BMW M5(4WD/8AT)【海外試乗記】
センセーショナル! 2024.07.04 アウトビルトジャパン パワーみなぎるルックスで、システム最高出力700PSオーバーというプラグインハイブリッドシステムを搭載する新型「BMW M5」。メカニズムの概要と驚くべき走りについて、詳しくリポートする。※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
それは決して安くはない
BMW M5は、ラグジュアリークラスのスポーティーなモデルとして約40年の歴史を持ち、これまでに6世代にわたって、「アウディRS 6」や「メルセデス・ベンツEクラス」のAMGモデルといったライバルと競い合ってきた。
新世代のM5について、バイエルンのメーカーはまずサルーンを発表する。そして「ツーリング」となるが、E34型、E61型に続く3番目の「M5ツーリング」たるスポーツエステートの発表には、まだしばらく時間がかかりそうだ。
新型M5には多くの新技術が投入されるが、(そしてよくあることだが)それはタダではない。その価格は14万4000ユーロ(約2500万円)からとなっており、先代の「コンペティション」バージョンよりも8000ユーロ(約140万円)も高い。
エステートについては現時点では推測するしかないが、伝統的にノッチバックの兄弟車より少し高くなる可能性が高い。
拡大 |
見ればすごさが伝わってくる
新型M5は本物のMである! そもそもサイズからしてただの「5シリーズ」とは違うのだ。フロントで7.5cm、リアで約4.5cmワイド化されている。同じようなワイド化はアウディRS 6にも見られるが、巨大なフレアフェンダーを見ただけで、M5が新たなディメンションを持つことが確認できる。
フロントタイヤのサイズは20インチ。リアアクスルは21インチというミックスタイヤが初めて採用された。また、フロントには台形のエアインテークと垂直に配置されたエアカーテンを備えた新デザインのフロントエプロンが、リアには、モータースポーツにインスパイアされたライトエレメントを中央に備えた、強力なリアディフューザーが装備されている。
Mモデルにふさわしく、車体後方には4本出しのエキゾーストシステムのテールパイプが見える。リアまわりに垂直に配置されたエアアウトレットは、バイエルン製スポーツモデルのワイドな外観をさらに強調している。テールゲートの上部にもスポイラーリップがあり、オプションでプラスチック製または(やや大きくて目立つ)カーボンファイバー製を選択できる。
カーボンファイバー製ルーフは追加料金で注文可能。代わりに室内をより明るくするパノラミックガラス製ルーフもある。これだけでは物足りない場合は、M5用のMパフォーマンスパーツも用意されている。そしてデザインは新色で締めくくられる。写真の車両は「M3」でもおなじみの「アイルオブマングリーン」塗装仕上げである。
2023年半ば、BMWは新型M5にも実用的なツーリングが設定されることを発表した。しかし、最終的なお披露目までは辛抱強く待つ必要がありそうだ。カムフラージュされたスポーツエステートの最初のティザー画像はすでに確認されてはいるが。
拡大 |
700PS超のプラグインハイブリッド
ここ数カ月、新型M5のボンネットの下にはどのような駆動システムが搭載されるのか、多くのうわさが流れていた。そう、プラグインハイブリッドである。いくつかの競合他車とは異なり、排気量4.4リッターの8気筒エンジンが搭載され、ツインターボで過給。トランスミッションには電動モーターも組み込まれている。
圧縮比をわずかに高めた内燃エンジン(10.0:1ではなく10.5:1)がパワーの大部分を供給するが、単体での最高出力は585PSと、従来のM5コンペティション(同625PS)よりも低い。ただし、電動モーターとの組み合わせにより、システム最高出力は727PS、最大トルクは1000N・mとなる。
これはかなりのパワーだが、それでも「BMW XM」の値よりは少し小さい。容量18.6kWhのバッテリーは、最長69kmのEV走行換算距離を可能とするはずだ。静かに通勤するには十分といえる。
拡大 |
FRの走りも楽しめる
しかし、このテクノロジーには重量が伴うという欠点もある。より正確にいえば、2435kgの新型M5の乾燥重量は、先代よりも540kgも重くなっている。
これだけの重量増にもかかわらず、0-100km/hの加速タイムは3.5秒という驚異的なもので、最高速については250km/hで電子制御が介入するという。そしてオプションの「Mドライバーズパッケージ」を装着すれば、最高速度は305km/hまで引き上げられる。
