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第792回:千葉・木更津の循環型ライフスタイル提案施設でジャガー・ランドローバーの電動化に向き合う

2024.07.03 エディターから一言 生方 聡
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循環型のライフスタイルを提案する千葉・木更津のクルックフィールズで行われたジャガー・ランドローバー・ジャパンのアクティビティーに参加。最新モデルへの試乗を通じ、電動化への取り組みに触れた。
循環型のライフスタイルを提案する千葉・木更津のクルックフィールズで行われたジャガー・ランドローバー・ジャパンのアクティビティーに参加。最新モデルへの試乗を通じ、電動化への取り組みに触れた。拡大

電動化を推進する英国伝統のプレミアムブランド、ジャガーとランドローバー。その取り組みを確認するために、循環型のライフスタイルを提案する千葉・木更津のクルックフィールズで行われたアクティビティーに参加した。

広さ30ヘクタール、東京ドーム6.5個分のスペースを擁するクルックフィールズは2019年7月にオープン。場内には草間彌生をはじめとする国内外の作家によるアート作品が点在する。写真は木や草花が生い茂る土の下にひっそりと隠されたように存在し、洞窟のように横たわる「地中図書館」と呼ばれるユニークな施設。
広さ30ヘクタール、東京ドーム6.5個分のスペースを擁するクルックフィールズは2019年7月にオープン。場内には草間彌生をはじめとする国内外の作家によるアート作品が点在する。写真は木や草花が生い茂る土の下にひっそりと隠されたように存在し、洞窟のように横たわる「地中図書館」と呼ばれるユニークな施設。拡大
ジャガーブランドは2025年に完全EVブランド化、ランドローバーは2030年までにBEVを各モデルにラインナップすることを目標としている。今回の試乗イベントに用意されたジャガーとレンジローバーの最新モデル(写真)は、EVが1モデル、PHEVが7モデルという布陣だった。
ジャガーブランドは2025年に完全EVブランド化、ランドローバーは2030年までにBEVを各モデルにラインナップすることを目標としている。今回の試乗イベントに用意されたジャガーとレンジローバーの最新モデル(写真)は、EVが1モデル、PHEVが7モデルという布陣だった。拡大
自然な丘陵の傾斜を生かし、トータル発電量2.4MWを誇るメガソーラーを設置しているクルックフィールズ。場内で使用される電力の7〜8割がこの太陽光発電で賄われているという。手前のオブジェは草間彌生の「新たなる空間への道標」。(c)Yayoi Kusama
自然な丘陵の傾斜を生かし、トータル発電量2.4MWを誇るメガソーラーを設置しているクルックフィールズ。場内で使用される電力の7〜8割がこの太陽光発電で賄われているという。手前のオブジェは草間彌生の「新たなる空間への道標」。(c)Yayoi Kusama拡大
急速充電中の「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーP550e」。クルックフィールズにはCHAdeMO規格の急速充電が2基設置されている。この電力も場内のメガソーラーを用いてつくられている。
急速充電中の「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーP550e」。クルックフィールズにはCHAdeMO規格の急速充電が2基設置されている。この電力も場内のメガソーラーを用いてつくられている。拡大

気になる看板に導かれる

東京からはアクアラインを渡って目と鼻の先にある千葉・木更津は、新型車の試乗会や撮影などで比較的よく訪れる場所だ。その日もwebCGの取材でドイツブランドの新型車を取材していたのだが、運転中に目にした看板がずっと気になっていた。脇道の入り口には白地の看板にブルーの文字で「クルックフィールズ」とある。「いったい何の施設なんだろう? あとでネット検索してみよう」と思いながらも、取材が終わり、ランチを食べ終わるころには、そんなことをすっかり忘れていた。

ところがその数日後、編集部のSさんから、くだんのクルックフィールズで「JLR PHEVサステナブルエクスペリエンス」があるので一緒に取材に行きませんかという誘いがあった。“JLR”とはジャガー・ランドローバーのことで、電動化を進める同社の取り組みを確認するとともに、クルックフィールズを体験するアクティビティーが用意されているというのだ。

「こんな偶然があるんだなぁ」と少し驚きながら、ふたつ返事で取材参加を表明。そして6月中旬の晴れた日、編集部のSさん、カメラマンのHさんとともに、気になる看板に導かれるまま、ついにクルックフィールズに足を踏み入れることができた。

看板の先の坂道を上がると、広さ30ヘクタール、東京ドーム約5個分の緑のスペースが広がっている。自然の恵みとアートが見どころといい、場内には草間彌生をはじめとする国内外の作家によるアート作品が点在。それらを見て回るだけで、豊かな気持ちになる。

一方、緑の斜面には2.4MWもの発電量を誇るソーラーパネルが設置され、場内で使う電力の7〜8割を太陽光発電で賄っているという。場内には来場者が利用できる急速充電スタンドもあり、その電力もカバー。電気だけでなく、ここで提供される食べ物も、場内で採れた野菜や小麦、ミルク、卵などが多く使われ、いわゆる循環型社会の構築に取り組んでいるのがわかる。2039年までに“ネットゼロカーボン”を目指しているジャガー・ランドローバーがその道筋を説明するのに、この場所はまさに打ってつけというわけだ。

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まずはジャガーがEVブランドに

世界の自動車メーカーの多くが例えば20XX年までに「ゼロエミッションを達成」「全モデルをEVに」といった目標を掲げている。ジャガー・ランドローバーの場合、まずはジャガーが2025年からEVのみを販売するブランドになる。すでに、「XF」や「XE」は生産が終了し、残るモデルもこれから1年半のうちに引退。EVの「Iペース」はモデルチェンジにより新型へと生まれ変わる。

