レクサスCT200h プロトタイプ(FF/CVT)【試乗速報】
期待の新星 2010.10.13 試乗記 レクサスCT200h プロトタイプ(FF/CVT)2011年初頭の発売がうわさされる、レクサスの新型ハイブリッド・ハッチバック「CT200h」。ベースとなった「プリウス」との違いは、スポーティさの見せ方にあった。
レクサス初の5ドアハッチバック
去る2010年9月末から開催されたパリサロンに出品され、熱く注目された「レクサスCT200h」。そのうち日本でも発売されるだろうが、かなり興味深い新作だ。これまで「トヨタじゃありません、レクサスなんです」と別格感をうたってきたブランドにとって、ヨーロッパの主流であるCセグメントに参入するのは初めてのこと。それにふさわしく全長4.3m級のコンパクトな5ドアハッチバックと、カジュアルな雰囲気を満載している点も新鮮だ。
ずばり狙いは20〜40歳代のシングルかカップルで、これまでレクサスを愛用してきた層より、かなり若返ることになる(特に日本では)。こういうクルマが待っていてくれれば、格調あふれるショールームの敷居が少し低くなるかもしれない。
そんなCT200hに乗ってみた。まだ試作車の段階だというが、ざっと見たところ、すぐ明日にでも発売できそうな仕上がり。それもそのはず、「h」といえばもちろんハイブリッドを意味する記号で、すでに活躍している「レクサスHS250h」から主なメカニズムを譲り受けている。さらにプラットフォームの源流をたどれば「オーリス」「ブレイド」にまで行き着くから、世界の道路で鍛えたデータが余さず取り入れられている。そのうえでレクサスの特徴を盛り込んだボディは、大きく側面まで回り込んだリアウィンドウなど、これまでにない存在感も強調できている。
燃費はプリウス並み?
フロントの右側に4気筒1.8リッターのエンジン(99ps)、左側に82psのモーターを積み、その間を遊星ギアによる巧妙な動力分割機構(エンジンのみ、モーターのみ、その両方と受け持ちを切り換えるだけでなく、それ自体が無段変速機としても働く)で結ぶという配置は、「プリウス」で実績を積んだTHS(トヨタ・ハイブリッドシステム)そのもので、現在は第2世代のTHS-IIに進化している。つまり基本的に現行プリウスなどと共通で、両方を合計すると最高出力181ps、最大トルク35.6kgm(普通のエンジンなら3500cc級に匹敵)という怪力の持ち主だ。
実際には両方いっしょではなく、それぞれ得意な領域を担当するのだが、やる気で踏めば2.4リッター級エンジン車を置き去りにするほど強力なダッシュ力を見せつける。注目の燃費は発表されていないが、同じメカニズムを積むプリウスより少し重いことから、10・15モードで30〜32km/リッターと予想しておこうか。
おおまかに言って、走る感じはプリウスで慣れ親しんだトヨタ・ハイブリッドそのもの。まずモーターだけでスッと動きだし、踏み方によって後からエンジンが滑らかに始動する。走行パターンや交通状況によって目まぐるしくエンジンとモーターが役割を入れ換えるのは、すでにプリウスが累計200万台以上も販売された今、多くのユーザーが経験ずみだ。
予想価格は350万円〜
面白いのは、プリウスなどと反対に、ハイブリッドなのにそれらしい印象を薄めていること。たとえばメーター類も次世代を強調するデジタル表示ではなく、ごく普通の丸形だし、バッテリー残量やシステムの状態を知らせる画像部分も片隅に小さめに押し込まれている。走りっぷりもハイブリッドでありながら、コンソールのボタンでスポーツモードを選ぶと、それまでエネルギー消費と充電状態を表示していたエコメーターが一瞬にしてタコメーターに変身する。FRの「レクサスLS600h」を除けば、FF系のハイブリッドとして初めてのタコメーター搭載車だ。どうしても必要な装備ではないが、6段MT的(6変速モード)に使えるパドルシフトともども、オードックスなクルマ観を持つドライバーにも、ある程度スポーティな手応えを感じてもらおうという配慮に見える。
ボディとシャシーの仕上がりも、それにふさわしい水準に達している。フロントがマクファーソンストラット、リアがダブルウイッシュボーンという形式はオーリス/ブレイドやHS250hと変わらないが、新型が出るたびに熟成が進み、新しいCT200hでは、ほとんどスポーツセダンと呼べるほど操りがいが濃い。電動パワーステアリングの手応えは重からず軽すぎず(スポーツモードでは少し重めに変わる)、まったく記憶に残らないほど自然。スッと切り込むと同時にクルマの鼻先が行きたい方向に向き、フロントから確実な踏ん張り感が伝わってくる。コーナリング中に乱暴なアクセル操作をしてもフラフラ不安定になったりしない。普通に運転する限り、基本的に安全な性格の持ち主といえる。
とりあえず現時点で予定されているグレードは基本仕様の「version C」、少しラグジュアリーな「version L」、スポーティな味付けがわかりやすい「F SPORT」の3種類。基本的なメカニズムは共通で、ハッチバックからの荷室の使い勝手も変わらないから、選択は好みと予算次第だ。噂によると先輩格のHS250hより少し安いらしいから、300万円台の半ばだろうか。新しい時代の空気をリッチな感覚で満喫するのに、きっと絶好の伴侶になるはずだ。
(文=熊倉重春/写真=郡大二郎)

熊倉 重春
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