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BMW M2(FR/8AT)【海外試乗記】

価値ある投資 2023.04.28 アウトビルトジャパン AUTO BILD 編集部 これは「BMW M2」の第3弾であり、おそらく最後のM2でもある。しかし、それだからこそBMW M社は再び全力を尽くしたのだ。『AUTO BILD』のダニエル・クレイグがアリゾナへ飛んだ。

※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
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うなるほどのパワーハウス

もちろん、これは主にエンジンに起因するものだ。M2に搭載されている直列6気筒は、「M3」や「M4」にも共通するものであり、この6気筒はパワフルなだけでなく非常に経済的であることが証明されたにもかかわらず、他の内燃機関と同様に、政治家からはもはや流行とは見なされていない。

もちろん、アクセルを軽く踏んで走ればM2でも同じことができる。ビジュアル的には、70年代のワイドボディーと高性能スポーツカーをミックスしたような、レーシングライクなロードスポーツカーだ。しかも、寛容ではない。3リッター直列6気筒エンジンが発生する460PS(先代より90PSアップ)のパワーに加え、550N・mの最大トルクを発生するM2は、うなるほどのパワーハウスである。

“M2アタック”に乗る人は、静止状態から100km/hまで4.1秒で加速することができる。アクセルを踏み続ければ、13.5秒で200km/hを超え、最後は250km/hにまで上昇する。オプションリストの「ドライバーズパッケージ」にチェックが入れば、ドイツ・アウトバーンで最速のモデルの仲間入りをし、トップスピードは285km/hまでアップする。

「BMW M2」がドライビングにこれほどの自信をもたらし、人とマシンとの間にこれほどの親密さを生み出したことは、かつてなかった。
「BMW M2」がドライビングにこれほどの自信をもたらし、人とマシンとの間にこれほどの親密さを生み出したことは、かつてなかった。拡大
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大きなスポーツカーのように走る

これこそがBMW M社の面々が求めていたものなのだ。新型M2は、見た目が挑発的なだけでなく、M3やM4で切り開かれるMワールドにダイナミックに参入するものでなければならないのだ。

そのためにパワートレインとシャシー技術は、ビッグカーから転用された。その結果、全長、全幅、トレッドが大幅に拡大されただけでなく、ホイールベースも110mm拡大されたが、M2おなじみのドライビングダイナミクスが損なわれない程度のコンパクトさを保っている。

これを決定的にサポートするのが、新型M2に標準で装備されるリアアクスルドライブの「Mディファレンシャル」だ。スリップによる駆動トルクの損失が防止され、ロック率を0~100%までで自在にコントロールしてくれるので、コーナー出口の加速も鋭くなる。

その気になれば、制御された状態でドリフトすることも可能だ。
その気になれば、制御された状態でドリフトすることも可能だ。拡大

もうテールは振り回さない

もちろん、Mディファレンシャルが利くこともあるが、そのときは滑るように作動する。もはやギクシャクしながらコースに戻ることはないのだ。ダイナミックスタビリティーコントロールの介入から解放されたドライバーは、コントロールしながらコーナーをドリフトで駆けぬけることもできる。

最初の試乗では、M2が正確かつ安定的なコーナリングが可能で、人とマシンとの間に信頼関係が築かれていることが印象的であった。それを支えているのが「Mコンパウンドブレーキシステム」である。これは、Mセットアップメニューで2段階に設定することができる。

「M2」のエクステリアデザインと性能は、チューナーの仕事を奪ってしまうほどだ。
「M2」のエクステリアデザインと性能は、チューナーの仕事を奪ってしまうほどだ。拡大

マニュアルか、オートマか

ドライバーが楽しくコーナリングできるように、後輪にどのようにパワーを配分するかは好みの問題だ。500ユーロ(約8万円)の追加料金を払えば、6段のマニュアルシフトが可能となる。しかし筆者はこれを薦めない。ギアチェンジの楽しみを味わいたいのなら別だが、今やすべてにおいてオートマチックのほうが勝っている。

マニュアルのギアスティックは悪くはないものの、「ポルシェ718」の正確さにはまだ程遠い。そして、0-100km/hのスプリント(4.3秒)では、オートマチックに比べて0.2秒、0-200km/h(125mph)ではさらに0.8秒のロスがある。

M2のカーボンバケットシートは、間違いなくお薦めする価値がある。それは、標準のスポーツシートよりも10.8kgも軽いからというだけではない。ドライバーにとって本当に有益なのは、より深く車内に溶け込み、横方向のサポートが充実し、M2との結び付きがより強くなることだ。また、通常のスポーツシートのようなぜいたくな座り心地も必要ない。カーボン製のシェルは電動調整が可能で、ヒーターも付いており、薄いシートにもかかわらず長時間の移動でも驚くほど快適だ。

好みの車両設定を呼び出すための「Mボタン」は、新型「BMW M2」に標準装備されている。
好みの車両設定を呼び出すための「Mボタン」は、新型「BMW M2」に標準装備されている。拡大

スポーツサスも見事な仕上がり

アダプティブMサスペンションは実にいい仕事をしてくれる。「スポーツ」あるいは「レーストラック」モードでは、M2が路面を確実にとらえる一方で、長距離走行では、これがスポーツサスペンションであることに気づくのは不整路面を通り過ぎるときくらいだ。パッセンジャーがいないときには「レーストラック」モードのままでM2を楽しみたい。

M社が愛情を込めて非常にスポーティーにつくり上げた新型M2の総合パッケージには、それなりの対価が必要だ。オートマチックギアボックスのバージョンで7万2800ユーロ(約1055万円)、ベーシックバージョンのマニュアルギアボックスで7万3300ユーロ(約1062万円)が要求される(いずれも欧州仕様の場合)。これはとんでもない金額だ。しかし、これが最後の一台であることを考えれば、この買い物を「価値ある投資」と位置づけることもできる。なぜなら、次の「M」はこの国では純電気自動車になると、M社はすでに約束しているのだから。

結論

M社は、M2の第3弾となる最終世代に真の価値を与えることに成功した。視覚的にはチューナーにとって悪夢であり、走行技術の面では、このロードスポーツカーにはこれ以上何も望めない。BMW M2がこれほどまでに安心感を与え、ドライバーとマシンとの間に緊密な絆を生み出したことは、かつてなかったことだ。

(Text=Holger Preiss/Photos=Uwe Fischer, BMW、Fabian Kirchbauer, BMW、AUTO BILD)

記事提供:AUTO BILD JAPAN Web(アウトビルトジャパン)

マニュアルギアボックスは純血主義者のためのもので、500ユーロの追加費用がかかる(欧州仕様の場合)。
マニュアルギアボックスは純血主義者のためのもので、500ユーロの追加費用がかかる(欧州仕様の場合)。拡大
AUTO BILD 編集部

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