絶好調のランボルギーニ その快進撃はどこまで続く?
2022.02.14 デイリーコラム飛ぶ鳥を落とす猛牛
2021年、史上最高の販売台数を記録したランボルギーニ。その台数は8405台で1万台の大台も視野に入ってきた。北米、アジア、欧州の3地域でバランスよく売れているのも特徴で、そのブランド力の強さはこのところ際立っている。
わずか3モデルで8400台オーバー。うちスーパーSUVの「ウルス」がざっと6割で、スーパースポーツの「ウラカン」が3割、「アヴェンタドール」が1割だとイメージして間違いない。
またランボルギーニは近未来戦略「コル・タウリに向かって」を発表している。2023年に初の量産プラグインハイブリッドモデルをリリース、2024年までに全モデルの電動化を果たし、2020年代後半には第4の4シーターモデルをフルEVとして発表する、というのがその骨子だ。
果たして、そんなランボルギーニの未来に死角はないのだろうか?
多くのハイエンドブランドがそうであるように、現在、富裕層からの需要は旺盛で年単位でのデリバリー待ちも珍しくない状況だ。ランボルギーニも例に漏れず、2022年いっぱいの生産枠は埋まっていて、さらにこれからウルスとウラカンの追加モデルを4つ準備しているというから、しばらくは安泰だ。
要となるのは旗艦のデザイン
となると今後を占ううえで最も重要となるのは、2023年に登場するランボルギーニ初の量産PHEV、すなわちアヴェンタドール後継モデルの“デキ”である。ランボルギーニのこの10年間の成功は、1万台以上を生産したアヴェンタドールという大ヒット作によるところが大きい。ブランドのフラッグシップ=アイコンとしてかつてないほど機能したモデルだった。
新設計の12気筒エンジンを搭載することは決まっている。かの“LPレイアウト”も踏襲されるだろう。その後に続くプラグインハイブリッドモデルのイメージリーダーになる必要があるため、おそらくは「フェラーリSF90」シリーズのような、前後モーター駆動アシストの1000PSオーバーカーになる可能性が高い。誰もが驚愕(きょうがく)のパフォーマンスを持って登場することは間違いない。そこはまるで心配しなくていい。
気になるのは、スタイリングだ。大ヒット作アヴェンタドールを超えるデザインをミッティア・ボルカート率いるチェントロ・スティーレがモノにできたのかどうか。デビューを1年後に控え、すでにデザインは固まっており、プロトタイプも走り始めている。そのカタチのインパクトでアヴェンタドールを超えたのかどうか。正直に言って、「シアン」や新型「カウンタック」のデザインを見る限り、そこがちょっと心配だ。
いや、そもそもすでに全世界的なブランド力を確立しているのだから、あとはパフォーマンスさえアピールできれば問題ないという考え方もある。数年はそれでいいだろう。けれどもアヴェンタドールは今なお需要が落ちないという超ヒット作だったからこそ、ランボルギーニのブランド力は高く維持された。やっぱり次期型フラッグシップモデルにはアヴェンタドールを超えるデザイン性、世界のスーパーカーを代表するカタチになってもらわなければならない。
難題は山積み!?
販売の中心を担うウルスも不安を抱えている。デビュー直後には「いつまで売れるだろうか」などと勝手に心配したものだが、なんといまだに旺盛な需要に支えられ売れ続けている。これもまたブランド力のたまものというものだろう。2022年中にマイナーチェンジするが、2023年中にはV8プラグインハイブリッドモデルも追加される。ファミリー・ランボとしての地位は引き続き安泰、と言いたいところだが、今年中にデビューするフェラーリのSUV「プロサングエ」に話題をかっさらわれる可能性は大きい。プロサングエ登場後もスーパーSUVの頂点でいられるのか、どうか。
残るもうひとつの問題がウラカン後継モデルの出方だ。2024年まで姉妹車の「アウディR8」とともに生産されるという。2022年中には派生2グレードが登場し、2024年までの話題性とオーダーを確保することだろう。それから新型へとモデルチェンジする。これもまたデビュー当初からPHEVになるが、エンジンに関する情報がいまだ入ってこない。V10は当然ながら「ない」。6気筒以下はあり得ないとステファン・ヴィンケルマンは明言した。歴史にない、からだ(「マルツァル」というコンセプトカーがあったけれど)。
ライバルたちは軒並みV6を主力とした。マクラーレンやフェラーリの新型モデルを見ればわかるとおり、ミドシップのPHEVで総合的な運動性能を考慮すればそういう選択肢になる。果たしてランボルギーニはそこをどう解決するのだろうか。マニアは8気筒を望むだろう。ライバルがV8ならランボルギーニはV10、+2気筒がセオリーだったからだ。運動性能か、イメージか。それとも両立できるのか。
これから2024年までの3年間、ランボルギーニから目が離せないというわけだが、はっきり言ってPHEV化では出遅れた。その遅れを取り戻すことができるのかどうか。難題も山積する。まずは2023年のアヴェンタドール後継モデルに期待したい。