ランドローバー系は、2030年までにレンジローバー、ディフェンダー、ディスカバリーの各ラインナップにEVを設定。さっそく2025年にはフラッグシップモデルの「レンジローバー」からEV版が登場するというのだから、どんな仕上がりになるのか、いまから楽しみである。

ただ、ランドローバーに関しては完全なEVブランドになるのはまだ先の話で、EVと並行してPHEV(プラグインハイブリッド車)のラインナップを拡大するのがジャガーとは異なるところだ。

それに向けて、2024年の時点でレンジローバーを筆頭に「レンジローバー・スポーツ」「レンジローバー・イヴォーク」「レンジローバー・ヴェラール」「ディスカバリー・スポーツ」でPHEVが選べる充実ぶり。ジャガーとともに、電動化へ向けた動きの速さには驚くばかりだ

今回試乗した「ジャガーIペースR-DYNAMIC HSE EV400」はエアサスが装着された最高出力400PSのモデルで、車両本体価格は1623万8000円。438kmの一充電走行距離(WLTCモード)を誇る。
今回試乗した「ジャガーIペースR-DYNAMIC HSE EV400」はエアサスが装着された最高出力400PSのモデルで、車両本体価格は1623万8000円。438kmの一充電走行距離(WLTCモード)を誇る。拡大
フルデジタルのメーターパネルや、2つのタッチスクリーンが目を引く「ジャガーIペース」のコックピット。使いやすく質感の高いインパネまわりの基本デザインは、デビュー時から変わっていない。
フルデジタルのメーターパネルや、2つのタッチスクリーンが目を引く「ジャガーIペース」のコックピット。使いやすく質感の高いインパネまわりの基本デザインは、デビュー時から変わっていない。拡大
「ジャガーIペース」の2024年モデルのボディーカラーは、写真の「アイガーグレイ(サテン)」のほか「サントリーニブラック」「オストゥーニパールホワイト」の全3色から選択できる。
「ジャガーIペース」の2024年モデルのボディーカラーは、写真の「アイガーグレイ(サテン)」のほか「サントリーニブラック」「オストゥーニパールホワイト」の全3色から選択できる。拡大

現行の2モデルを再確認すると

この日はEVのジャガーIペースと、PHEVの「ジャガーEペース」「Fペース」、そして同じくPHEVのレンジローバー各モデルが試乗車として用意されていた。

「そういえば、ここしばらくIペースに乗ってないなぁ」というわけで、まずはIペースのステアリングを握ることに。日本に初上陸した2018年当時に比べて、フロントマスクやリアエンドのデザインが変わり、より精悍(せいかん)な印象となった最新版は、前後モーター合わせて400PSのシステムパワーにより、相変わらず素早い加速をみせてくれる。容量90kWhのバッテリーに対して、航続距離が438kmというのはもうひと頑張りほしいところだが、そこは次期モデルに期待したい。それを除けば、デザイン、パフォーマンスともに魅力は色あせていない。

ランドローバーからはPHEVのなかで最もパワフルな「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーP550e」をチョイス。3リッター直6ガソリンターボエンジンと217PSの電気モーターを組み合わせたパワートレインは、EVモードでも加速に余裕があり、さらに、ガソリンとモーターを併用するハイブリッドモードなら、よりパワフルな加速が楽しめる。

搭載されるバッテリーは38.2kWhと、コンパクトEVに匹敵する容量で、通勤や近場の買い物といった普段使いならガソリンを使うことなく一回のドライブを終えることができるだろう。乗り心地の良さやEVモードの静かさもこのクルマの特徴で、電動化がレンジローバー・スポーツの魅力を後押ししている。

ランドローバーではエンジン車とPHEVの価格を同レベルとしたり、PHEVのエントリーグレードを新たに設定したりするなど、より買いやすいラインナップを目指していて、PHEVがこのブランドの主役になる日が近づいていることを実感した。

(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

今回、ランドローバーのPHEVで最もパワフルな「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーP550e」を試乗車両にチョイス。ボディーパネルの段差や継ぎ目をなくしたフラッシュサーフェイスデザインが、2代目レンジローバー・スポーツのエクステリアにおける特徴だ。
今回、ランドローバーのPHEVで最もパワフルな「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーP550e」を試乗車両にチョイス。ボディーパネルの段差や継ぎ目をなくしたフラッシュサーフェイスデザインが、2代目レンジローバー・スポーツのエクステリアにおける特徴だ。拡大
スイッチ類を削減し、より洗練されたデザインを追求したという「レンジローバー・スポーツ」のコックピット。インテリアカラーには「ライトクラウド/エボニー」と呼ばれるホワイトとブラックのコンビカラーが選択されていた。
スイッチ類を削減し、より洗練されたデザインを追求したという「レンジローバー・スポーツ」のコックピット。インテリアカラーには「ライトクラウド/エボニー」と呼ばれるホワイトとブラックのコンビカラーが選択されていた。拡大
「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーP550e」は、最高出力400PSの3リッター直6ガソリンターボエンジンと同217PSの電気モーターを組み合わせたパワートレインを搭載している。
「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーP550e」は、最高出力400PSの3リッター直6ガソリンターボエンジンと同217PSの電気モーターを組み合わせたパワートレインを搭載している。拡大
「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーP550e」に搭載されるバッテリーの容量は38.2kWhと、コンパクトEVに匹敵するもの。EV走行換算距離(等価EVレンジ、WLTCモード)は116kmと発表されている。
「レンジローバー・スポーツ オートバイオグラフィーP550e」に搭載されるバッテリーの容量は38.2kWhと、コンパクトEVに匹敵するもの。EV走行換算距離(等価EVレンジ、WLTCモード)は116kmと発表されている。拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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