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日本のファンの期待に応える伝統のスポーツワゴンのすべて

【徹底解説】新型スバル・レヴォーグ 2022.07.05 ニューモデルSHOWCASE 佐野 弘宗 スバル伝統のステーションワゴンの歴史を、今日に受け継ぐ「レヴォーグ」。2代目となった現行型でも、日本マーケットを第一とした商品づくりは健在か? 今や希少な国産スポーツワゴンの実力を、走りや燃費、先進装備の充実度など、さまざま見地から徹底解剖する。

“ジャパンファースト”のスポーツワゴン

スバルといえば、1981年にライトバンをベースにした同社初のステーションワゴン「レオーネ ツーリングワゴン」を発売。さらに1989年には、ライトバン仕様を持たないワゴン専用設計の「レガシィ ツーリングワゴン」を世に問うて、日本に一大ワゴンブームを巻き起こした。スバル、そしてレガシィは、いわば日本にステーションワゴン文化を定着させた立役者だ。

ただ、そんなレガシィも今や最重要市場は完全に北米に移っていて、その北米ではステーションワゴンはほぼ死に絶えてしまった。よって、レガシィのワゴン版もクロスオーバーSUVの「アウトバック」に統一されたが、レガシィの全盛期を知る日本のファンの間では、スバル製ワゴンへの支持は根強い。というわけで、“レガシィにかわる日本最適のツーリングワゴン”として2014年に登場したのが、初代レヴォーグだった。

初代レヴォーグは、骨格設計やホイールベースを当時の「インプレッサ」と実質的に共有しつつも、内外装デザインやターボエンジンなどの走行メカニズムは専用仕立てとなっていた。むしろデザインやメカに関しては「WRX」との共通点が多く、レヴォーグはハードウエア的に“WRXのツーリングワゴン版”といえなくもない。この初代レヴォーグは、同じくステーションワゴン需要が残る欧州や豪州にも輸出された。

現在販売されているレヴォーグは、2020年10月に発売された2代目となる。基本骨格も現行インプレッサと同じく「スバルグローバルプラットフォーム」(SGP)ではあるが、フルインナーフレーム構造を採用した上屋はもはや別物で、内外装デザインもインプレッサとは共通部分がほとんどなくなった。また先代同様に、デザインやメカニズムなどは少し遅れて発売された「WRX S4」との共通部分が多い。

“日本最優先”の商品コンセプトは2代目でも健在で、スバルの主戦場である北米への導入はなく、またCO2排出規制が厳しい欧州での販売も見送られた。いっぽう、豪州市場では新たに「WRXスポーツワゴン」の名で売り出されている。

高い走行性能が自慢のスポーツワゴン「スバル・レヴォーグ」。現行型は2020年10月に登場した、2代目のモデルである。(写真:荒川正幸)
高い走行性能が自慢のスポーツワゴン「スバル・レヴォーグ」。現行型は2020年10月に登場した、2代目のモデルである。(写真:荒川正幸)拡大
低重心かつ左右対称な構造が特徴の、スバル独自の4WD機構「シンメトリカルAWD」。初代同様、2代目「レヴォーグ」にもFFの設定はなく、全車がこのシステムを採用している。
低重心かつ左右対称な構造が特徴の、スバル独自の4WD機構「シンメトリカルAWD」。初代同様、2代目「レヴォーグ」にもFFの設定はなく、全車がこのシステムを採用している。拡大
車体構造には7代目「レガシィ」に続き、骨格を組み立ててからアウターパネルを溶接するフルインナーフレーム構造を採用。さらなるボディー剛性の強化と軽量化を実現している。
車体構造には7代目「レガシィ」に続き、骨格を組み立ててからアウターパネルを溶接するフルインナーフレーム構造を採用。さらなるボディー剛性の強化と軽量化を実現している。拡大
渋滞時のハンズオフ(手放し)走行を可能にする「アイサイトX」を採用するなど、予防安全・運転支援システム(ADAS)も充実している。
渋滞時のハンズオフ(手放し)走行を可能にする「アイサイトX」を採用するなど、予防安全・運転支援システム(ADAS)も充実している。拡大
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【ラインナップ】
充実装備のハイテク仕様やパワフルな2.4リッター版も用意

