第96回:スポーツカーを、カッコよく運転したい!! 〜ポルシェに乗って、ドラテクの基礎を学ぶ!
2009.06.25 エディターから一言第96回:スポーツカーを、カッコよく運転したい!! 〜ポルシェに乗って、ドラテクの基礎を学ぶ!
2009年5月27日、富士スピードウェイでポルシェ・ジャパン主催の「スポーツドライビングスクール」が開催された。
スポーツカーの代名詞ともいえる“ポルシェ”が行うドライビングスクールとはいったいどんなものなのか、『webCG』ワタナベが参加してきました。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
オーナー気分で
とある日、ポルシェ・ジャパンから「ポルシェのドライビングスクールがあるんですけど参加しませんか? 」とのお誘いをうけた。「なぜわたしに?」 と聞いてみると、女性ドライバーにアピールしたいからとのこと。
そういえば最近、ポルシェをカッコよく乗りこなしている女性ドライバーをよく見かける。スポーツカーの代名詞、ポルシェのドライビングレッスンを受ければ、あんな風に走れるのでしょうか?
ポルシェといえば、つい最近「911タルガ」で都内を走る機会があって、あまりの乗りやすさに驚いたことがあった。詳しい理由はわからないけれど、とにかく運転しやすい。苦手な左ハンドル車だったのに、それも気にならない。「運転うまくなった!?」 なんて錯覚してしまうほどに……。「いまごろ何を言うてんの! 」と突っ込まれそうだけど、乗ってみてホント実感。ポルシェファンの多い理由もわかるなぁと。
そんなこんなでポルシェのドライビングスクールに参加することになった私。ひとときの友(?)「ボクスター」と共に静岡県にある富士スピードウェイへ向かったのです。
会場には、いろんなポルシェがズラ〜っと60台以上! おっと、なんかすごい。そう、このドライビングスクールは、ポルシェオーナーが愛車を持ち込んで体験するもの。ポルシェ初心者の私が、一緒に参加して大丈夫なのかとすこしビビッてしまった。
早速受付を済ませ、本日のプログラムの説明と、クルマの基礎講座を受ける。
このドライビングスクールは、一般公道では体験できないポルシェ車の性能を体感し、ハイスピードドライビングのテクニックを習得できる。オーナーにとっては自分のクルマの性能を確認する場でもあるのだ。
この日のプログラムは、ドライビングの基本を学ぶ「Warm UP」プログラムという一番ベーシックなコース。「走る、曲がる、止まる」の基本となる、ブレーキング、ハンドル操作、アクセルコントロールなどを習得することが目的で、内容は、「スラローム」「急制動・回避」「定常円旋回」の3コースからなる。
|
インストラクターは、清水和夫さん、佐藤久美さん、織戸学さん、脇阪薫一さんといった、そうそうたるメンバー。清水和夫さんによるクルマの基礎講座では、タイヤで走る、曲がる、止まる力が発生すると、車には3つの力「ロール」「ピッチング」「ヨーイング」が働くこと、エンジン位置と駆動方式によって、クルマの形、挙動が異なることなどをお勉強。
「運転するときは、クルマというボディスーツを着て、タイヤという靴を履き、クルマを操っているという感覚で運転すると、タイヤと路面のグリップを感じやすい。今日もそれを感じるように意識してみてください」と、レッスンに向けてのアドバイスをいただいた。
操作の遅れが命とり
まずは、シートポジションについての説明。
シートポジションを合わせるときは、必ずエンジンをかけてから。シートに奥まで掛けて、ブレーキをしっかり踏みこめるところに位置を合わせる(MTはクラッチペダルを踏みこめるところ)。シートバックは、手をステアリングの12時の位置に置いてすこしひじが曲がるところがポイント。エアバッグが開いたときの衝撃を考慮してあまり近くなりすぎないようにする。
ハイスピード走行時に最も注意すべき点は、カーブでの“切り遅れ”だという。スピードを上げたなと思ったら、その分いつもより操作のタイミングと判断するスピードの両方を早めることが重要。
この「スラローム」では、速めのスピードでのステアリング操作とアクセルのコントロールを学ぶのだ。
まずは、清水和夫さんの助手席で、ステアリング操舵のタイミングを確認。思ったより早い切り返しが必要だ。イメージは、40km/hくらいのスピードでパイロンを縫うように走りぬけること。
いつもよりアクセルを深く踏んで、コースへ入ったつもりが、どんどん減速してしまう。操作もバラバラ。「もっとスピードあげて!」清水さんから声が飛ぶ。
「ハンドル操作も遅いな」
「って、切り遅れってこと……?」
スラロームをはじめる前に言われたコトバを思い出した。
「切り遅れが命取り!」
これじゃいくつ命があっても足りない!
