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地味に見えて絶好調! 2024年はスズキに注目せよ

2024.04.01 デイリーコラム 工藤 貴宏
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稼ぐ市場がほかとは違う

軒並み“満額回答”となっている2024年の自動車業界の春闘だが、「平均10%以上の賃上げ」と労働組合の要求を上回る回答をおこなって世間を驚かせたのがスズキ。同時に発表された同社の新たな人事制度では「大卒社員の初任給を14%以上アップ」「60歳以上で定年になった社員(の継続雇用時)も給与の減額は基本せず」と質素倹約のスズキとは思えない(そんなスズキだからこそなのかもしれないが)従業員への優しさを見せている。

ところでスズキはそんなに業績がいいというのだろうか?

調べてみたら、2024年3月期の第3四半期までの連結決算は売上高も営業利益も過去最高を記録。3期連続で増収増益とのことだ。株価も2022年5月から上がり続けていて2倍ほどになった。地味そうに見えて、実は絶好調なのだ。

そんなスズキだが、おもしろいのは稼いでいる市場が他のメーカーとは全く違うという点である。

トヨタをはじめ日産もホンダ(の四輪部門)もマツダもスバルも、一般的に日本の自動車メーカーの稼ぎ頭となっているのは北米市場。日本メーカーの多くは北米マーケットなしに語れないのだ。でも、スズキは違う。同社の絶好調の大きな理由は「四輪車の販売台数がインドで過去最高となった」ことであり、欧州や日本でも増加しているものの、それ以上にインド市場の影響が大きいのだ。ナマステー。

業績も株価も給与も“うはうは状態”のスズキ。2024年2月の国内販売を見ても軽自動車では新型「スペーシア」(写真)が2位と絶好調。登録車では「ソリオ」が同15位と健闘している。
業績も株価も給与も“うはうは状態”のスズキ。2024年2月の国内販売を見ても軽自動車では新型「スペーシア」(写真)が2位と絶好調。登録車では「ソリオ」が同15位と健闘している。拡大
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ソロバン上は将来安泰

2022年度のデータを見ると、インドにおける新車販売(約389万台)のうちスズキ車率は41.3%! インドを走るクルマの2台に1台弱はスズキという、とんでもないことになっている。少し前まではシェアが50%を超えていたのでそれに比べると下がってしまったが、とはいえインドは市場自体が成長しているのでスズキの販売台数そのものはグングン増えている。

14億人を超えるインドの人口のうちクルマを購入できる層は“わずか2割ほど”とされるが、実数としては2億人とも3億人ともいわれている。これから経済が発展するに従って、インドの新車市場はさらに広がっていく可能性が高い、というか間違いないのだ。スズキはどこかで大きな間違いさえしなければ、その将来は安泰といってもいいだろう。どう考えたって順風満帆だ。

インドのスズキ車の取りそろえを見ると、日本人もうらやむ「ジムニー5ドア」をはじめ、短い「エスクード」とか、「スイフト」のセダンとか、見たことのないクルマも含めて多くの車種がラインナップされている。日本よりもずっと車種が多いのだ。それは日本のクルマ好きの一人としてもかなり興味深い。

「スズキ・スイフト」のセダンバージョン「DZIRE(ディザイア)」。インドでは人気車種となっている(写真は同モデルのオフィシャルサイトのイメージ)。
「スズキ・スイフト」のセダンバージョン「DZIRE(ディザイア)」。インドでは人気車種となっている(写真は同モデルのオフィシャルサイトのイメージ)。拡大
スズキにとって、インドは極めて重要な市場となっている。写真は2024年1月、現地での新工場建設合意にあたり、インドのモディ首相(写真右)と語らうスズキの鈴木俊宏社長(同左)。
スズキにとって、インドは極めて重要な市場となっている。写真は2024年1月、現地での新工場建設合意にあたり、インドのモディ首相(写真右)と語らうスズキの鈴木俊宏社長(同左)。拡大

2024年内には出してほしい

さて、そんな同社だが、やっぱり気になるのは今後の日本での展開である。もっと言うと新型車だ。このところ「スペーシア」にスイフトと続けてニューモデルが登場したが、その後はどうなるのだろう? スズキはなかなか内部情報が漏れてこないが、広範囲にわたる知見から(というのはウソで、現行モデルのデビュー時期などから)予測してみた。

まずみんなが注目しているジムニー5ドアだが、「3ドアの納車をお待たせしているお客さんがたくさんいるので、なかなか5ドアまで手が回らなくて……」とスズキは言う。当初に比べると日本向けの生産台数を2倍に増やしているそうだが、それでも購入希望者が多くてウェイティングリストがなかなか減らないのだとか。でも「そろそろ出してもいいんじゃないの?」という気にもなる。

「日産フェアレディZ」が大量のバックオーダーを抱えるなかで新たに追加された「フェアレディZ NISMO」のように、「フェアレディZ(標準タイプ)の納車待ちのお客さまは希望すれば、NISMOバージョンに変更できますよ」という方式にすればいいと思うけれど、どうだろうか?