2020年10月の発売時を振り返ると、パワートレイン/ドライブトレインは1.8リッターターボエンジン+4WDのみだった。ラインナップは「GT」「GT-H」「STI Sport」の3グレードを基本としつつ、それぞれに装備を充実させた「EX」も設定し、計6グレードの構成でスタートした。

もっとも手ごろなGTでも、パワートレインは上級グレードと共通。予防安全・運転支援システム(ADAS)の「アイサイト」も、基本となる機能は網羅しており、さらに運転席パワーシートや前席シートヒーターも標準装備と、その内容に不足は感じないだろう。それが中間のGT-Hとなると、ホイールが18インチに格上げされ、内装もより手の込んだものに。助手席パワーシート、後席シートヒーター、パワーテールゲート(ハンズフリー機能付き)などが追加となり、オプションで本革シートも選べるようになる。

そして1.8リッターの最上級グレード、STI Sportでは、内外装がよりスポーティーな仕立てとなるが、それより重要なのはZF社製の電子制御連続可変ダンパーを含むドライブモードセレクトが標準装備されることだ。同システムは、「コンフォート」モードでは高級サルーンのように、「スポーツ+」モードではスポーツカーのように走る“キャラ変”を売りとしている。

これら3グレードのそれぞれに設定されるEXでは、さらに渋滞時のハンズオフ走行を可能にする「アイサイトX」や、フル液晶メーター、11.6インチ縦型センターディスプレイ、コネクテッドサービスなどの先進装備が追加される。

2021年11月には、サンルーフを新たにオプション設定し、新外板色を採用するなどの一部改良とともに、新型WRX S4と同じ2.4リッターターボを積む最速グレード「STI Sport R」「STI Sport R EX」も登場し、今にいたっている。2.4リッター車の装備内容は、グレード名からもわかるように1.8リッターのSTI Sport/STI Sport EXに、基本的に準じている。