気を取り直してチャレンジするも、今度は切るのが早すぎて、何度もパイロンを飛ばしてしまった。自分の判断能力のなさに、このあとのプログラムを無事にこなせるのかと不安がよぎる。
最終まで満足いくスラロームはできず、悔しい思いは残ったけれど、自分の弱点がわかったことは収穫だった。
宇宙一のブレーキ
次は「急制動と回避」。急制動は、ブレーキを一気にABSが効くくらい、めいっぱい踏みこむ。緊急回避では、ブレーキを踏みこみながらのハンドル操作。ここでも操舵のタイミングと判断力がポイントになるようだ。
同乗していて、緊急回避ほど怖いものはない。こんな状況で私はうまく操作ができるだろうか? まったく自信がない。
急制動では、ブレーキペダルを力いっぱい踏みこんだ時、シートにググッと腰が食い込むのを感じ、ペダルからはABSの作動を感じた。脚を突っ張るのではなく、腰からしっかり踏みこむことが大事。これが宇宙一(?)のブレーキなのか。
緊急回避は、加速している段階でビビッてしまい、ブレーキングポイントの手前でブレーキを踏んでしまった。そしてハンドルは……もちろんまったく切れてない。ただの急制動に終わった。
「ひじが伸びちゃっているとハンドル操作はできないので、上半身はリラックスしましょう」と佐藤久美さんからのアドバイス。
フルブレーキしながらのハンドル操作は、意外と力が必要。タイヤと路面のグリップが効いている状態でのハンドル操作によって、そのグリップ感覚をステアリングから読みとることができた。
スラロームの時と同じく、ハンドル操作が(判断力も)遅い私は、何度もパイロンを蹴飛ばし、スタッフを走らせた。けれど何度か練習するうちに、少しずつ形になってきていることを実感できたのだった。
緊急回避しなければならない場面に遭遇したくはないが、この貴重な経験は“もしも”の時にきっと役立つだろう。
はじめてのドリフト!?
そして最後は、「定常円旋回」。水をまいて滑りやすくした路面で、アンダーステアとオーバーステアを体験し、ステアリングコントロールとアクセルコントロールを学ぶ。
ポルシェ車全モデルには、ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム(PSM)が装備されている。これは、走行中に危険な状況になったとき、車体を安定させるシステム。アンダーステアやオーバーステアが発生したときには、適切な車輪にブレーキをかけて方向修正してくれるものだ。この機能も、体感することでその重要性が認識できるにちがいない。
私の(今だけの)愛車「ボクスター」は、車体中央にエンジンを積み後輪を駆動するMRモデル。重量物が車両の真ん中にあるので、バランスがよいとされているが、後輪駆動のためコーナリング時の急なアクセル操作でオーバーステアを招きやすいという特徴がある。
まずは織戸学さんの見事なドリフトを同乗体験。ハンドルを固定したまま、アクセルの操作だけでパイロンのまわりを走って(滑って)いる。車内でみていると、じつに簡単そうに思えた。不思議と怖さも感じない。
早速ボクスターで試してみることに。はじめにPSMオンの状態でテスト。ハンドルを固定して30km/hくらいのスピードで走行。織戸さんの合図で一気にアクセルを踏みこむと、左にお尻が振られてオーバーステア状態になった途端にPSMが働き、すぐに元の姿勢に戻った。
PSMオフ場合はどうだったか? アクセルを踏み込んだ途端、お尻が左側に流れてるな〜と思ったら、急に後ろに引っ張られるような感覚がやってきて、一瞬のうちにクルクルっと。「わっ!」あわててブレーキをかける。初クルクルはあっという間にやってきた。不思議なもので、一度やってしまうと何度でもできちゃう。せっかくの機会なのでたくさん回っておきました。
このセッションでは、クルマのタイプによって、挙動がずいぶん違っているのがわかった。エンジンの位置やどのタイヤが駆動しているかによって、操作のしかたも変わってくるのだ。いずれにせよ、ポルシェのようなパワーのあるクルマでは、PSMは欠かせない装置だということを実感した。
最後のお楽しみ
この日の最後に用意されていたプログラムは、富士スピードウェイ本コース体験走行。これは、今回の「Warm UP」プログラムの次のステップ「ロードショー(試乗会)」に向けたテスト走行で、先導車について、1ラップを走行した。
初めてのサーキットは走ってみるとコースが広くて、思った以上に高低差があるのに驚く。この日学んだことを意識しながら丁寧にステアリング操作をおこなうと、とてもスムーズに気持ちよく走れた。ストレートでは、アクセル全開! これまで経験したことのないスピードに、ちょっと興奮。
この日のプログラムはこれで終了。3時間半という短い時間ながら、とても内容の濃いドライビングレッスンだった。
最初はどうなることかと不安でいっぱいだったけれど、プログラムが進むにつれてクルマにも慣れ、楽しい時間を過ごすことができた。最後にもう一度「スラローム」を試したかったなぁ。
おまけ
同じグループで受講したポルシェオーナーに感想を聞きました。
●東京にお住まいの高梨大介さん
「オレって、まだまだ未熟だなぁ」
先輩のススメでディーラーに行き、一目惚れして即購入したという2008年モデルの「ケイマン」。
かなりのポルシェ乗りだとお見受けしたのですが、うまれて初めて買ったクルマがこのケイマンだとか。その前はペーパードライバーだったというから驚きでした。
今回初参加のドライビングレッスンの感想は、「まだまだ未熟だなぁと実感しました。でもとっても楽しかったので、また機会があれば参加したい」とのこと。