新型スイフトの登場で気になる「スイフトスポーツ」は、4代目モデル(現在販売しているモデル)のデビューがスイフト標準車の登場から9カ月後だったことを考えると2024年内の登場を期待したいところ。スズキは年末に新型車を発表して年明けに「スズキの初売り」というテレビCMを流すのが恒例になっているから……果たして?

導入待ちの日本のファンも多いであろう「ジムニー5ドア」は、インドで2023年1月にデビュー。アフリカや中南米に輸出することもアナウンスされている。2024年には国内販売も始まってほしいところだが……。
導入待ちの日本のファンも多いであろう「ジムニー5ドア」は、インドで2023年1月にデビュー。アフリカや中南米に輸出することもアナウンスされている。2024年には国内販売も始まってほしいところだが……。拡大
スズキのホットハッチ「スイフトスポーツ」は、現行型(写真)の発売から2024年9月で7年を迎える。これまでのインターバルを考えると、新型の登場もそろそろか。
スズキのホットハッチ「スイフトスポーツ」は、現行型(写真)の発売から2024年9月で7年を迎える。これまでのインターバルを考えると、新型の登場もそろそろか。拡大

クーペライクなSUVも!?

実は「ワゴンR」も、現行モデルの発売が2017年だからそろそろモデルチェンジしてもおかしくない。売れ筋のスペーシアに対して、天井だけでなくプライスも低めのキャラクターをより明確にしてくるのではないかと思う。もしかすると、こちらのほうが初売りの商材にはふさわしいか?

同様にデビューのタイミングを考えると、2015年にデビューしたエスクードも“そろそろ”ではないだろうか。いつハイブリッド化されてもおかしくないし、オフロード走破性はキープしつつ、よりオンロードでの走行性能や快適性を高めた方向に正常進化していくことだろう。

ちなみに一部報道によると、現行エスクードの販売はこの春でいったん打ち切って、その商品ラインナップの穴を埋めるために「フロンクス」というクーペスタイルの小型SUVをインドから輸入するのだとか。それが本当なら「ホンダWR-V」に続きインドからのSUVが日本で販売されることになる。「続いてジムニーの5ドアもインドから日本へ輸入」といううわさもあるが、どうだろう?

そういえば、2023年の「ジャパンモビリティショー」で展示されたコンパクトSUVのEVモデル「eVX」も2025年中には市販版を国内投入とのこと。この日本向けも、インド製になるとかならないとか。

というわけで業績が絶好調なのに加えて、今後の新型車も楽しみなスズキ。インドとの結びつきもますます深まりそうだ。

個人的には「もうかっているなら、そろそろ『カプチーノ』を復活しましょうよ」なんて言ってみたくなりますが、ダメですかね?

(文=工藤貴宏/写真=スズキ、webCG/編集=関 顕也)

スズキの小さなビッグネーム「ワゴンR」も新型のデビューが待たれる一台。「スペーシア」との違いを明確にするためにも、より買いやすい価格設定を期待したいところだ。
スズキの小さなビッグネーム「ワゴンR」も新型のデビューが待たれる一台。「スペーシア」との違いを明確にするためにも、より買いやすい価格設定を期待したいところだ。拡大
“新ジャンルのSUV”をうたう、スズキのコンパクトSUV「フロンクス」(写真)が、現行型「エスクード」と入れ替えにラインナップされるとのうわさもある。同モデルのボディーサイズは全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mmで、エンジンは1.2リッターガソリンまたはマイルドハイブリッド機構搭載の1リッターガソリンターボ。
“新ジャンルのSUV”をうたう、スズキのコンパクトSUV「フロンクス」(写真)が、現行型「エスクード」と入れ替えにラインナップされるとのうわさもある。同モデルのボディーサイズは全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mmで、エンジンは1.2リッターガソリンまたはマイルドハイブリッド機構搭載の1リッターガソリンターボ。拡大
スズキ初の量産EVを示唆するコンセプトモデルとしてジャパンモビリティショー2023に出展された「eVX」。この市販バージョンも2025年には発売されるとみられている。
スズキ初の量産EVを示唆するコンセプトモデルとしてジャパンモビリティショー2023に出展された「eVX」。この市販バージョンも2025年には発売されるとみられている。拡大
工藤 貴宏

工藤 貴宏

物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。

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