【主要諸元】

グレード名   GT GT EX GT-H GT-H EX STI Sport STI Sport EX STI Sport R STI Sport R EX
基本情報 新車価格 310万2000円 348万7000円 332万2000円 370万7000円 370万7000円 409万2000円 438万9000円 477万4000円
駆動方式 4WD 4WD 4WD 4WD 4WD 4WD 4WD 4WD
動力分類 エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン
トランスミッション CVT CVT CVT CVT CVT CVT CVT CVT
乗車定員 5名 5名 5名 5名 5名 5名 5名 5名
WLTCモード燃費(km/リッター) 13.7 13.7 13.6 13.6 13.6 13.6 11.0 11.0
最小回転半径 5.5m 5.5m 5.5m 5.5m 5.5m 5.5m 5.5m 5.5m
エンジン 形式 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC
排気量 1795cc 1795cc 1795cc 1795cc 1795cc 1795cc 2387cc 2387cc
最高出力 (kW[PS]/rpm) 130[177]/5200-5600 130[177]/5200-5600 130[177]/5200-5600 130[177]/5200-5600 130[177]/5200-5600 130[177]/5200-5600 202[275]/5600 202[275]/5600
最高トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 300[30.6]/1600-3600 300[30.6]/1600-3600 300[30.6]/1600-3600 300[30.6]/1600-3600 300[30.6]/1600-3600 300[30.6]/1600-3600 375[38.2]/2000-4800 375[38.2]/2000-4800
過給機 ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー
燃料 レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー ハイオク ハイオク
寸法・重量 全長 4755mm 4755mm 4755mm 4755mm 4755mm 4755mm 4755mm 4755mm
全幅 1795mm 1795mm 1795mm 1795mm 1795mm 1795mm 1795mm 1795mm
全高 1500mm 1500mm 1500mm 1500mm 1500mm 1500mm 1500mm 1500mm
ホイールベース 2670mm 2670mm 2670mm 2670mm 2670mm 2670mm 2670mm 2670mm
車両重量 1550kg 1550kg 1570kg 1570kg 1580kg 1580kg 1630kg 1630kg
タイヤ 前輪サイズ 215/50R17 215/50R17 225/45R18 225/45R18 225/45R18 225/45R18 225/45R18 225/45R18
後輪サイズ 215/50R17 215/50R17 225/45R18 225/45R18 225/45R18 225/45R18 225/45R18 225/45R18
もっともベーシックな仕様の「GT」でも装備は十分。「アイサイトX」やフル液晶メーター、センターディスプレイなどを備えたハイテク仕様の「GT EX」も用意される。
もっともベーシックな仕様の「GT」でも装備は十分。「アイサイトX」やフル液晶メーター、センターディスプレイなどを備えたハイテク仕様の「GT EX」も用意される。拡大
内装は黒を基調に各部にシルバーステッチを採用。センターアームレストのソフトパッドなどは省かれるが、質感が低いという印象はない。シート表皮はトリコットとなる。(写真は「GT EX」)
内装は黒を基調に各部にシルバーステッチを採用。センターアームレストのソフトパッドなどは省かれるが、質感が低いという印象はない。シート表皮はトリコットとなる。(写真は「GT EX」)拡大
中間グレードの「GT-H」。18インチホイールとヘッドランプの高輝加飾を除くと、外観は「GT」と同じだ。
中間グレードの「GT-H」。18インチホイールとヘッドランプの高輝加飾を除くと、外観は「GT」と同じだ。拡大
インテリアでは、高触感革が用いられたステアリングホイールと、各所に施されたブルーステッチが特徴。ペダルは「STI Sport」と同じくアルミパッド付きのスポーツタイプで、シートはトリコットとファブリックのコンビタイプとなる。
インテリアでは、高触感革が用いられたステアリングホイールと、各所に施されたブルーステッチが特徴。ペダルは「STI Sport」と同じくアルミパッド付きのスポーツタイプで、シートはトリコットとファブリックのコンビタイプとなる。拡大
「STI Sport」系のグレードは、専用デザインの18インチホイールやバンパーのメッキ装飾などが特徴。ボディーカラーで「WPブルー・パール」が選べるのも、STI Sport系だけだ。(写真:荒川正幸)
「STI Sport」系のグレードは、専用デザインの18インチホイールやバンパーのメッキ装飾などが特徴。ボディーカラーで「WPブルー・パール」が選べるのも、STI Sport系だけだ。(写真:荒川正幸)拡大
内装色はブラックとボルドーのツートン。ステッチの色はレッドで、各所にピアノブラックやダークキャストメタリックの装飾が施される。
内装色はブラックとボルドーのツートン。ステッチの色はレッドで、各所にピアノブラックやダークキャストメタリックの装飾が施される。拡大
ZF製の電子制御ダンパー。路面の状態や車体の動きをセンシングして、リアルタイムで減衰力を可変制御する。
ZF製の電子制御ダンパー。路面の状態や車体の動きをセンシングして、リアルタイムで減衰力を可変制御する。拡大
「STI Sport」系のグレードに備わる、ドライブモードセレクトの操作画面。「GT」「GT-H」系のグレードには、パワートレインの制御のみを切り替えられる「SI-DRIVE」が装備される。(写真:荒川正幸)
「STI Sport」系のグレードに備わる、ドライブモードセレクトの操作画面。「GT」「GT-H」系のグレードには、パワートレインの制御のみを切り替えられる「SI-DRIVE」が装備される。(写真:荒川正幸)拡大

【パワートレイン/ドライブトレイン】
エンジンに応じてドライブトレインを使い分け

レヴォーグのパワートレイン/ドライブトレインは、水平対向4気筒ターボエンジンを縦置きするシンメトリカルAWDのみの設定となる。トランスミッションは、海外にはMTもあるが日本仕様はCVTのみ。先述のとおり、当初エンジンは1.8リッターターボのみの設定だったが、2021年秋に2.4リッターターボも登場したことで、選択肢が2種類に増えた。

先代レヴォーグもパワートレインは2種類で、1.6リッターターボと2リッターターボという布陣だった。スバルの最新エンジンは、あえて排気量を拡大することで熱効率を向上させるコンセプトで、新しい1.8リッターは従来の1.6リッター、同じく2.4リッターは以前の2リッターの代替という位置づけである。それもあって、排気量は拡大しているものの、動力性能はせいぜい“微増?”にとどまる印象だ。

たとえば新1.8リッターの177PSという最高出力は、旧1.6リッター比で7PS高まっただけだ。それより、最大トルクが300N・mと50N・mも大きくなっていることと、にもかかわらず燃費は16.5~16.6km/リッター(JC08モード、以下同じ)と、旧1.6リッターの16.0km/リッターより改善している点がこのエンジンのキモである。

