ホンダ新型車試乗会(「フィット」&「タイプR」&「S2000」)【試乗記】
「都会でイケてるホンダ」を探す 2007.12.11 試乗記 ホンダ・フィット(FF/5MT)/シビック・タイプR(FF/6MT)/S2000 タイプS(FR/6MT)「R」や「S」のバッジが輝く、スポーティモデル。走りの良さはちょっと横において、街なかでの“普段使い”はどうなのか? 『webCG』の近藤と関が、ホンダの新車試乗会で試してみた。
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フィット ……の「RS」
関(以下「せ」):まず試乗するのは「大賞受賞車」です。
コンドー(以下「コ」):あぁ、日本カー・オブ・ザ・イヤー? 「フィット」がとったね。太鼓判押されてたかて、遠慮はせえへんで。
せ:それにしても、東京のド真ん中で試乗会とは。燃費や取りまわしなど、コンパクトカーならではの魅力を再確認せよとの意図でしょうか?
コ:そうやろね。メインは、24km/リッター走る「1.3」。新開発のCVTな。
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せ:ボクも個人的にとても興味があって。色はやっぱりイメージカラーの「ブリリアントスカイブルー」が……って、この試乗車、まっ黄っ黄じゃないですか!
コ:これしか残ってなかったから、しゃーない。
せ:前回のライフも黄色だったし、個人的な趣味を優先させただけなんじゃ……。
コ:ブツクサ言わんと、早よしいや!
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せ:これ、1.5の「RS」じゃないですか。しかも、マニュアル!?
コ:そう。うれしいやろ。今日のテーマは、ホンダ限定「都会でイケてるスポーティグレード選手権」に決めた。よって、当然フィットもRS。
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せ:RSって、「レーシングスポーツ」じゃなくて「ロードセイリング」の略なのはご存知ですよね?
コ:……。
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せ:ゴルフボールのようなシフトレバーは、タッチグー。素早いシフトは望めませんが。
コ:もっとショートストロークにするとか、特別な感じ出したほうがいい。クラッチは、驚くほど軽いよなぁ! 軽すぎる!
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せ:渋滞ハマっても、これならぜんぜん苦じゃないですよ。
コ:サクッと結論。「スポーツを期待すると空振りする」。過剰な妄想は禁物。絶対MTがオススメというほどではない。
せ:でも、「気持ちよく流せる」。ロードセイリングとはよく言ったものです。
コ:開放感のあるクルマやし、細かい操作感はどうでもよくなるな。スカイルーフは絶対オススメ。後ろの人も楽しめる。この手の特大サンルーフは、もう常識になったね。
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せ:それだけ基本骨格がしっかりしているということでしょう。コンピューター解析の進歩で、フィットのボディ剛性は先代比164%だそうです。以前Bピラーのないクルマを運転したら、しっかりしていて感心しました。
コ:カットモデルに試乗して、一体ナニを確認してんねん!
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せ:本当に、視界がいいですね。この三角窓もポイントなんですよ。ピラーも2cm細くなって、表面積は先代の300%になりました。
コ:簡潔に「3倍」でええ。それに、まだ人が隠れてんで……そもそも、フロントウィンドウをやたら寝かすからこんな窓ができるねん。
せ:スポーツカーみたいなウェッジシェイプですからね。空力性能は燃費にも貢献しているでしょう。1.3で24.0km/リッター、1.5で19.6km/リッターです。
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コ:中は広い。ぜーんぜんコンパクトじゃないレベル。トレッド拡幅も利いてる。頭上と後席の膝まわりは4〜5cmも広くなってるそうや。
せ:ドア内張りのエグりかたなども利いていますね。ただ……
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コ:デザインや色使い、か? いざとなったら、「ホンダ・アクセス」のオプション付けたらええやん。カスタマイズパーツが多いのもウリのひとつやから。
せ:インパネの色、好きなのに変えたいんですよ。シート表皮も好きにできるのかぁ。
コ:サイドシルに、LEDのウェルカムランプも付けられる。ようこそフィットへ。
せ:使い勝手や燃費など総合点では、フィット最強でしょう。これより都会にFitするスポーティなモデルって、何かありますか?
コ:あるね。ホンダには、赤いバッジのあのモデルがある!
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シビック ……の「タイプR」
コ:ジャジャーン。シビック。昔は、さっきのフィットみたいな存在だったよなぁ。
せ:いまや、ハッチバックは欧州専用。日本国内はセダンだけになってしまいました……。っていうか、「タイプR」は全然別のクルマじゃないですか!
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コ:いやー、カッコいいなぁ。シルバーが最高。ガンメタのホイールもいうことなし。
せ:ちょっとオオゲサじゃないですか? こんな羽根まで生やして。普段使いには、赤い内装も落ち着かないなぁ。
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コ:赤いだけが売りやない。「ホンダRスペック」ゆう特別なシートフレーム使ってて、圧力分布も完璧や!
