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みるみる進む電動化 「さよならエンジン」の覚悟はあるか?

2022.06.17 デイリーコラム 清水 草一

よく考えれば先のこと

「日産サクラ」「三菱eKクロスEV」の登場は、「ついにニッポンでも主流になり得るEVが出た!」と、感慨深いものがありました。まぁ主流になり得るといっても、生産能力にも補助金にも限界があるので、販売台数はそんなに伸びないでしょうけど。

それをおいても、ああいう航続距離を割り切った比較的安価なEVこそが、今後日本の地方社会の足となり、生活を支えるのは確実だ。なにしろガソリンスタンドがどんどんなくなっているので。

「日産アリア」や「トヨタbZ4X」の登場には何も感じませんが、サクラ/eKクロスEVの登場は、とてもおめでたい気分になりました。よかったよかった!

でも私には、エンジンにさよならする覚悟はまったくありません。別にしがみついてるわけじゃなく、そんな覚悟を固める必要なんて、コレッポッチもないからです!

エンジン車の新規生産ができなくなる(?)のは、欧州で2035年から、日本では2050年からというのが、現状のスケジュールだ。2050年なんて、まだ28年も先じゃんか! 俺はその時90近いヨ! ガソリン車より俺のほうが先に死ぬ! この世にサヨナラするのは俺が先!

しかもですよ。2050年にエンジン車の新規生産が終わるとしても、それまでに生産されたエンジン車は、その後もまだまだ乗れるはず。わが家には1989年生まれの「フェラーリ328GTS」と1990年生まれの「ダイハツ・ハイゼットトラック ジャンボ」という年かさの自家用車がありますが、エンジン車は30年たってもピンピンしてる。つまり本当にエンジン車が消えるのは2080年以降! ヘタすりゃ22世紀かもしれん。いま18歳の若者ですら、その頃にはヨボヨボになるか死んでるヨ! なのにいま、そんなに急いでエンジンにサヨナラしてどこへ行く!?

2022年6月16日に発売された軽規格のEV「日産サクラ」。地域によっては補助金込みで130万円程度という実質的な低価格も追い風に、デビュー3週間で1万1000台以上と好調なセールスを記録している。
2022年6月16日に発売された軽規格のEV「日産サクラ」。地域によっては補助金込みで130万円程度という実質的な低価格も追い風に、デビュー3週間で1万1000台以上と好調なセールスを記録している。拡大
日産の量産型EV「リーフ」が2010年12月に発売されてから、はや11年半。どこでも充電スタンドが見られるようになる一方で、ガソリンスタンドの数は日増しに減少しつつある。
日産の量産型EV「リーフ」が2010年12月に発売されてから、はや11年半。どこでも充電スタンドが見られるようになる一方で、ガソリンスタンドの数は日増しに減少しつつある。拡大
こうも電動化が進みEVが常識になってくると、われわれのエンジンに対する意識も変わってくる?(写真はイメージ。「フェラーリ812スーパーファスト」の6.5リッターV12エンジン)
こうも電動化が進みEVが常識になってくると、われわれのエンジンに対する意識も変わってくる?(写真はイメージ。「フェラーリ812スーパーファスト」の6.5リッターV12エンジン)拡大
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EVの世の中にはなるだろうが……

しかもですよ、トヨタの豊田章男社長がおっしゃるように、悪いのはCO2でエンジンじゃない! カーボンフリーの合成ガソリンができれば、100年後だって200年後だって、エンジンは存続できる。いや、すでに合成ガソリンの課題はコストだけ。近い将来、確実に登場する! エンジンは生き残れる!

でもまあ、やっぱり主流はEVになるのでしょう。そっちのほうが便利で安上がりになるでしょうから。乗り味だってエンジン車よりEVのほうが上だ。EVの弱点は、バッテリーの生産および充電だけなので、それさえ解決すれば、確実にEVが主役になる。

そんな世の中で生き残るエンジン車は、うんと趣味性の高いクルマだけだ。わが家で言うと、フェラーリはどんなことをしても残したいけど、それ以外の足グルマは、EVになっても全然オッケーです。

20年後くらいには、街を走るクルマの90%くらいはEVになっているんだろう。30年後には99.9%か? ほぼEVオンリーの首都高を、甲高いフェラーリサウンドを響かせながら疾走するわが328GTS! まさに貴族! それを想像するだけでゾクゾクする! エンジン車の快楽は、現在よりも増しているに違いない!

できればそこまで生き延びたい! と思うけど、さすがにヨボヨボでフェラーリを全開で走らせるのはムリか。それが無念。

(文=清水草一/写真=向後一宏、日産自動車、フェラーリ、webCG/編集=関 顕也)

2021年12月、トヨタは16種類のプロトタイプEVを並べ電動化への意気込みを示したが、一方で、当面は多様なパワーユニットを提供し市場のさまざまなニーズに応えることの重要性にも言及した。
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カーボンニュートラルを目指すトヨタは近年、水素を直接燃焼させる“水素エンジン”搭載マシンを耐久レースに投入するなどして、EVとは異なる魅力をもつ内燃機関車の可能性を探っている。
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あのフェラーリですら、プラグインハイブリッドモデルを出す時代。とはいえ、その最新型たる「296GTS」に透明のフードを採用してエンジン本体を見せるあたり、内燃機関に対する強いこだわりが感じられる。
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清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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