いっぽう、新2.4リッターの最高出力275PS、最大トルク375N・mというピーク値は、旧2リッターのそれ(300PS/400N・m)よりむしろ下がっている。しかも、燃費も旧2リッターが13.2km/リッターなのに対し、新2.4リッターは13.1km/リッター。先代よりクルマが大きく、重くなったことを考えれば、その効率は実質的に向上していると評するべきだが、少なくとも数字的に明確な進化はない。よくも悪くも、性能的には排気量の差は忘れて、同等クラスの後継エンジンと理解すべきだろう。

これらのエンジンに組み合わせられる4WDやCVTは、それぞれ別物だ。4WD機構は、1.8リッター車が油圧多板式クラッチをフルタイム四輪駆動制御する「アクティブトルクスプリットAWD」となるのに対し、2.4リッター車のそれは、(WRX S4と同じく)リア優勢の前後不均等トルク配分(45:55)を持つセンターデフを電子制御する「VTD-AWD」となる。後者に組み合わせられるCVTも、1.8リッター版のそれとは異なる大容量型がベースの「スバルパフォーマンストランスミッション」。「SIドライブ」で「I」モード以外を選ぶと、8段のステップ変速となり、そのシフトスピードはDCTをしのぐという。

「CB18」型1.8リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンは、使用燃料がレギュラーガソリンとなるのがうれしいところ。燃費はWLTCモードで13.6~13.7km/リッターとされている。
「CB18」型1.8リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンは、使用燃料がレギュラーガソリンとなるのがうれしいところ。燃費はWLTCモードで13.6~13.7km/リッターとされている。拡大
1.8リッター車に搭載されるチェーン式CVT「リニアトロニック」。シフトパドルを使って8段の手動変速も可能だ。
1.8リッター車に搭載されるチェーン式CVT「リニアトロニック」。シフトパドルを使って8段の手動変速も可能だ。拡大
「FA24」型2.4リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジン。「アセント」(北米向けの3列シートSUV)や「WRX S4」など、スバル車のなかでもパワーが求められるモデルに幅広く搭載されている。
「FA24」型2.4リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジン。「アセント」(北米向けの3列シートSUV)や「WRX S4」など、スバル車のなかでもパワーが求められるモデルに幅広く搭載されている。拡大
2.4リッター車に搭載される「スバルパフォーマンストランスミッション」。チェーン式CVTという基本構造は「リニアトロニック」と同じだが、より大きなトルクにも耐えられるほか、ステップ変速時のシフトスピードも速くなっている。
2.4リッター車に搭載される「スバルパフォーマンストランスミッション」。チェーン式CVTという基本構造は「リニアトロニック」と同じだが、より大きなトルクにも耐えられるほか、ステップ変速時のシフトスピードも速くなっている。拡大
2.4リッター車の駆動システムには、“後輪寄り”の駆動力配分を基本としたセンターデフ式4WDシステム「不等&可変トルク配分電子制御AWD(VTD-AWD)」を採用。よりスポーティーな走りを楽しめるようになっている。(写真:郡大二郎)
2.4リッター車の駆動システムには、“後輪寄り”の駆動力配分を基本としたセンターデフ式4WDシステム「不等&可変トルク配分電子制御AWD(VTD-AWD)」を採用。よりスポーティーな走りを楽しめるようになっている。(写真:郡大二郎)拡大

【ボディーサイズ/デザイン】
全長4755mm、全幅1795mmというサイズの妙

レヴォーグを含め、日本で販売される国産ステーションワゴンは、もはや数えるほどしか残っていない。しかも、それぞれの“車格”は絶妙にズレており、互いに直接的には競合しない。

レヴォーグのスリーサイズは全長×全幅×全高=4755×1795×1500mmで、先代と比較すると全長は65mm延びている。いっぽう全幅は15mmの拡大にとどめ、1.8mのボーダーラインをギリギリ越えない1795mmをキープ。こうしたあたりに“日本最優先”の思いがうかがえる。これは国産ステーションワゴンでいうと、「マツダ6ワゴン」と「トヨタ・カローラ ツーリング」のちょうど中間となるサイズである。さらに売れ筋の1.8リッターなら、価格もマツダとトヨタの中間に位置する。

これを今度はグローバル基準で見てみると、先代同様に「CセグメントもうかがえるDセグメントのサイズ感」といえばいいだろうか。たとえばフォルクスワーゲンでいうと、全長は「ゴルフ ヴァリアント」より「パサート ヴァリアント」に近いが、2670mmのホイールベースはゴルフ ヴァリアントと同寸である。