先代同様、新型M5にも純粋な後輪駆動を可能にするドライビングモードがある。そのモードにおいては、727PSと1000N・mがすべて後輪に伝達されることになる。
【新型M5のテクニカルデータ一】
・パワーユニット:V8ツインターボ+電動モーター
・排気量:4395cc
・システム最高出力:727PS
・システム最大トルク:1000N・m
・駆動方式:全輪駆動/8段AT
・0-100km/h加速:3.5秒
・最高速度:305km/h(EV走行では140km/h)
拡大 |
バケットシートとは無縁
M5のインテリアはエクステリアほどアグレッシブではなく、快適なスポーツシートが標準で装備され、5シリーズではおなじみのテクノロジーがふんだんに盛り込まれている。このラグジュアリークラスでは快適性が最優先されるため、M5には「M4」でおなじみのバケットシートは採用されていない。
ご存じのように、快適性についてはスペース的な広さも重要だ。その点、このMバージョンでも、5シリーズらしい十分な空間が用意されている。最大5人の乗員のためだけでなく、トランクにも十分ゆとりがある。もちろん、古典的な内燃エンジンを搭載した場合よりは少ないだろうが……。バッテリーを含むプラグインハイブリッドシステムを収容するにもかかわらず、M5では466リッターの積載容量が確保されている。
ちなみに、スルーローディング機能のおかげで、長い荷物もサルーンに収納できる。車内についてさらにいえば、ステアリングホイールやiDriveコントローラーの「M5」ロゴなど、M5を特徴づけるさまざまな要素も際立っている。写真のとおり、アダプティブアンビエントライティングも、適切に“Mカラー”に設定されているのだ。
拡大 |
すばらしいアクセルレスポンス
われわれはすでに、カムフラージュされたBMW M5をザルツブルクリンクで走らせている。黒と白のカムフラージュフィルムの下には、多くのテクノロジーが隠されていることがよくわかる。カムフラージュとは裏腹に、M5がワイドで骨太でアグレッシブであることは一目瞭然だ。大きなほほに、大きなホイール、そして大きなブレーキ、こぶし大の4本のテールパイプ……。
この“爆撃機”はいつもそうなのだ。M5ツーリングは2024年後半に登場するが、ボンネットの下は、すべて同じだ。おなじみの4.4リッターV8ツインターボは、クロスシリンダーバンクのエキゾーストマニホールドと最適化されたオイルセパレーションが備わっている。
このV8は前述のとおり、システム総出力の大部分である585PSを発生する。残りはトランスミッションに組み込まれた電動モーターで賄われており、そのピーク出力は197PS、最大トルクは280N・mである。
停止状態からの動きだしですぐにパワーが生かされるモーターと、インテリジェントに制御されたエンジンの相互作用により、ハイブリッドシステムはアクセルペダルのあらゆる動きに遅滞なく反応するようになっている。さらに、アクティブステアリングに改良型アダプティブサスペンション、より剛性の高いエンジンマウントおよびリアアクスルマウント、フロントアクスルキャリアにボルトで固定されたステアリングシステム、そしておなじみの「M xDrive」全輪駆動システムが採用されている。
拡大 |
重さを感じさせない
試乗車(プロトタイプ)には、オプションのセラミックブレーキとカーボンルーフも装着されていた。すべてのモードを「スポーツプラス」にして締め上げたなら、さあ出発だ。4.4リッターV8は素早く回転を上げ、7000rpmで咆哮(ほうこう)もピークに達する。時折、人工的な“Eサウンド”がV8のビートと混ざり合い、一息つくと、すぐさま最大1000N・mという豊かなトルクで突き進む。
ディスプレイには小さなブーストバーが表示され、熱心に前後に揺れ動く。電動モーターが顕著に作動する競合車とは異なり、電動ブーストの気配はまったく感じられない。M5がいつもそうであるように、新型もフリーレブでクレイジーだが、すべてが一段と強烈に感じられる。
驚異的な加減速に加えて、ハンドリングも印象的だ。2.4t超という重さを感じさせない。体感的には1.9tかそれ以下だ。サスペンションと全輪駆動システムは非常によくできていて、4WDモードでは非常にニュートラルでありながらも微妙にオーバーステアになる傾向があり、4WDスポーツモードではより高い操縦性を発揮する。このトルクベクタリングは、ドライバーを不安にさせるのではなく、むしろ巻き込むような滑らかな動きを味わわせてくれる。総じてセンセーショナルだ!
