アバルト595コンペティツィオーネ(後編)

2022.01.02 池沢早人師の恋するニューモデル 池沢 早人師 自動車漫画の金字塔『サーキットの狼』の作者、池沢早人師がイタリアンホットハッチ「アバルト595コンペティツィオーネ」を最終評価。レースとチューニングの世界で名をはせた名門アバルトの末裔(まつえい)は、レジェンドの目にどう映ったのか。

ギア比の設定はイマイチ

「アバルト595コンペティツィオーネ」は“踏める”という意味で素晴らしく楽しいクルマ。ただしそのATモード付き5段シーケンシャルトランスミッションは、4速に入れると……と表情を曇らせた池沢先生。

3速まではいいとして、4速に入れるとどうなるんですか?
「1速、2速、3速とギアを上げながら走っている際は非常にいい具合なんですが、そのままの勢いで4速に入れると、途端にスピード感がなくなるんですよね。ギア比の問題だと思うのですが、4速は極端なまでにパワーバンドにのらないんです」

それだと、ちょっとずっこける感じになっちゃいますね。
「そうですね。4速に入れた途端、あれれれ……となって、もう一度3速に落とさないと加速しませんからね。高速コーナーが続く(箱根のターンパイクのような)ワインディングロードでは実質的に3速までしか使えないという点が、アバルト595コンペティツィオーネの弱点といえるでしょう」

まぁトロトロ運転するならばギア比のことなんてどうでもいいのかもしれませんが、アバルト595はそういうクルマではないですからねぇ……。
「ですね。全体として素晴らしく楽しいホットハッチであることは間違いないしタイトな山道なら問題なさそうですが、今回のステージにはギア比がマッチしないと思います」

逆に言うと、このクルマのイマイチな点は4速のギアの設定ぐらいということですかね? デザインの面も特に問題なしですか?
「昔のアバルトの流れをくんだ、うまくまとまってるデザインですよね。けっこう好みです」

漫画界のレジェンド、池沢早人師先生が最高出力180PS、最大トルク230N・mを誇る「アバルト595コンペティツィオーネ」に試乗。ハイパフォーマンスコイルスプリングやKONIのダンパー、17インチタイヤなどで締め上げられた足まわりも同車の注目ポイントだ。
漫画界のレジェンド、池沢早人師先生が最高出力180PS、最大トルク230N・mを誇る「アバルト595コンペティツィオーネ」に試乗。ハイパフォーマンスコイルスプリングやKONIのダンパー、17インチタイヤなどで締め上げられた足まわりも同車の注目ポイントだ。拡大
カーボンインサート付きのレザー/アルカンターラステアリングホイールやダッシュボード上の過給圧計、アルミ製ペダルなど、スポーティーなアイテムが採用された「アバルト595コンペティツィオーネ」のコックピット。
カーボンインサート付きのレザー/アルカンターラステアリングホイールやダッシュボード上の過給圧計、アルミ製ペダルなど、スポーティーなアイテムが採用された「アバルト595コンペティツィオーネ」のコックピット。拡大
【アバルト595コンペティツィオーネ】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3660×1625×1505mm/ホイールベース:2300mm/車重:1120kg/駆動方式:FF/エンジン:1.4リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ/トランスミッション:5段AT/最高出力:180PS(132kW)/5500rpm/最大トルク:230N・m(23.5kgf・m)/2000rpm/タイヤ:(前)205/40ZR17 84W/(後)205/40ZR17 84W(ミシュラン・パイロットスポーツ3)/燃費:13.1km/リッター(WLTCモード)/価格:421万円

【取材時の燃費データ】
テスト距離:284.0km(市街地2:高速道路6:山岳路2)/使用燃料:25.3リッター(ハイオクガソリン)/参考燃費:11.2km/リッター(満タン法)/12.6km/リッター(車載燃費計計測値)
【アバルト595コンペティツィオーネ】
	ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3660×1625×1505mm/ホイールベース:2300mm/車重:1120kg/駆動方式:FF/エンジン:1.4リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ/トランスミッション:5段AT/最高出力:180PS(132kW)/5500rpm/最大トルク:230N・m(23.5kgf・m)/2000rpm/タイヤ:(前)205/40ZR17 84W/(後)205/40ZR17 84W(ミシュラン・パイロットスポーツ3)/燃費:13.1km/リッター(WLTCモード)/価格:421万円
	
	【取材時の燃費データ】
	テスト距離:284.0km(市街地2:高速道路6:山岳路2)/使用燃料:25.3リッター(ハイオクガソリン)/参考燃費:11.2km/リッター(満タン法)/12.6km/リッター(車載燃費計計測値)拡大
関連記事
  • 新デザインの「アルファ・ロメオ・ジュリア」上陸 20台の限定車も発売 2023.5.29 自動車ニュース ステランティス ジャパンは2023年5月29日、アルファ・ロメオのスポーツサルーン「ジュリア」の一部仕様を変更し、同年6月3日に発売すると発表した。合わせて、サンルーフ付きの限定車「ロッソ スペチアーレ」も設定する。
  • アバルト595 F595(FF/5MT)【試乗記】 2022.9.3 試乗記 サソリ印のホットハッチ「アバルト595」に、ニューモデル「F595」が登場。キビキビと走らせられる小柄なボディーに、回すほどに盛り上がるエンジンを搭載したイタリア製ミニマムロケットは、ストリートでも笑ってしまう程の刺激に満ちあふれていた。
  • アバルト・グランデプント(FF/6MT)【試乗記】 2009.4.13 試乗記 アバルト・グランデプント(FF/6MT)
    ……275万4390円

    「フィアット・グランデプント」にハイチューンを施した、「アバルト・グランデプント」が日本上陸。伝統のサソリマークをいただくホットハッチの走りとは?
  • レクサスから新型コンパクトSUV「LBX」登場 日本では2023年秋以降の発売を予定 2023.6.5 自動車ニュース トヨタ自動車が新型車「レクサスLBX」を発表。全長4.2mを切る取り回しのしやすいサイズが特徴のプレミアムコンパクトSUVで、パワートレインには1.5リッターエンジンベースのハイブリッドを採用。世界観の異なる5つのグレードを用意しているという。
  • 「FIAT」ロゴ入りシートに注目 「フィアット500Xクラブ」登場 2023.6.1 自動車ニュース ステランティス ジャパンは2023年6月1日、フィアットのコンパクトSUV「500X」に、新グレード「クラブ」を設定した。「FIAT」ロゴのモノグラムをあしらったシートが特徴で、シリーズ最廉価グレードとなる。
ホームへ戻る