レヴォーグの基本プロポーションはリア周辺が重すぎないスポーツワゴンスタイルだ。「ダイナミック×ソリッド」という従来のデザイン哲学に「ボールダー(BOLDER=大胆)」というキーワードが加わったのが、(市販車では)この2代目レヴォーグからだ。昨今のスバルデザインのポイントでもあるC字型のモチーフを、車体造形そのものに融合した彫りの深い前後のエンドデザインが、“大胆”ということか。さらにスポーツ性の高いSTI SportおよびSTI Sport Rは、フロントのグリルやバンパー、マフラーカッターも専用デザインとなる。

「レヴォーグSTI Sport EX」のフロントビュー。C字型のランプの意匠や六角形の“ヘキサゴングリル”などは、今日のスバル車に共通する特徴だ。
「レヴォーグSTI Sport EX」のフロントビュー。C字型のランプの意匠や六角形の“ヘキサゴングリル”などは、今日のスバル車に共通する特徴だ。拡大
サイドビューでは、リアへ向けて上がっていくベルトラインや、張り出しが強調された前後フェンダーが特徴。初代以上にスポーティーで抑揚のあるデザインとなった。
サイドビューでは、リアへ向けて上がっていくベルトラインや、張り出しが強調された前後フェンダーが特徴。初代以上にスポーティーで抑揚のあるデザインとなった。拡大
C字型のテールランプが目を引くリアまわり。「STI Sport」系のグレードでは、大型のマフラーカッターや「STI」のバッジも特徴となる。
C字型のテールランプが目を引くリアまわり。「STI Sport」系のグレードでは、大型のマフラーカッターや「STI」のバッジも特徴となる。拡大
スバルが初めて「ボールダー」というデザインコンセプトを掲げた「ヴィジヴ アドレナリンコンセプト」。2代目「レヴォーグ」の“元”とされるのは「ヴィジヴ ツアラーコンセプト」だが、同車にも共通する特徴が多数見て取れる。
スバルが初めて「ボールダー」というデザインコンセプトを掲げた「ヴィジヴ アドレナリンコンセプト」。2代目「レヴォーグ」の“元”とされるのは「ヴィジヴ ツアラーコンセプト」だが、同車にも共通する特徴が多数見て取れる。拡大

【インテリア/荷室/装備】
ラゲッジスペースにみるスバルならではの知見

インテリアはそれまでのスバル車とは一線を画す質感を実現している。『webCG』を含めたメディア記事に登場するレヴォーグは、必ずといっていいほど11.6インチという大面積の縦型センターディスプレイを備えている。そのディスプレイ上では、エアコンやナビの操作、車両のこと細かな設定などを行えるのだが、この装備はEX系のグレードに標準装備、そうでないグレードではオプションあつかいとなっている。

ホイールベースは先代より20mm延び、リアシートのレッグスペース≒前後席間距離も25mm拡大。後席にも大人がゆったりと座れる空間を備えている。ステーションワゴンのキモである荷室容量は、フロアボード上部が492リッター、サブトランクが69リッターで、計561リッター(通常時)を確保。車体が大きいマツダ6のそれ(506リッター)よりも大容量で、現在日本で買える国産ステーションワゴンでは、最大の荷室となる。

とはいえ、レヴォーグは単純に荷室容量だけを追求したパッケージレイアウトでもない。サイズ的に近いゴルフ ヴァリアントやパサート ヴァリアントの荷室容量(ゴルフは611リッター、パサートは650リッター)には明らかに及んでいない。ただ、可倒時のシートバックが波打ったり斜めに残ったりせず、シート格納時にフラットな床面が得られることや、床下のサブトランクに機内サイズのスーツケースがすっぽりと収まること、あるいは不使用時のトノカバーを床下にきちんと収納できることなど、細かい使い勝手への配慮は、さすがワゴンの経験が長いスバルらしいところだ。

