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【スペック】2.4XG:全長×全幅×全高=4420×1810×1695mm/ホイールベース=2640mm/車重=1620kg/駆動方式=4WD/2.4リッター直4DOHC16バルブ(166ps/6000rpm、22.9kgm/4000rpm)/価格=219万4500円(テスト車=232万500円/SRSカーテンエアバッグ&フロントSRSサイドエアバッグ+ESP=12万6000円)

スズキ・エスクード2.4XG(4WD/4AT)/3.2XS(4WD/5AT)【試乗速報】

老舗の底力 2008.07.15 試乗記 サトータケシ スズキ・エスクード2.4XG(4WD/4AT)/3.2XS(4WD/5AT)
……232万500円/285万6000円


並みいるライバルとは一線を画す小型SUV「スズキ・エスクード」。2008年6月に比較的大がかりなマイナーチェンジを受けた3代目をオンロードとオフロードで試乗すると、このクルマの個性が明確になったのだ。
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かわいそうなエスクード

個人的な話で恐縮ですが、「スズキ・エスクード」を見かけるといつも、「かわいそう」という言葉が頭に浮かぶ。エスクードがなぜ「かわいそう」だと思えるのか、簡単に説明させてください。

1988年にデビューした初代エスクードは、山だけでなく街でもオシャレに乗れるコンパクトなSUVという新しいマーケットを開拓した。言ってみればパイオニアですね。ヨーロッパでは「VITARA(ビターラ)」という名称で売られて好評を博し、特にイタリアの大都市で頻繁に見かけた記憶がある。

ところが1994年に「トヨタRAV4」が登場、翌年には「ホンダCR-V」も続き、エスクードの存在感は次第に薄れていった。なんというか、せっかく畑を耕したのに作物は別の人に刈り取られてしまった、みたいな話だ。
だからエスクードを見るたびに「かわいそう」という感情が湧く。エスクードがなければ「BMW X3」も「日産デュアリス」もなかったはずなのに……。

ところが、大がかりなマイナーチェンジを受けた3代目エスクードに試乗してみると、嬉しいことに「さすがパイオニア!」と唸らされる部分をいくつも見つけることができた。


スズキ・エスクード2.4XG(4WD/4AT)/3.2XS(4WD/5AT)【試乗速報】の画像 拡大
マイナーチェンジにともない、フロントバンパーおよびフロントグリルの意匠に手が加わった。マイチェン前より、力強く精悍な顔つきになっている。また、ドアミラーにLEDのターンランプが備わった(2.4XEグレードを除く)。

【スペック】3.2XS:全長×全幅×全高=4420×1810×1695mm/ホイールベース=2640mm/車重=1710kg/駆動方式=4WD/3.2リッターV6DOHC24バルブ(224ps/6200rpm、29.0kgm/3500rpm)/価格=262万5000円(テスト車=285万6000円/HDDナビゲーションシステム=23万1000円)
マイナーチェンジにともない、フロントバンパーおよびフロントグリルの意匠に手が加わった。マイチェン前より、力強く精悍な顔つきになっている。また、ドアミラーにLEDのターンランプが備わった(2.4XEグレードを除く)。【スペック】3.2XS:全長×全幅×全高=4420×1810×1695mm/ホイールベース=2640mm/車重=1710kg/駆動方式=4WD/3.2リッターV6DOHC24バルブ(224ps/6200rpm、29.0kgm/3500rpm)/価格=262万5000円(テスト車=285万6000円/HDDナビゲーションシステム=23万1000円) 拡大
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和製“X3”?

マイナーチェンジのポイントは、エンジンの排気量アップ。従来の2.7リッターV型6気筒エンジンが3.2リッターに、2リッター直列4気筒エンジンが2.4リッターに、それぞれ拡大した。

まず、3.2リッターV型6気筒モデルをオンロードで試す。スタートしてすぐに、「え、エスクードってこんなに乗り心地がよかったっけ?」と驚く。
3代目エスクードは2005年に登場した時にもオンロードの快適性向上をアピールしていたけれど、このマイチェンでさらにしなやかな足まわりになった。
しかも、ワインディングロードを攻めても楽しい。比較的ロールを許すセッティングではあるけれど不安感はまるでなく、ステアリング操作に素直に反応してコーナーをクリアする。
FFベースのライバルとは異なり、エスクードはFRをベースにエンジンを縦置きして前後50対50の重量配分にこだわっている。こう書くとまるでBMW X3を紹介しているようだけれど、乗り心地とハンドリングが見事にバランスしている感じは、X3を彷彿とさせる。