結論
ニューBMW M5はさらに進化し、大幅にワイドに、そしてパワフルになった。V8ベースのハイブリッド技術のおかげで出力は十分。これはファンを喜ばせるに違いない。
(Text=Guido Naumann and Sebastian Friemel/Photos=BMW Group)
記事提供:AUTO BILD JAPAN Web(アウトビルトジャパン)
拡大 |

AUTO BILD 編集部
世界最大級のクルマ情報サイトAUTO BILDの日本版。いち早い新車情報。高品質なオリジナル動画ビデオ満載。チューニングカー、ネオクラシックなど世界のクルマ情報は「アウトビルトジャパン」でゲット!
-
【ニュース】高性能を誇るBMWのラグジュアリーエステート「M5ツーリング」が復活! その魅力とは? 2024.9.6 高性能サルーン新型「BMW M5」に続き、そのワゴンバージョンたる新型「M5ツーリング」が登場。ユーティリティーからスリルまで幅広いニーズをパーフェクトに満たす“スーパーワゴン”とは、どんなクルマなのか?
-
MINIクーパーSE(FWD)【海外試乗記】 2024.8.21 電気自動車でも内燃機関車でも、常に「クーパー」と呼ばれるようになった新型MINIのハッチバック。価格にデザイン、パワーユニット、装備、そしてドライビングテストリポートと、新しくなったMINIクーパーの全情報をお届けする!
-
スズキ・スイフト(FF/5MT)【海外試乗記】 2024.8.20 世界で900万台以上が販売されてきた大人気モデル「スズキ・スイフト」。7代目となる新型は、海外でどのように評価されているのか? これまでの成功をさらに発展させることを目指し、スズキが投入した小さな巨人に、『AUTO BILD』のスタッフが試乗した。
-
スマート#1ピュア(RWD)/#1ブラバス(4WD)【海外試乗記】 2024.8.20 続々とラインナップを拡大している、スマートブランドのフル電動SUV「スマート#1」とはどんなクルマなのか? その価格とデザインからパワーユニット、イクイップメント、試乗した印象まで、すべての情報をお届けしよう。
-
【ニュース】電動ルノー・トゥインゴの最新情報 2024.8.15 ルノーの電気自動車(BEV)を手がける新会社アンペアが、2025年にコンパクトBEVとして「トゥインゴ」を復活させる。初代トゥインゴを想起させるデザインや価格、そしてパワーユニットまで、現時点でのすべての情報をお届けする。
-
NEW
ディフェンダー・トロフィーエディション キュレーテッドフォージャパン(4WD/8AT)
2026.3.26JAIA輸入車試乗会2026カッコと走りがすばらしい、だけじゃない。黄色いボディーが目を引く「ディフェンダー」の限定車「トロフィーエディション」を前にしたリポーターは、目の前の現実のはるか先にある、伝説のアドベンチャーレースに思いをはせた。 -
NEW
おめでとう勝田貴元選手! WRCでの日本人34年ぶりの優勝に至る、14年の足跡
2026.3.26デイリーコラム世界ラリー選手権(WRC)サファリ・ラリーで、勝田貴元選手が優勝! WRCのトップカテゴリーで日本人が勝利を挙げたのは、実に34年ぶりのことだ。記念すべき快挙に至る勝田選手の足跡を、世界を渡り歩くラリーカメラマンが写真とともに振り返る。 -
NEW
第954回:イタリア式「走ったぶんだけ保険」奮闘記
2026.3.26マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、マイカーの維持費を節約するべく走行距離連動型の自動車保険に挑戦! そこに待ち受けていた予想外のトラブルの数々とは? 保険にみるイタリアのお国柄と、2カ国生活者ならではの“あるある”な騒動をリポートする。 -
フェラーリ・アマルフィ スパイダー
2026.3.25画像・写真フェラーリが2+2の優雅なオープントップモデル「アマルフィ スパイダー」を日本初公開。フェラーリならではの純粋な走りの高揚感と、4座オープンのパッケージがかなえる多様な体験価値を提供する一台を、写真で紹介する。 -
キャデラック・リリックV
2026.3.25画像・写真キャデラック初の電気自動車「キャデラック・リリック」をベースに開発された高性能バージョン「キャデラック・リリックV」が、2026年3月25日に日本上陸。その姿を写真で紹介する。 -
今やジャパニーズBEVもよりどりみどり 国産6ブランドのBEV&PHEVにまとめて乗った
2026.3.25デイリーコラム「ニッポンのBEVはまだまだ」のイメージをぬぐうべく、国産6ブランドがタッグを組んで計8モデル(一部はPHEV)を集めたメディア向け試乗会を実施。各社が目指す未来を学ぶとともに、最新モデルの仕上がりをチェックした。




































