車内のスイッチ・ボタン類が減っているのはなぜ?

2023.05.16 あの多田哲哉のクルマQ&A 多田 哲哉
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クルマの内装で、物理的なスイッチ・ボタン類が減ってきたのは、どんな事情によるものですか? その機能を液晶パネルに置き換えることのメリットとデメリットをお聞かせください。

大前提として、運転に集中するという観点から「基本的に車内のスイッチは少ないほうがいい」という考えがあります。

それで、操作スイッチ類を液晶画面内に移管し、整理統合するという流れになっているわけですが、車内がスッキリしたように見える一方で、人によっては、使用頻度の高いものがメニューの深い階層に入ってしまい困る……ということもあるでしょう。

それを補うものとして、「Siri」や「Alexa」を含む音声認識の機能が活用されています。手動ではなく、声で操作をするわけです。その精度はどんどん高まっていますね。

あとは、クルマ側が自動で判断してくれる機能に頼るというアプローチです。例えばヘッドライトなら、「常時ハイビームで点灯できるようにしたうえで、ハイ/ローの切り替えをセンサーで自動的に行う」など。

こうした手段はますます高度化してドライバーの好みを学習するようになり、エアコンやワイパーなどの操作スイッチを減らしつつ安全・快適に運転できるようになっていくでしょう。

多田 哲哉

多田 哲哉

1957年生まれの自動車エンジニア。大学卒業後、コンピューターシステム開発のベンチャー企業を立ち上げた後、トヨタ自動車に入社(1987年)。ABSやWRカーのシャシー制御システム開発を経て、「bB」「パッソ」「ラクティス」の初代モデルなどを開発した。2011年には製品企画本部ZRチーフエンジニアに就任。富士重工業(現スバル)との共同開発でFRスポーツカー「86」を、BMWとの共同開発で「GRスープラ」を世に送り出した。トヨタ社内で最高ランクの運転資格を持つなど、ドライビングの腕前でも知られる。2021年1月に退職。