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失敗できない新型「CX-5」 勝手な心配を全部聞き尽くす!(後編)

2025.12.20 小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ 小沢 コージ
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前編に続いて新型「マツダCX-5」の気になるところを開発スタッフに直撃だ!
前編に続いて新型「マツダCX-5」の気になるところを開発スタッフに直撃だ!拡大

期待はしつつも正直心配多めなマツダの屋台骨SUV、新型「CX-5」。2026年に登場する3代目の全長&ホイールベースが10cm以上長くなった功罪や、リアシートの広さが「CX-60」を超える下克上問題を前編(参照)で直撃したけど、さらに気になってるのはコスパと例のデカモニターまわりのメカスイッチ減らし問題とデザインの改変などだ。

ホントに大丈夫なんですか、開発主査の山口浩一郎さん!

国内では2026年に発売される新型「CX-5」。プラットフォームは現行の進化型のFF系を使っている。
国内では2026年に発売される新型「CX-5」。プラットフォームは現行の進化型のFF系を使っている。拡大
新型「CX-5」の開発主査を務める山口浩一郎さん。価格については頑張ってくれるみたいだが……。
新型「CX-5」の開発主査を務める山口浩一郎さん。価格については頑張ってくれるみたいだが……。拡大

CX-5はコスパが売りでしょ?

小沢:前回に引き続き、CX-5の最大の美点はやはりコスパかと。ソフトパッド使いまくりの内装に欧州車顔負けの外観、それでいて200万円台から買える手軽さがすごかったわけで。

一方、2026年に出てくる「トヨタRAV4」は全車ハイブリッド化で価格は上がるだろうし(注:2025年12月17日発売で450万円~)、「スバル・フォレスター」も全車400万円超え。価格高騰は避けがたいところですが、やはりCX-5の買いやすさもなくなってほしくないという……。

山口:ワタクシ主査としてもそこは一大課題で、このインフレのなか、材料費やパーツ代の高騰をいろんな方面で検討しながら日々の使い勝手にも徹底してこだわる。そういった方々にぜひ届けたいという意味では、アフォーダブルな価格を実現するのも命題です。

小沢:ちなみに新型のプラットフォームは基本的には現行の進化形ですよね?

山口:はい。

小沢:つまり新作じゃないし、当初の2.5リッターガソリンマイルドハイブリッドや6段ATも既存の進化形だから、そういう意味では絶対安くできると思うんです。他社が価格を上げてくるなか、マツダさんは実利というか逆に安さで攻める作戦できたらいいなぁとか勝手に思っているんですが。

山口:そこはご期待に応えるべく……(笑)。

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オシャレすぎて会社帰りにスキーに行きづらかった?

小沢:一方、エクステリアですがさっきデザイナーの椿 貴紀さんに聞いて面白かったのが、2代目はオシャレでいいんだけど、逆にカッコよすぎて会社帰りにスキーに行きづらいみたいなところがあった? とか。

椿:それは初代CX-5と比べて……という部分で、初代からエレガントになって実際そうなったというご評価は頂いているんですけど、そうなった反面……という。

小沢:ま、ないものねだりというか、オシャレでカッコイイに越したことはないと思うんですが、確かに現行型は商品改良でアウトドア向けの「フィールドジャーニー」とか出してて、土臭い感覚を取り戻そうとしてましたよね。具体的にはCX-60で導入したボディーサイドの移ろいゆく陰影みたいな美しい官能表現は、新型CX-5では抑えてきたようなイメージが。

椿:そうですね。近年「アイコニックSP」や中国の「EZ-60」でトライしたような、シンプルで張りのある面で表現しています。

小沢:タフに使えて、それでいて美しいみたいな部分ですか?

椿:はい。近づいて実車を見ていただくと分かるんですが、光の入り方や環境によって表情が変わる部分は取り入れていますので。それが「魂動デザイン」なのかなと思っています。

小沢:やはりSUVデザインって難しいですよね。2代目は今もカッコイイし、キレイだと思うけど、SUVはどうしてもタフでラギッド! みたいなところが求められる部分がある。これは国によっても違いますか?

椿:基本的には同じだと思います。ただ、日本よりむしろアメリカのほうがタフでハードな運転環境が多いので。

小沢:美しすぎるデザインへのネガがあるわけですね。

新型「CX-5」のチーフデザイナーである椿 貴紀さん。現行型はエレガントになりすぎた部分があったという。
新型「CX-5」のチーフデザイナーである椿 貴紀さん。現行型はエレガントになりすぎた部分があったという。拡大
新型のフロントマスク。確かに力強さがアップしている感じがある。
新型のフロントマスク。確かに力強さがアップしている感じがある。拡大

メカスイッチ排除、それって本当にマツダらしい?

