トヨタGRカローラ サーキットエディション(4WD/6MT)【海外試乗記】
熱いコーナリングマシン 2022.12.14 アウトビルトジャパン 「トヨタGRカローラ サーキットエディション」は、カローラをコーナリングプレデターへと変身させる。トヨタは「ヤリス」に続き、その兄貴分をGRのラインナップに選んだ。われわれは、その新たなGRモデルをサーキットで走らせてみた。※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
緩急自在のシャシーセッティング
ぽっちゃり系の「トヨタGRヤリス」は、スポーティーな小型車ファンなら誰もがハマる、まさにルービックキューブである。そして今、トヨタはその兄貴分であるカローラに、少なくともアメリカでは、ちゃんとビタミンを補給しているのだ。
巨大なウイングフレア、巨大なエアインテークを持つ武骨なフロント、さまざまな種類のスポイラー、カーボンルーフ、3本のテールパイプを持つリアエプロンなど、日本人はこのコンパクトなワールドモデルに強力なビジュアルアタックを施したのだ。このようなクルマは、ボンネットの中にいろいろなものが収まっているに違いない。
そう、そのとおり! フロントには1.6リッター3気筒ターボエンジンが搭載され、6段マニュアルギアボックスを経由して最高出力300PS、最大トルク370N・mが、両軸にトルセンデフを備えた可変4輪駆動に供給される。通常の走行モードでは、駆動力の60%がフロントに送られるが、リアヘビーがお好みの方は、センターコンソールのロータリーコントロールで最大70%のパワーをリアに送ることができるようにもなっている。
1.5t近い車重を持つGRカローラ サーキットエディションは、0-100km/hを6.1秒で駆け上がり、最高速度は230km/hで電子制御リミッターが作動する。トヨタはトレッドの幅を広げ、路面と連動するスティッキーな235mm幅の「ミシュラン・パイロットスポーツ4」タイヤを装着している。
総じてトヨタはシャシーのセッティングに見事に成功している。ステアリングからのフィードバックは素晴らしく、パワー配分によっては駆動力さえも邪魔にならない熱いコーナリングを実現することができる。カントリーロードでは、頑丈な日本製のスポーティーなコンパクトモデルは運転するのが本当に楽しい。
誰もがそのサウンドを好むわけではない
GRカローラの3本出しエキゾーストからはゴロゴロとした音がするが、エンジンはまったく別物だ。1.6リッターターボユニットは、3つの燃焼室から十分なパワーを得ていることだけは否定できない。
少しガラガラしたビビリ音は、今も昔も好みの問題だ。そして、エンジンの話もついでに。9.8リッター/100km(約10.2km/リッター)という数値は、すでに過大な燃料消費量である。もし飛ばしたならば、当然のことながら高額の快楽サーチャージを支払うことになる。
また、ドライバーの操作性を向上させるために、GRカローラ サーキットエディションにはシートやペダルの形状を工夫したスポーツシートが採用されている。本革のステアリングホイールは、暑くなるとアルカンターラのカバーがあるとさらにグリップ感が増すと思うが、本革の表皮もとても気持ちいい。デジタルメータークラスターはやや過負荷気味だが、情報の洪水にはすぐに慣れるだろう。
これはダッシュボード中央の8インチタッチスクリーンにも適用され、ナビゲーション、サウンドシステム、車両機能のコントロールなどに使用できる。スポーティーなコンパクトモデルとして印象的なのは、さまざまな安全システムに加え、エアバッグだけでも10個も搭載していることだ。
トヨタGRカローラ サーキットエディションは、米国では4万2900ドル(約610万円)から販売されるが、ドイツでの発売は予定されていない。だが、昨今の日本製高性能コンパクトモデルの人気の高さやGRヤリスの成功などを鑑みれば、ドイツ(&欧州)でも、かなりの需要が見込めると思うのだが……。
(Text=Stefan Grundhoff/Photos=Toyota)

AUTO BILD 編集部
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