第20章:「コンビニ化も間近!? 『フェラーリ・ストア』 続々開店」
2007.01.26 FIAT復活物語第20章:「コンビニ化も間近!? 『フェラーリ・ストア』 続々開店」
フェラーリの三大市場
昨年イタリアで新車登録されたフェラーリは606台で、前年比2.54%増だった。同じフィアット・グループで高級ブランドのマセラーティが−9.72%と落ち込んだことを考えると、やはり“跳ね馬のご威光強し”である(数値はイタリア自動車工業会の暫定値)。
ちなみに昨年のメーカー資料によると、フェラーリの三大市場は、上位から米国、ドイツ、英国である。以下イタリア、スイスと続き、日本は6位だ。
オフィシャルグッズ・ショップ、積極的に展開
ところでフェラーリが、ここ数年積極的に展開しているものがある。「フェラーリ・ストア」というオフィシャルグッズ・ショップだ。
当初は前々回紹介したマラネッロの本社前のみだったが、ニ大都市ローマとミラノにも開店した。
さらに昨年夏にはヴェネツィア店もオープンした。9月に行われたオープニング・イベントにはミハエル・シューマッハーとフェリッペ・マッサも参加。F1を船で運び、彼らも名物のゴンドラに乗船するというパフォーマンスを披露した。
フェラーリ・ストアは空港内にも展開している。すでにマラネッロに最寄のボローニャだけでなく、ミラノ・マルペンサやローマ・フィウミチーノのなかにもある。
従来イタリアの空港といえば、超高級ブランドの免税店か、もしくは「ピサの斜塔型ワイン」「ミケランジェロ作ダヴィデ像の局部をプリントしたエプロン」などを扱う、たわいもない土産物店という両極端のイメージがあった。そんななか、フェラーリ・ストアの進出は、クルマ好きでなくてもなかなか新鮮だ。
海外にもラスヴェガスのほか、上海と杭州にある。中国に2店とは、本業のクルマにおける近未来のお得意様を見据えた戦略であろう。
なお、それ以外の国や地域の顧客には、インターネットサイト(http://www.ferraristore.com/)で対応している。
“木馬フェラーリ”まであります
フェラーリ・ストアとともに充実してきているのが、オフィシャルグッズである。
思い返せば、転機はフェラーリが創業50周年を迎えた1997年だったと思う。テレコムイタリア系の携帯通信会社が、初の「フェラーリ携帯」を発売したのだ。
それから、堰を切ったようにオフィシャル商品が増え続けた。イタリアで子供が通学するときに使うリュックサックから、タバコ屋のレジで売っているミントキャンディまで、認定商品が登場した(なお、ここまでに紹介した3点は、いずれも契約期間が終了したため、現在は発売されていない)。
ようやく最近は、横丁の小売店よりもフェラーリ・ストアや専門店向けのものにシフトを変えてきた。
それでも、前述のサイトを開くと「へえー、こんなものまで」というグッズまである。キャンドル、ぬいぐるみ、1の目が跳ね馬になったダイス(サイコロ)などなど。
大人でも思わず乗りたくなるソリや木馬まである。木馬のボトム部分には、「ボク(ワタシ)のファースト・フェラーリ」と書かれている。
フェラーリ、四輪バイクを開発!?
というわけで今日のフェラーリ・ストアを見ていると、やがて「F1ケブラー素材採用・オフィシャル歯ブラシ」や「波乗りジョニー・F1型(赤じそ入り)」とかも発売され、出店も増えて、いつかコンビニになるのではないか?とさえ思えてしまう勢いである。
そんな跳ね馬グッズ全盛のなか、年末イタリアで、あるニュースが人々を騒がせた。
「フェラーリがクアッド(四輪)バイクを開発!?」というものだ。
真相はというと、スイスの小さな工房がフェラーリF1を模したクアッドを製作しただけだった。
ところがこの工房、少々調子に乗りすぎた。各スポンサーのデカールまでフェラーリF1と同じものを貼り、11月ミラノの二輪ショーという“晴れ舞台”にスタンドを設け出品してしまったのだ。
フェラーリはイタリア財務警察に捜査を依頼。結局スイスの工房は商標権侵害で摘発された。
しかし、今回フェラーリがクアッドバイクの存在を知ったのは、二輪ショーで興味をもった複数の客からの問い合わせ電話だったという。
木馬もカワイイ。しかしホントはみんな、このあたりのフェラーリ・グッズを望んでいるようで……。
フェラーリストア:
http://www.ferraristore.com/
(文と写真=大矢アキオ-Akio Lorenzo OYA)

大矢 アキオ
Akio Lorenzo OYA 在イタリアジャーナリスト/コラムニスト。日本の音大でバイオリンを専攻、大学院で芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとしてシエナに在住。NHKのイタリア語およびフランス語テキストや、デザイン誌等で執筆活動を展開。NHK『ラジオ深夜便』では、25年間にわたってリポーターを務めあげる。『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり』(コスミック出版)など著書・訳書多数。近著は『シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡』(三樹書房)。イタリア自動車歴史協会会員。
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