(文=西川 淳/写真=アウトモビリ・ランボルギーニ/編集=関 顕也)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

西川 淳
永遠のスーパーカー少年を自負する、京都在住の自動車ライター。精密機械工学部出身で、産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰(ふかん)して自動車を眺めることを理想とする。得意なジャンルは、高額車やスポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域。
-
激変する日本の自動車関連税制! 実際のところ私たちにどんな影響があるの? 2026.1.9 ガソリン税の暫定税率廃止に、環境性能割の撤廃と、大きな変化が報じられている日本の自動車関連税制。新しい税制は、私たちにどんな恩恵を、あるいは新しい負担をもたらすのか? 得をするのはどんなユーザーか? 既出の公式発表や報道の内容から考えた。
-
「ランクル“FJ”」はいつだっけ? 2026年の新車発売カレンダーを確認する 2026.1.7 2026年も注目の新車がめじろ押し。「トヨタ・ランドクルーザー“FJ”」「日産エルグランド」「マツダCX-5」など、すでに予告されているモデルの発売時期を確認するとともに、各社のサプライズ枠(?)を予想する。
-
新型「デリカミニ」の開発者に聞くこだわりと三菱DNAの継承 2026.1.6 国内で「ジープ」を生産し「パジェロ」を生み出した三菱自動車が、進化したミニバン「デリカD:5」と軽自動車「デリカミニ」に共通するキーワードとして掲げる「デイリーアドベンチャー」。その言葉の意味と目指す先を、開発者に聞いた。
-
僅差の2025年、その先へ――F1は2026年、大改革でどう変わるのか? 2026.1.5 ホンダがアストンマーティンとタッグを組んで臨むF1の2026年シーズンは、抜きつ抜かれつのバトルを視野に入れ、大幅に変更されたマシンで争われる。その内容と、勝敗の決め手、主要チームの見通しについて詳しく解説しよう。
-
激動だった2025年の自動車業界を大総括! 今年があのメーカーの転換点になる……かも? 2025.12.26 トランプ関税に、EUによるエンジン車禁止の撤回など、さまざまなニュースが飛び交った自動車業界。なかでも特筆すべきトピックとはなにか? 長年にわたり業界を観察してきたモータージャーナリストが、地味だけれど見過ごしてはいけない2025年のニュースを語る。
-
NEW
第54回:18年目の大改良! 奇跡の不老不死ミニバン「デリカD:5」のナゾ
2026.1.11小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ三菱のオールラウンドミニバン「デリカD:5」が2025年末にまたも大幅改良を敢行。しかもモデルライフが10年をとっくに過ぎた2024年に過去最高の台数が販売されたというのだから、いったい現場で何が起きているのか。小沢コージが開発者を直撃! -
NEW
フェラーリ12チリンドリ(前編)
2026.1.11思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。その名が示すとおり「12気筒」=6.5リッターV12エンジンを積んだ、新たなフラッグシップマシンである。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。 -
NEW
東京オートサロン2026(ダンロップ)
2026.1.10画像・写真今年のダンロップブースはオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」一色! 「三菱デリカD:5」や「レクサスIS」はもちろん、クラシックカーの「いすゞ117クーペ」にまで装着して展示された。東京オートサロンの会場より、ダンロップの展示を写真で紹介する。 -
NEW
東京オートサロン2026展示車両(その6)
2026.1.10画像・写真「トヨタGR86」のオフロードマシンに前身宝飾の「メルセデス・ベンツSL」、これぞ定番なドレスアップミニバンの数々……。「東京オートサロン2026」の会場より、個性豊かなカスタムカー、チューニングカーを写真で紹介する。 -
NEW
東京オートサロン2026展示車両(その5)
2026.1.10画像・写真サーキットも走れる「アバルト1000TCR仕様」に、ランボルギーニのトラクター、そして「クラウン コンフォート」ベースのドラッグマシンも! 「東京オートサロン2026」の会場より、記者の目を奪ったモデルを写真で紹介する。 -
NEW
【東京オートサロン2026】コンパニオン・モデル名鑑(その9)
2026.1.10画像・写真年明け恒例となっている、チューニングカーやドレスアップカーの祭典「東京オートサロン」。HEARTILYブースを彩るコンパニオンの姿を写真で紹介する。








