せ:街なかじゃ、ホールド性より乗り心地がずっと大事なような。
コ: 赤い「Rスペック」、大満足。大興奮。世知辛い都会の生活には、気分を盛り上げる要素が大事なんやて。
せ:大興奮って、牛じゃないんですから……
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せ:パッと見ただけで「R」が3つも。
コ:ひとつは「リバース」やけどね……てるてる坊主のようなシフトレバーに、手羽先みたいなサイドブレーキがステキ。ホンダのデザインセンスは突き抜けてる。
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せ:それって、ホメてるんですか? 二階建てのメーターパネルも変わってるなぁ。ステアリングホイールの輪郭が潰れてるのは、視認性重視ってわけ。
コ:センターのタコが「8000rpmまで回せ!」言うてる。リッターあたり112ps。燃えるね。
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せ:燃えませんよ。実際、なかなかそれには応えられないでしょう? かえってストレス溜まるじゃないですか。乗り心地だって……
コ:ものスゴいよなぁ! 外から見てても、リアがボンボン跳ねて、スゴいことになってるもんなぁ。
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せ:食後だけは勘弁して! 「ドア4枚あるからみんなで乗れるぞ」なんて乗せられた日にゃ、まわりは大迷惑ですよ。
コ:四人乗ったら、少しは落ち着く……ワケないか。でも、街なかで車線変更や右左折してるだけでも楽しい。キャラが濃いからね。
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せ:フィットに比べると、シフトフィールは格段にメカっぽい。つくづく「戦闘兵器」ですねぇ。
コ:真っ赤なブレーキキャリパーが、灰色の都会に咲く一輪の花のようや。ビバ、ブレンボ!
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せ:タイヤも変わったパターンですが?
コ:専用開発の「ポテンザRE070」。こんなハイグリップタイヤなら、道路工事で敷いてる鉄板も怖くない。雨降ったら怖いけど……な? 都会で必要な装備ばっかりやろ。アーバン・ヘビーデューティ。
せ:……。
コ:……というのは半分冗談やけど、このクルマのスゴさは、そこいらのチョコチョコ乗りでもすぐわかる。そういう意味では、都会向き。太鼓判!
せ:相当ヒトを選ぶと思いますけど……みなさん、ハンコ押す前に必ず試乗はされたほうがいいですよ。
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S2000 ……の「タイプS」
せ:このうえ、まだ「都会でイケてる選手権」にエントリーできるクルマがあるんですか?
コ:とっておきのがある。「タイプS」。大本命。今、一番欲しいクルマ。
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せ:Rの次は、「S」。どちらのエスですか?
コ:S2000のS……
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せ:それ、オープンじゃないですか。こんな空気の悪いトコロで。
コ:「東京には空がない」って、なんかの文学にあったよな?
せ:高村光太郎の『智恵子抄』ですね。
コ:そうそう、そんなやつ。なにごとも、求めれば手に入るもんや!
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せ:フィットの「スカイルーフ」でいいんじゃないですか?
コ:ガラスは手入れが面倒クサくなってくるねん。
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せ:このチンスポイラーとGTウィングは、街なかでホントに必要なのかなぁ?
コ:もちろん。停まってるだけでみんなの目を楽しませられる。で、100km/hも出てれば、十分ダウンフォース効くらしい。
せ:なんだか、ビミョー……
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コ:これから寒くなるやろ? 雪積もったら、除雪車として活躍できるかもよ? ウィングだって、トランクの開閉に便利。
せ:テレビショッピングじゃないんですから。樹脂製のステーは、ちょっと心もとない。
コ:全体は、強そうやろ? で、見慣れてくると「ノーマルより羽根付きに限る」って思うやろ?
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せ:そのわりに、内装はフツーです。
コ:黄色と黒のツートーンもあって、そっちが標準。むしろ、フツーなのはエンジンやね。
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せ:金色と赤のツートーンはド派手過ぎやしませんか。
コ:見えないところにこだわるのが、粋というもんや。縦置きエンジン、最高!
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せ:あれ? 乗り心地がいい!
コ:ある意味、残念なくらい快適やなー。しなやかで、道路の段差でも突き上げない。これならホントに普段使いできる。掛け値なし。
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せ:サーキット限定車じゃないんですね。むしろ、ノーマルS2000よりいい。
コ:並のセダンじゃ適わんな。いかにもじっくりと鍛えあげた、一流アスリートの足て感じやね。
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せ:いざ乗ってみると、後方の視界も良好で。
コ:ウィングの真ん中が細なってるからな。そのへんぬかりないよ。
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せ:あっ、銀杏の香りが……風に温度、匂いまでわかるのは、ハコ車にない魅力だなぁ。
コ:都会で季節の移り変わりが感じられるなんて、ゼータクやん。そもそも、採算度外視した専用設計のスポーツカーなんて、超のつく贅沢やで。
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せ:三者三様、魅力アリ。「R」や「S」って、やっぱりいいもんですね。
コ:というわけで、次期型「NSX」に大いに期待。
せ:そりゃ、気が早すぎる……っていうか、話が飛び過ぎだって!
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=webCG)

近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
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