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【スペック】全長×全幅×全高=4135×1750×1285mm/ホイールベース=2400mm/車重=1260kg/駆動方式=FR/2.2リッター直4DOHC16バルブ(242ps/7800rpm、22.5kgm/6500-7500rpm)/価格=399万円(テスト車=432万6000円/本革シート=10万5000円/DVDナビゲーションシステム=23万1000円)

ホンダS2000 タイプS(FR/6MT)【試乗記】

大人のスポーツ 2008.01.08 試乗記 生方 聡 ホンダS2000 タイプS(FR/6MT)
……432万6000円
ホンダの2シーターオープンスポーツ「S2000」に新グレードの「タイプS」が追加された。GTウイングを装着した新たなスポーティモデルに試乗した。
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正直ひきました(笑)

いつもの場所で待ち構えていた「ホンダS2000」を見て、私は一歩ひいてしまった。“ニューフォーミュラレッド”の鮮やかなボディもさることながら、巨大なリアウイングとド派手なフロントスポイラーが、サーキットから、あるいはカスタムカーショーの会場から抜け出てきたという雰囲気で、これがカタログモデルなのだから、ホンダも思い切ったことをするものだ。

2008年モデルに進化したS2000に追加されたバリエーションがこの「タイプS」だ。エンジンは標準モデルと同じだが、高速域では空力を見直すことで安定感を高め、また、低中速域ではサスペンションをよりシャープな味付けとして、ワインディングロードのあらゆるコーナーで楽しめる性能を目指した、スポーティバージョンである。

特徴的なエクステリアは風洞実験や実走行テストによって最適化されたデザインで、前後タイヤの前に“ストレイキ”と呼ばれる小さなついたてを置くなどして空気抵抗を抑えつつ、ご覧のとおりの前後スポイラーなどにより空気の力でボディを路面に押しつけるのが特徴だ。リアスポイラーの中央が持ち上がっているのは、オープン時、クローズ時ともに効果を得るための工夫らしい。

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“タイプR”じゃない!

気恥ずかしさを抑えて(!!)コクピットに収まると、空調やオーディオのスイッチ類がメータークラスターの両サイドに集中配置されるデザインがユニークだ。デジタル式のレブカウンターや小さくて疎外感のあるナビ画面などデザインの古さは隠せないが、クルマとドライバーの一体感はうまく演出されていて、赤いスターターボタンを押す指先にも力が入る。

5秒ほどでスパッと開くキャンバストップを降ろして準備完了。アルミでできた小振りのシフトレバーは掌に吸い付くようで、それを1速に送り込んでいざ出発! 2.2リッターの直列4気筒DOHC VTECエンジンは、低速でもトルクがあってクラッチミートに苦労することはない。

走り出すと、見た目の印象とは相反して、タイプSの落ち着いた乗り心地に驚く。サスペンションは硬めだが、締め上げ具合が適度で、日常の足として使うにも十分許容範囲内、「シビック タイプR」のような辛さがないのが“タイプS”のいいところだ。
高速では路面のザラつきを拾う傾向があるが、フラット感はまずまず、直進性も高いため、ワインディングロードの行き帰りも楽しく過ごせるのがうれしい。

ワインディングロードが楽しい

そしてワインディングロードに辿り着くと、タイプSは本領を発揮。高速コーナーでは、リアが落ち着いた安定した挙動のおかげで、ついついアクセルペダルの踏み込みが深くなる。一方、低中速のコーナーでは、ペースに余裕があるうちは鋭さこそ感じないものの、ストロークは小さいが、しなやかに動くサスペンションがしっかりと路面を捉え、FRらしい軽快さを堪能できる。ペースを上げてさらに攻め込んでいくと、ステアリング操作と荷重の移動で、ドライバーの意のままにノーズが向きを変えていく感じで、エンジンのパワーも含めてとてもコントローラブルなところが、クルマとの一体感を高めてくれる。

2.2リッターの自然吸気エンジンはバルブリフトが高回転側に切り替わる5850rpm以下でもトルク豊かで、流して走るのにまったく不満はない。ところが、高速側、とくに6200rpmあたりから雄叫びを上げて力強いトルクを吐き出しながらレブリミットの8000rpm目指す美味しい部分を知ってしまうと、レブカウンターの液晶表示をついその間に留めたくなる。

そんな運転する歓び、クルマを操る楽しさに溢れているS2000タイプS。同じスポーツタイプでも、シビック・タイプRとは明らかにベクトルの違う味付けは、まさに大人のスポーツで、日本にも魅力的なオープン2シータースポーツが存在することを再認識した。

(文=生方聡/写真=峰昌宏)

生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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