円/テスト車=687万4200円
オプション装備:235/50R20 100Vランフラットタイヤ&20×7 1/2アルミホイール<ダークメタリック塗装>(1万1000円)/パノラミックビューモニター<床下表示機能付き>+パーキングサポートブレーキ<後方歩行者>+緊急時操舵支援<アクティブ操舵機能付き>+フロントクロストラフィックアシスト+レーンチェンジアシスト(9万5700円)/レクサスチームメイト アドバンストパーク<リモート機能付き>+パーキングサポートブレーキ<周囲静止物>(13万9700円)/ルーフレール(3万3000円)/デジタルキー(3万3000円)/ムーンルーフ<チルト&スライド式>(11万円)/おくだけ充電(1万3200円)/デジタルインナーミラー(4万4000円)/寒冷地仕様<LEDリアフォグランプ+ウインドシールドデアイサー>(2万6400円)/“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステム(24万4200円)/アクセサリーコンセント<AC100・1500W、非常時給電システム付き>(4万4000円)
テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:1260km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:---km/リッター

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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