三菱デリカD:5 Gプレミアム(4WD/CVT)【試乗記】
ミニバンの新しい“カタチ” 2007.02.14 試乗記 三菱デリカD:5 Gプレミアム(4WD/CVT)……379万290円
三菱のミニバン「デリカ」が、13年ぶりにフルモデルチェンジをはたした。「D:5(ディーファイブ)」というサブネームをいただき、ハード面を一新したという5代目の乗り味は? 『webCG』のコンドーと関が試乗した。
アメ車が匂う!
コンドー(以下「コ」):めっちゃ、シカクい! 強そうや。2005年の東京モーターショーでコンセプトカーだったころの印象、そのままとは言えへんけど……。
関(以下「せ」):新しいですよ。「デリカD:5」はオフロードもイケるミニバンですけど、「ランドローバー」とはまた違うデザイン。
コ:「ハマー」に似てるやん。特にメッキグリル。ゼッタイ意識してるって。ロゴマークもアメ車風やし。
せ:三菱社内でも言われたそうです。が、ボディ同色の「スポーティグリル」やアクリル製の「スモークグリル」に換えることもできます。純正アクセサリーだけで、なんと100点以上ありますから。
コ:そりゃスゴイね。チカラ入ってる。にしても、先代「デリカ・スペースギア」とは見た目からして違い過ぎる。過去のデリカファンの反応はどうなん?
せ:2007年1月だけで4000台の受注があって、そのうち半数は先代からの乗り換えだそうですよ。
コ:デリカといえば背の高さ。特に視点の高さがポイントやったのに、ずいぶん下がった。
せ:前のは高過ぎでしょう。今回、全高は10センチダウン、車内高は逆に10センチアップというから、いかにドライバーのヒップポイントが下がったか。
コ:どんな走りを見せてくれるのか、楽しみや! さっそく乗ってみよ。
ソトミもナカミも新しい
コ:乗ってもシカクい。徹底してる。
せ:ナビつきのコンソールボックスは、まるでテレビ。無骨さのなかにも機能を感じさせる「G-SHOCK」ミニバン。
コ:フロントウィンドーが広くて気分ええな。しっかし、この窓、遠すぎやろ。拭かれへんやん。ダッシュボードにモノ置いて前に転がってもたら、取られへんやん。なんでもこのインパネ、「三菱車史上最大のサイズ」なんやて。それって、イバれるんか?
せ:意外に、ウィンドーからハンドルまでの距離は、他社ライバルと変わらないそうです。ただ、デリカはセンターコンソールやグラブボックスが目前に迫っているから、窓まで遠く感じるんです。
コ:あっ、グローブボックスのDELICAの文字もアメ車っぽいなぁ。この形も、“機能美”なん?
せ:中がエアコンとつながっていて、保冷&保温機能があります。5.2リッターの容量で、缶コーヒーなら9本までオーケー。間仕切りをとれば拡張可能で、最大12.7リッター。
コ:まんま冷蔵庫やん。カルチャーショックやわ。
コ:走りは、ケッコーふつうに乗用車やね。フラつき感なんか、まったくないわ。
せ:エンジンは、「アウトランダー」ゆずりの2.4リッター4気筒のみ。ちなみに、マグネシウム合金のパドルシフトも、ゆずり受けました。
コ:ええタッチや。今年のダカールラリーで三菱が7連覇キメたけど、サポートカーをつとめた「D:5」のドライバーにもパドルは評判良かったらしい。パッと低いギア使えるのはメリットある。
せ:「1800キロのミニバンに4発のみ」ってどうかと思いましたが、意外に加速はいいですね。発進も追い越しも必要十分。これなら、この先も「3リッターV6」は出る幕ないでしょう。
ちなみに、車重は200キロ以上のダイエット。0-100km/h加速は先代デリカより3秒も速いとか。
コ:チョッとウルサイけど……。見た目はタフなミニバンやのに、軽快な走り。ソトミもナカミもブランニューというわけや。
骨のあるヤツ
コ:シートはチョッと空気イスみたいやと思わへん? 座った感じがバランスボールに似てる。足の置き場は余裕あるけど、座面はチョッと短い気がするなぁ。多彩なシートアレンジのためやろか?
せ:フルフラットから3列目の側面跳ね上げまで、ミニバンに求められるシートアレンジは完璧です。得意の野山が呼んでます。
コ:オフロードも走破できるのが、デリカのデリカたるゆえんやからな。FFと4WDの切り替えも、シフトレバー横のダイヤルを回すだけでカンタン。ところで、軽くなった5代目、肝心のタフさはどうなん?
せ:デザインと並ぶ「D:5」のジマンが、堅牢なボディだそうです。キャビンを包むのは、一般的な「モノコックフレーム」ではなく、「リブボーンフレーム(環状骨格)」という4組の“アバラ骨”。剛性は先代に比べて、捻りで50%、曲げで25%アップとのことです。
コ:たしかに、しっかりしてるようやね。乗ってて特別にガンジョーやなーとは思えへんけど。
せ:“目で”感じられるんですよ。インテリアにわざわざアバラを浮き出させたり、特別感の演出がウマい。ぐるっと車内を取り囲むこのアーチが、天井では間接照明になってたり。
コ:まぁ、よう考えて作ってあるわ。さすが、13年ぶりのモデルチェンジ。
せ:全体を見渡せる、3列目からの眺めがイチバン印象的です。クルマのインテリアというより、家みたい。
コ:冷暖房完備なばかりか、冷蔵庫までついてるくらいやからね!
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=高橋信宏/2007年2月)

近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
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