BMW 220iクーペMスポーツ(後編)

2022.12.01 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 「BMW 220iクーペMスポーツ」に、元トヨタのチーフエンジニア多田哲哉さんが試乗。このコンパクトなFRクーペから見えてくる、現代のクルマづくりの難しさについても熱く語る。
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存在意義は確かにある

多田さんによれば、走りについては物足りない部分も多くあるという220iクーペ。しかし、こういうクルマこそ、世の多くのクルマ好きが一番欲している存在であることも事実だろう。家族に文句を言われない実用性と居住性があり、現実的なサイズと価格で、走りも楽しめるFR乗用車は、今や世界的にも2シリーズくらいしか思い当たらない。

「FRじゃなきゃクルマじゃない……というパッケージオタクのような人は世界に一定数いますから、そういうお客さん向けには、このクルマは確かに存在意義はあります」

「本当はスポーツカーが買いたいんだけど、クルマは1台しか持てないという人は多い。4人乗りだからと『86』なんかを無理やり買っても、家族に『なにこれ?』と言われてしまう。そうなると、確かに2シリーズのようなパッケージにするしかないですよね。乗用車ベースで、このように硬めでスポーティーな味つけにするという手法はアリだとは思います。それはとても分かりやすい価値観です」

ただ「家族と折り合いをつけるスポーツモデルという意味なら、最高だったのが『ランエボ』」と多田さん。ちょっと話が横道にそれてしまうが、こうしてどんどん話が広がっていく(が、その内容が確実に面白い)のも多田さんらしいところである。ここで言うランエボとはもちろん、今から7年前の2015年に生産終了となった「三菱ランサーエボリューション」のことだ。

「特に最後の限定車(編集部注:1000台限定の『ファイナルエディション』)などはオプションをいくつか追加してけっこうな値段で売ったのに、きっちり完売しました。あれはメーカーとしてはすごくいいビジネスだったのに、なんであそこでやめてしまったのかは、個人的にいまだ疑問です」と多田さん。

 
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