●東京にお住まいのオルマー フレデリックさん
「ドリフトできなかったのが心残りです」
仕事の関係で来日し、もう11年目になるというオルマーさん。
以前は「トヨタ・ランドクルーザー」に乗っていたけれど、もっとスポーティなのが欲しくなって選んだのが「カイエン」。もう毎日楽しくてたまらないとか。
ドライビングスクールには初参加。一番楽しかったのは緊急回避。残念だったのは、定常円旋回でドリフト体験ができなかったことだそう。
「4WDのカイエンだとオーバーステアがあまり実感できないんですよね。でも、今『ケイマンS』購入を検討中なので、来年はケイマンSで参加して、ドリフトを体験したいです」と、早くも心は来年に。
「ポルシェ・スポーツ・ドライビングスクール」
http://www.porsche.com/japan/jp/motorsportandevents/sportfahrschule/
(文=webCGワタナベ/写真=荒川正幸)

渡邉 忍
-
第858回:レースの技術を市販車に! 日産が「オーラNISMO RSコンセプト」で見せた本気 2026.1.15 日産が「東京オートサロン2026」で発表した「オーラNISMO RSコンセプト」。このクルマはただのコンセプトカーではなく、実際のレースで得た技術を市販車にフィードバックするための“検証車”だった! 新しい挑戦に込めた気概を、NISMOの開発責任者が語る。
-
第857回:ドイツの自動車業界は大丈夫? エンジニア多田哲哉が、現地再訪で大いにショックを受けたこと 2026.1.14 かつてトヨタの技術者としてさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さん。現役時代の思い出が詰まったドイツに再び足を運んでみると、そこには予想もしなかった変化が……。自動車先進国の今をリポートする。
-
第856回:「断トツ」の氷上性能が進化 冬の北海道でブリヂストンの最新スタッドレスタイヤ「ブリザックWZ-1」を試す 2025.12.19 2025年7月に登場したブリヂストンの「ブリザックWZ-1」は、降雪地域で圧倒的な支持を得てきた「VRX3」の後継となるプレミアムスタッドレスタイヤ。「エンライトン」と呼ばれる新たな設計基盤技術を用いて進化したその実力を確かめるべく、冬の北海道・旭川に飛んだ。
-
第855回:タフ&ラグジュアリーを体現 「ディフェンダー」が集う“非日常”の週末 2025.11.26 「ディフェンダー」のオーナーとファンが集う祭典「DESTINATION DEFENDER」。非日常的なオフロード走行体験や、オーナー同士の絆を深めるアクティビティーなど、ブランドの哲学「タフ&ラグジュアリー」を体現したイベントを報告する。
-
第854回:ハーレーダビッドソンでライディングを学べ! 「スキルライダートレーニング」体験記 2025.11.21 アメリカの名門バイクメーカー、ハーレーダビッドソンが、日本でライディングレッスンを開講! その体験取材を通し、ハーレーに特化したプログラムと少人数による講習のありがたみを実感した。これでアナタも、アメリカンクルーザーを自由自在に操れる!?
-
NEW
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】
2026.1.17試乗記BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。 -
新生ノートンがいよいよ始動! 名門の復活を担う次世代モーターサイクルの姿に迫る
2026.1.16デイリーコラム英国のモーターサイクル史にあまたの逸話を残してきた名門、ノートンが、いよいよ再始動! その数奇な歴史を振り返るとともに、ミラノで発表された4台の次世代モデルを通して、彼らが思い描く未来像に迫った。 -
第858回:レースの技術を市販車に! 日産が「オーラNISMO RSコンセプト」で見せた本気
2026.1.15エディターから一言日産が「東京オートサロン2026」で発表した「オーラNISMO RSコンセプト」。このクルマはただのコンセプトカーではなく、実際のレースで得た技術を市販車にフィードバックするための“検証車”だった! 新しい挑戦に込めた気概を、NISMOの開発責任者が語る。 -
ルノー・グランカングー クルール
2026.1.15画像・写真3列7座の新型マルチパーパスビークル「ルノー・グランカングー クルール」が、2026年2月5日に発売される。それに先駆けて公開された実車の外装・内装を、豊富な写真で紹介する。 -
市街地でハンズオフ運転が可能な市販車の登場まであと1年 日産の取り組みを再確認する
2026.1.15デイリーコラム日産自動車は2027年に発売する車両に、市街地でハンズフリー走行が行える次世代「ProPILOT(プロパイロット)」を搭載する。その発売まであと1年。革新的な新技術を搭載する市販車の登場は、われわれにどんなメリットをもたらすのか。あらためて考えてみた。 -
ホンダ・プレリュード(前編)
2026.1.15あの多田哲哉の自動車放談トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんが今回試乗するのは、24年ぶりに復活した「ホンダ・プレリュード」。話題のスペシャルティーカーを、クルマづくりのプロの視点で熱く語る。






























