アウディA4 1.8 TFSI(FF/CVT)【ブリーフテスト】
アウディA4 1.8 TFSI(FF/CVT) 2008.04.28 試乗記 ……491.0万円総合評価……★★★★★
アウディの基幹モデル「A4」がフルモデルチェンジ。2車種のうちエントリーグレードにあたる、1.8リッターFFモデルの乗り味を試した。
2つの懸念
アウディは過去、北米市場でAT車のペダル踏み違え事故が多発して、販売が低迷するといった辛酸を舐めた経験がある。今では、徹底的にその手の不備を無くし、技術の最先端を行くメーカーになった。保守に徹することなく攻め続ける姿勢もうかがえる。
気になるような欠点は、順次つぶさに改良されてきたが……未だに固執しているのが「ブレーキとアクセルを同時に踏んだ時に、エンジンを失速させる設定」だ。安全を優先しての措置と解釈できるが、そろそろすねるのを止めないと、(エンジン+トランスミッションの項で後述するように)他の危険が発生する。せめてリカバリーのレスポンスを上げるべきだ。
もう1点は、センターコンソールのボタンで操作する、「油圧式のサイドブレーキ」。サイドは、主ブレーキが失陥したときの代用ブレーキという役割もある。今のままでは反復して使いにくいし、オン/オフだけしかなく操作力を加減できない構造は、不便極まりない。他社にもこれを採用する例は増えているが、あまり広まる前に、サプライヤーの受け売りなどに惑わされることなく、アウディらしい対応を望みたい。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「A4」は、いわゆるDセグメントに位置するアウディのセダン。「メルセデス・ベンツCクラス」や「BMW3シリーズ」のライバルにあたる。
祖となる「アウディ80」から数えて8世代目の現行モデルは、2世代ぶりにプラットフォームを一新したもの。先代で採用された、象徴的なシングルフレームグリルを継承しつつ、あらゆる点が完全新設計された。ボディを大型化しつつ、ショートオーバーハング、ロングホイールベースのバランスとするなど、スポーティ感を強調する。
新たなサスペンションレイアウトやステアリング機構などが採用されたことによる、操縦安定性の向上やダイレクトなハンドリングなどもアピールポイント。走りでもスポーティなキャラクターが強められた。
(グレード概要)
日本市場にラインナップするのは、2種類。
3.2リッターV6モデル「3.2 FSIクワトロ」は、可変バルブリフト機構「アウディバルブリフトシステム」を採用した直噴エンジンを搭載。265ps/6500rpm、33.7kgm/3000-5000rpmを発生し、6段のティプトロニックATが組み合わされる。前40:後60を基本配分とするクワトロシステムで4輪を駆動する。
試乗車は、エントリーグレードの「1.8 TFSI」。「A3スポーツバック」などと共通の1.8リッター直4の直噴ターボエンジンを搭載し、最高出力160ps/5000-6200rpm、最大トルク25.5kgm/1500-4200rpmを発生。CVT(無断変速装置)を介して、前輪を駆動する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
ピシッと精緻な造り込みが行われており、見た目に気持ちいい。木目のパネルも単に光り輝いているだけでなく、断面を隠す細いモールの処理が効いている。光リモノが厭味にならない程度に配されているところがいい。
メーターそのものは、小振りながら見やすい。しかし、メーターパネル下方はインストゥルメントパネルより深めに位置し、ちょうどATポジションを示す数字が見にくくなる。インパネ下端ごと、ステアリングのチルト&テレスコピック調整に連動して動けば問題はないのだが。
(前席)……★★★★★
ドライバーズシートの居心地は、あらゆる量産車のなかでアウディが世界一。シートアジャストも調節できる範囲が広く、ハンドルやペダル類との位置関係、ボンネットやダッシュボードの眺め、ドアの高さと着座位置の相対関係、ミラーの見え具合などなど、走り出す際に一度ぴったり合わせれば降りるまで変更する気にならない。
シート表皮は、革であってもピッタリ身体にフィットするもので、接触面積も大きく包み込まれる感覚がある。横方向のサポートも適所を押さえてくれ、腰砕けしないクッションの硬さも上々。
(後席)……★★★★
絶対的なサイズからくる広々感は限られるものの、シートの寸法は十分だし、ヘッドクリアランスも足先の余裕も不足なし。アウディのリアシートが他車を凌ぐのは、背面の傾斜角が絶妙なことだ。寝すぎているとお尻は前にズレがち、立ち過ぎるとくつろげない。座面の後傾角とも関係するが、身体全体をシートに預けられる安心感があり、体位を変えないまま座っていられる。
(荷室)……★★★★
ボディ外観から想像するよりずっと広々と見えるのは、奥行きがあるからか。内張りも造りこまれていて、スペアタイヤとの隔壁(床材)もしっかり剛性がある。ホイールハウスの処理も、全体をキチンと四角く仕切ったうえで、余ったスペースに小物も収納できるようになっている。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
スムーズでパワフル。ターボのモリモリ沸いてくるトルク感もレスポンスも上々。アクセルペダルをラフに扱った場合、状況により駆動輪が一瞬空転するほどだ。これがパワフルなFF車の限界か……そういう意味では、やはり3.2リッターV6モデルに備わる4WDシステム「クワトロ」が究極であろう。
CVTながらクリープする性質は便利。しかし、冒頭の総評でも述べたが、ブレーキを踏んで通過車を待ち、やり過ごしてからすかさず出るような場合、エンジンがストールしてモタモタするのは恐怖感をおぼえる。出ないからといってさらに踏むと、ドンと唐突に繋がることもある。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
もはや硬いだの柔らかいだの、ロールがどうとか言う論議は卒業して「終始快適」な領域に達している。姿勢変化は少なくボディはフラット。素早い転舵に対してもロールは気にならない。直進性も良好。ステアリングの微舵レスポンスもいいし反力感も十分だ。
とにかくこれまで積み上げられた経験と実績の上に立ち、他社に散見される、担当者の若返り交代による勘違いなどはみられない。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2008年3月19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:1857km
タイヤ:(前)225/50R17(後)同じ(いずれも、ダンロップSP SPORT)
オプション装備:バイキセノンパッケージ(10.0万円)/APS(22.0万円)/SEパッケージ(40.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(5):山岳路(2)
テスト距離:371.2km
使用燃料:42.35リッター
参考燃費:8.76km/リッター

笹目 二朗
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