小沢:もう一つはインターフェイスですけど、画面がデカくなったのもそうなんですが、今回は物理スイッチを思い切って排除してきた。正直、この領域はマツダは絶対にやってこないと勝手に思ってたんです。マツダといえばやっぱり「人間中心」の物づくりなんで、いたずらにトレンドを追いかけるのではなく、メカスイッチのほうが安全という部分に最後までこだわるだろうと。そしたら今回センターに15.6インチの大型ディスプレイを使い、エアコンを完全にタッチスイッチ化してきた。

山口:はい、そうです。

小沢:本当に大丈夫なんでしょうか?

山口:すでにご説明しておりますが、安全思想はまったく変わっていません。人のわき見を極力減らすという目的のもと、音声認識を多用しています。素晴らしい機能を手に入れましたので。具体的にはGoogle搭載です。これで例えばアウトバーンで180km/hで走っているときでも、視線をそらさずに温度コントロールができる。逆に物理スイッチが10個以上並んでいたら、そういうシーンでは扱えないんです。

大型ディスプレイも、実はCX-60のディスプレイ上端より上には出ていません。つまり視界を遮らずになおかつ上下に見やすくなっている。地図は縦方向の画角が絶対必要で、大画面のメリットを生かして下に伸ばしていますから。

小沢:なるほど。

山口:エアコンのタッチスイッチもレイアウトを工夫し、ハンドルの一番近いところに温度コントロールを置き、しかも常時表示。実際に触っていただければ分かりますが、ワンタッチでスライドさせれば一瞬で終わる。まずは先入観を持たずに体感していただきたいと思います。

小沢:エアコンの音声操作による使い勝手も相当頑張ったんですよね?

山口:まず、基本操作は完全に素早くできて、例えばステアリングスイッチを押したら、0.77秒ぐらいで一瞬で起動し「温度24度」っていうラフな音声発話にも対応してくれます。トンネルに入った瞬間の内気循環切り替えとか、寒い朝のシートヒーターとかステアリングヒーターのオンオフも全部音声でできますからかなり便利です。

小沢:それから気になったのがみんなGoogleじゃないですか。「ホンダ・アコード」も日産と三菱の軽もGoogleになったし、ボルボはとっくに採用していて、今回マツダまでGoogleになって。Appleはどうなってるんですか?

山口:音声認識のレベルをはじめ、うちのコンセプトと合うところを探した結果がGoogleでした。

小沢:Google独り勝ちになっちゃいそうっていうか、マツダ独自のアレンジみたいのはどうなってるんですか?

山口:車両連携のところは、マツダとGoogleの共同開発です。例えば、燃料残量を聞くとか、細かい話ですけれど、給油口はどっち? という質問にもちゃんと答えてくれます。

新型では一部を除いてメカスイッチをなくし、操作の主体をタッチスクリーンに集約。ステアリングスイッチもタッチ式だ。
新型では一部を除いてメカスイッチをなくし、操作の主体をタッチスクリーンに集約。ステアリングスイッチもタッチ式だ。拡大
デフロスターのスイッチは残っているが、エアコンのほとんどはタッチ操作に変わった。優れた音声認識が使えるので問題ないとのことだ。
デフロスターのスイッチは残っているが、エアコンのほとんどはタッチ操作に変わった。優れた音声認識が使えるので問題ないとのことだ。拡大

再びCX-60下克上問題を問う!

小沢:内装のクオリティーとか結構高そうですね。ファブリックとレザー系が選べて。最後にしつこいですが、これまたCX-60を超えちゃってる部分とかないんですか? ナッパレザーとかも使ってるし。

山口:そこはいろいろつくり分けをしていて、CX-60は素材とかメッキとかでいい物を使い、しっかり高級感を表現しています。それに対して新しいCX-5は、メッキは少ないし、ソフトパッドの造形なんかもすっきりシンプル、クリーンなデザインにしています。素材もテイストもかなり変えているんです。

小沢:なんかマツダさんは後先考えずに全部に全力投球しそうで(笑)。クオリティーで一部CX-60超えってところはないですよね?

山口:もちろんシンプル&クリーンさでいうと勝っていると思いますけれど、高級感&上質さはCX-60のほうでしっかりつくり込んでいます。

小沢:分かりました。まだざっくりしか見てないので今度両車をじっくり乗り比べてみようかと思います。いずれにしろ期待してますので、またよろしくお願いいたします。

山口:ありがとうございました。

ってなわけで伝家の宝刀ディーゼルをなくす思い切った決断をした運命の3代目CX-5! なんだかんだでマツダの命運を左右しそうなので、今後もしっかりチェックしたいところ。

みなさんも、正直な感想をお寄せくださいな! webCGやKozziTVまで!

(文=小沢コージ/写真=マツダ、小沢コージ/編集=藤沢 勝)

ホイールベースが延びたおかげで、新型のリアシートは現行モデルよりも広くなった。車格的には上になる「CX-60」よりも広い。
ホイールベースが延びたおかげで、新型のリアシートは現行モデルよりも広くなった。車格的には上になる「CX-60」よりも広い。拡大
写真左が現行型で右が新型。マツダの命運を握るモデルだけに期待したいところだ。
写真左が現行型で右が新型。マツダの命運を握るモデルだけに期待したいところだ。拡大
小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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