3.2リッターのV6は、パワーとトルクが充分なのはもちろん、回転フィールが繊細で、ちょっとしたスポーティサルーンを操っているような気分になる。ステアリングフィール、ブレーキのタッチ、エンジンの質感などがどれも洗練されていて、SUV特有の泥臭さを微塵も感じさせないクルマだ。

V型6気筒エンジンは従来の2.7リッター(184ps、25.5kgm)から3.2リッター(224ps、29.0kgm)へ、直列4気筒エンジンは従来の2リッター(145ps、19.7kgm)から2.4リッター(166ps、22.9kgm)へと拡大された。2リッター仕様にパワー不足という指摘が多かったことから2.4リッターへの拡大が決まり、直4との差別化を図る意味でV6の排気量も大きくなったという。
V型6気筒エンジンは従来の2.7リッター(184ps、25.5kgm)から3.2リッター(224ps、29.0kgm)へ、直列4気筒エンジンは従来の2リッター(145ps、19.7kgm)から2.4リッター(166ps、22.9kgm)へと拡大された。2リッター仕様にパワー不足という指摘が多かったことから2.4リッターへの拡大が決まり、直4との差別化を図る意味でV6の排気量も大きくなったという。 拡大
日本におけるエスクードのラインナップは、2.4リッター直4搭載の2.4XE(5MTが194万2500円、4ATが204万7500円)、2.4XG(5MTが208万9500円、4ATが219万4500円)、そして3.2リッターV6搭載の3.2XS(5ATのみで262万5000円)の3グレードとなる。
日本におけるエスクードのラインナップは、2.4リッター直4搭載の2.4XE(5MTが194万2500円、4ATが204万7500円)、2.4XG(5MTが208万9500円、4ATが219万4500円)、そして3.2リッターV6搭載の3.2XS(5ATのみで262万5000円)の3グレードとなる。 拡大
写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます。
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FFベースのライバルとはここが違う

2.4リッター搭載モデルには、オフロードコースで試乗した。試乗に先立って、「オフロード走行時はインストゥルメントパネルのダイヤルを回して“4L LOCK”(直結ローモード)を選択してください」という説明を受けて、なるほど、と唸る。つまりエスクードは、「ロー」と「ハイ」のトランスファーを切り替えることができる、本格的なSUVという側面も持っているのである。

このクラスのFFベースのライバル車はこの副変速機を備えていないから、ここにもエスクードなりのこだわりを見ることができる。
実際、オフロードの走破性は大したもので、3つのタイヤしか接地しないようなセクションも楽々クリア。ま、こういった悪路走破性を必要とする機会は少ないだろうけれど、オーナーにしてみれば「出来るけどやらない」と「出来ない」とでは雲泥の差がある。

試乗を終えて浮かんだ言葉は、「さすが先駆者」である。ライバルとは明らかに違う個性を備えている。最初はジミだと思えた外観も、試乗会の帰り際に見るとシンプルかつクール、信頼感あふれるデザインだと思えてきた。
エスクードにしてみれば、「かわいそう」だなんて同情されるのは心外だったろう。どうもすみませんでした。

(文=サトータケシ/写真=郡大二郎)


オフロードをテストするライターのサトータケシ。
オフロードをテストするライターのサトータケシ。 拡大
本文にもあるように、センターデフロック機構と副変速機を備える本格的な四駆システムがエスクードのウリ。さらに、ATモデルには以下のふたつの機構が装備された。ひとつ目はドライバーのブレーキ操作なしに一定速度(4H LOCKで約10km/h、4L LOCKで、約5km/h)で坂を下ることができる「ヒルディセントコントロール」、もうひとつが登り坂でブレーキからアクセルに踏み換える時に最大2秒間は後退しない「ヒルホールドコントロール」である。
本文にもあるように、センターデフロック機構と副変速機を備える本格的な四駆システムがエスクードのウリ。さらに、ATモデルには以下のふたつの機構が装備された。ひとつ目はドライバーのブレーキ操作なしに一定速度(4H LOCKで約10km/h、4L LOCKで、約5km/h)で坂を下ることができる「ヒルディセントコントロール」、もうひとつが登り坂でブレーキからアクセルに踏み換える時に最大2秒間は後退しない「ヒルホールドコントロール」である。 拡大
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サトータケシ

サトータケシ

ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。

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