「レヴォーグSTI Sport EX」のインストゥルメントパネルまわり。縦置きのセンターディスプレイを基本としたデザインコンセプトは、7代目「レガシィ」(日本未導入)から取り入れられたものだ。
「レヴォーグSTI Sport EX」のインストゥルメントパネルまわり。縦置きのセンターディスプレイを基本としたデザインコンセプトは、7代目「レガシィ」(日本未導入)から取り入れられたものだ。拡大
前席は、カップルディスタンス(左右席の座席中央間の距離)が初代より20mm長い730mmに拡大。横方向のゆとりが増した。
前席は、カップルディスタンス(左右席の座席中央間の距離)が初代より20mm長い730mmに拡大。横方向のゆとりが増した。拡大
リアシートは従来モデルより足元スペースが広くなったほか、座面長も18mm拡大。USB電源は2口設けられている。
リアシートは従来モデルより足元スペースが広くなったほか、座面長も18mm拡大。USB電源は2口設けられている。拡大
初代と2代目の荷室寸法の比較。
初代と2代目の荷室寸法の比較。拡大

【バイヤーズガイド】
スバルのフラッグシップを買うと思えば……

1.8リッターのグレードの間なら、パワートレインのチューニングにも差はなく、またタイヤもGT-H以上はすべて225幅の18インチで、もっとも安価なGTでも215幅の17インチである。絶対的な走行性能はグレード間でほとんど差がないと考えていい。そうなると、本体価格で300万円前半のプライスタグをさげる素のGTや、GT-Hにひかれることと思う。

しかし、せっかくレヴォーグを買うなら最先端のADASであるアイサイトXを備えたEX系のグレードを選ぶことをお勧めしたい。インテリアデザインも11.6インチの縦型センタータッチディスプレイが前提となっており、それを装着しないとどうにも締まらない印象である。EX系であれば、その11.6インチタッチディスプレイも標準装備だ。となると、本体価格は300万円台半ばから……となる。

もっというと、ドライバーが気合を入れたときのハンドリングだけでなく、ごく日常的な乗り心地でもSTI Sport系のグレードに備わる電子制御連続可変ダンパーの効果は絶大だ。一度それを味わってしまうと、アナログな固定減衰ダンパーのGT系の乗り心地は、どうにも硬く、快適性は物足りなく思えてしまうだろう。

これらの条件を勘案すると、最低でもSTI Sport EXを……ということになり、ツルシの本体価格だけで400万円をオーバーしてしまう。すると、より車体サイズの大きい「レガシィ アウトバック」と価格的にバッティングすることになり、一気にハードルが高くなったと感じる向きもあるだろう。ただ、車体サイズこそアウトバックのほうが大きいが、レヴォーグに投入された専用ハードウエアの数々や、“日本最優先”という企画コンセプトを考えると、このクルマこそ“日本におけるスバルのフラッグシップ”と考えたほうがしっくりくる。フラッグシップはフラッグシップらしい内容で乗りたいところだ。

(文=佐野弘宗/写真=荒川正幸、スバル、郡大二郎、田村 弥/編集=堀田剛資)

「アイサイトX」搭載車では、渋滞時のハンズオフ走行が可能となるほか、アダプティブクルーズコントロールに渋滞時発進アシストや、カーブ前速度制御、料金所前速度制御などの機能が追加される。さらに、ウインカー操作に応じて自動で車線変更するアクティブレーンチェンジアシストや、ドライバーの異常を検知して自動で停車するドライバー異常時対応システムなども搭載されるのだ。
「アイサイトX」搭載車では、渋滞時のハンズオフ走行が可能となるほか、アダプティブクルーズコントロールに渋滞時発進アシストや、カーブ前速度制御、料金所前速度制御などの機能が追加される。さらに、ウインカー操作に応じて自動で車線変更するアクティブレーンチェンジアシストや、ドライバーの異常を検知して自動で停車するドライバー異常時対応システムなども搭載されるのだ。拡大
縦型センタータッチディスプレイが装備されないと、センタークラスターは写真のような姿となる。
縦型センタータッチディスプレイが装備されないと、センタークラスターは写真のような姿となる。拡大
「EX」系のグレードには12.3インチのフル液晶メーターが装備される。ナビ画面を大映しにできるなど機能も多彩だ。
「EX」系のグレードには12.3インチのフル液晶メーターが装備される。ナビ画面を大映しにできるなど機能も多彩だ。拡大
電子制御サスペンションや、多機能なドライブモードセレクト、先進的なADASと、充実したハイテク装備も2代目「レヴォーグ」の特徴。その魅力を味わわない手はないだろう。
電子制御サスペンションや、多機能なドライブモードセレクト、先進的なADASと、充実したハイテク装備も2代目「レヴォーグ」の特徴。その魅力を味わわない手はないだろう。拡大
佐野 弘宗

佐野 弘宗

自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。

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