レクサスLS460 バージョンSZ lパッケージ(FR/8AT)/バージョンUZ(4WD/8AT) 【試乗記】
“らしい”が一番 2009.11.04 試乗記 レクサスLS460 バージョンSZ lパッケージ(FR/8AT)/バージョンUZ(4人乗り)(4WD/8AT)……1059万1350円/1381万7150円
レクサスのフラッグシップ「LS」に小変更が実施された。あわせて追加された新グレードとは? 『webCG』のコンドーと関がチェックしてみた。
3年目のプチ整形
コンドー(以下「コ」):う〜ん、なんかヘンや。どっか違うで、このLSの顔は!
関(以下「せ」):よくわかりましたねぇ。じつは最近、プチ整形したんですよ。
コ:「プチ整形」って言葉、最近聞かへんけどな……って、レクサスのフラッグシップたるもんが、お手軽に顔変えてええんか、な?
せ:マイナーチェンジってやつですから。実際は、それほどでもないですよ。グリルの横バーが7本から5本になって、バンパーのエアインテークの形や前後ランプの造りが変わったくらい。
コ:それだけにしては、ずいぶん印象が変わったなぁ。もともと持ってたバタくささが薄くなって、なんや、謎の中国ブランドっぽい感じがする。レクサス風のな。
せ:実際、そんな狙いがあるのかも……「これからはやっぱり中国市場だろう!」って。
コ:まぁ、北米はあんなんなってしもうてるしな。よく見ると、バンパーの縁もエアロな感じに伸びてるし、サイドモールも違う。マイチェンはわかったけど、このクルマはエアロ仕様なん?
せ:今回追加された新グレード「バージョンSZ」です。走りの楽しさを追求したという、スポーティなモデルで……。
コ:SZって、もしかして、イタリアのカロッツェリア「ザガート」のデザインだったりして?
せ:いえ……アルファベットの最後文字を付けて、“バージョンSの最上級”を示しているらしくて……。
コ:ホイールもデカいな。専用デザインの19インチ!
せ:なかに見えるブレーキはブレンボ製です。専用設計のスポーツシートとか、内装にも手が入ってるんですよ。
コ:……って、言われへんと気いつけへんほど、“プチ”な違いやけどな。ま、サイドサポートがデカくて乗り込みにくいLSゆうのもマズいか。
せ:メーターデザインの違いのほうが大きいかも。スピードとタコのオーソドックスな2眼から、スピードを主役にした1眼に変わりました。
コ:……って、これ、サイズ自体がデカすぎやろ! ベテランユーザー多いから、老眼対策ていうわけでもなかろうに。
せ:もちろん数字も大きくなってます。ベテランの所有感を満たすべく、180km/hから280km/hスケールに変更したのだとか。
コ:「280km/h出まっせー」ってジマンするわけやな! とはいえ、大事なのは、中身。どのくらい違いがあるのか、乗ってみよか。
スポーティ(な気分)になれる
せ:スポーツシートも表面の感触が柔らかい。レクサス車共通の、いいもの感のあるところ。
コ:乗り心地も、とくに硬いというほどでもない。足は、専用のスポーツサスペンションなんやて?
せ:低速時の路面の追従性を高めるようダンパー特性を改めたとか。バージョンSZは国内専用モデルだけれど、足回りの部分は欧州仕様車もほぼ共通だそうです。
コ:なんか、フロアからブルブル伝わってくる微振動が気になる。個体差があるのかもしれんけど。
せ:エンジンなど、動力性能面はそのまま。コーナリング性能の違いも、今日のようなチョコチョコ乗り程度でわかるほどではないですね。
コ:まぁたしかに、ホンのチョイ乗り。おっ、ステアリングホイールに変速パドルが付いてる!
せ:8段ATの変速パターンもスポーティに変わってるんですよ。
コ:でもそれって、スムーズさを狙って多段化したのと矛盾するんちゃうん? 8段ものギアをマニュアル操作するのも、めんどくさい。ホンマにLSのユーザーが欲しがるかなぁ?
せ:スポーティなLSを出すにあたっては、市場の声も大きかったようですよ。BMWやメルセデスからの乗り替えが思ったより少ない裏には、「走りがイマイチ」という評価もあったようで。
コ:つまり、SZは“ドイツ車対策”か。でも、あっちの「M」や「AMG」はエンジンからして違うからなぁ。そこと張り合うようなスポーティモデルにはなってない。あくまで演出レベル。高速道路を走ってたら、「さすが」ってなったかもしれんけど……。
せ:名前にFが無いように、ハイパフォーマンスモデルの「IS F」とは、出発点から違うんですね。海外のハイパフォーマーと戦うなら、モーター付きの「LS600hベース」で、日本オリジナルの俊足バージョンが造れるんじゃ?
コ:それは、エコイメージと相反するからできへんのやろ。走りのほうは「IS F」や「LFA」に任せておいて、LSは、「ビックリするほど静かだ」とか「めちゃくちゃ乗り心地が優しい」とか、そういう方向に突き進んだほうがええと思うわ。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
幅広く「おもてなし」します
せ:そこでもうひとつの新グレード、「バージョンUZ(4人乗り)」をどうぞ! 従来は、「後席セパレートシートpackage」と呼ばれてたモデルです。
コ:そうそう、この乗り心地! いまいちスッキリしないSZに比べて、断然LSらしくていい。 それに、こっちでもスポーツモード選べるわけやし。
せ:SZに限らず、LSは今回、細かいカイゼンが実施されてるんですよ。ランバーサポートの調節位置がより自然になったり、荷室容量が50リッター増えたり、トランクリッドの電動オープン速度が2秒速まったり。
コ:2秒って……LSユーザー、どんだけせっかちやねん。
せ:新しく導入された、内装のカスタマイズプラン「Lセレクト」もおすすめです。シート、ドアトリム、本木目パネルなど、お好みの色と素材で最大3万通りのアレンジが可能になりました。
コ:「おすすめです」って、セールスマンかいな? まぁ、こういうオーダーも、国産車なら納期も早そうやし、最初からあってもよかったよな。トヨタ生産方式とは相容れへん感じもするけど……。けど、これでドイツのライバル車に追いつけるかな?
せ:極薄のウッドを藤細工のように編み上げたヤマハ製の「編杢パネル」とか、輸入車にはないオススメアイテムも、しっかりご用意!
コ:よっ、匠の世界! って、パネルだけで120万円!? セミアニリン本革パッケージが160万円で、ウールファブリックパッケージが130万円。我儘ってお金かかるもんやね〜!
せ:でも、LSのスポーティグレードや内装のカスタムプランなんて、新しい提案ができたのは大きな一歩。欲をいえば、「RX」や「HS250h」で採用されたリモートタッチみたいな新機能も盛り込んでほしかったです。
コ:まぁ、それは次回のお楽しみやろ。ハイパフォーマンスがウリの「LS F」ってのも、セダンの日本代表としては、ちょっと見てみたい。
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=webCG)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。