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第300回:東京オートサロン2007「ちょっとヤバいんじゃないの?」

2007.01.24 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第300回:東京オートサロン2007「ちょっとヤバいんじゃないの?」

個人的には一番インパクトがあったBMW DUB EDITION。
個人的には一番インパクトがあったBMW DUB EDITION。 拡大
今年一番多かったレクサスLS。コレがしばらくのメシのタネって感じですな。
今年一番多かったレクサスLS。コレがしばらくのメシのタネって感じですな。 拡大
22インチホール、もはや当たり前!
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“暴力性or意外性”がなくなった!

今年もついつい行ってしまいました新春恒例、東京オートサロン! 言わずと知れた「チューニングカーの祭典」なんだけど、正直、個人的にはちょっとヤバいなぁと思っちゃいましたね。といっても“イベント”としてじゃなく、“インパクト”としてね。

イベントとしては3日間の入場者数24万9197人と上々な結果。昨年に比べ、厳密には約100人減ってるけど全然問題なしで、もはやクルマ関係としてはメジャー級のイベントと言っていい。
俺が行ったプレスデイでも一般客が入れる午後1時には第一駐車場がいっぱいになるっつう満員札止め状態。

でもねぇ、ハッキリ言ってクルマ的には寂しいものがありましたな。もちろん新しいエアロパーツやホイールは出てるし、メーカー系も新車はバシバシ投入してるわけだけど、要するに驚きがない。特に俺が一番気になってた“進化するクルマの暴力性or意外性”みたいのはほぼ見られなかったわけです。

主に90年代初頭から見ている俺としては、全体的に大人しくなる傾向とはいえ、今までは毎年何らかの発見があった。

例えば90年代前半はまだまだ全体に暴力的パワーが満ちていて「RE雨宮」だの「トラスト」だの「HKS」だの名門チューナーが健在で、やれタービンがどうの、コンピューターがどうので出力700馬力や1000馬力は当たり前。そこにさらに「ヴェイルサイド」っつう、パワー&エロみたいな新進気鋭のチューナーも出てきて追いつけ追い越せ状態。今考えてみると当時がピークだったのかもしれない。

第300回:東京オートサロン2007「ちょっとヤバいんじゃないの?」の画像 拡大
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今年一番光ってたのはコレか!? キムタク“一分”カローラ!
今年一番光ってたのはコレか!? キムタク“一分”カローラ! 拡大

エアロから大手メーカーの参入へ

で、その暴力的パワーは年を越えるごとに影を潜めて、開発比重がだんだんエアロパーツに移っていき、90年代後半に入るとそのエアロですら過激なものがなくなってきた。

ところがどっこい、当時は当時で裏にはメーカー系チューナーの台頭っていう大きな流れがあって、実はトヨタやホンダ、日産などの大手メーカーがこぞって参入してたわけだ。

それは国内新車市場の伸び悩みにともなう“枝葉ビジネス”の取り込みの構図でもあって、そこには確かにビジネスライクさも見られたけど、一方「メーカーでここまでするか!」みたいなパワーがあった。

なんせ日産スカイラインGT-RはR33、R34ともにここオートサロンで発表したわけだし、さらにガルウィングドアの大衆化だの、チューニングカーのヒストリックカー化(!?)だの意外なムーヴメントもあって、それはそれで「ゴキブリの生命力」じゃないけど「チューニングカーの生命力」みたいのが感じられたのだ。

要は好きモノはどこにでもいるのねぇ…みたいな感じよ。

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ハマーの30インチホイールにはビックリだけど、ワールドワイド化も一時ほどじゃない!
ハマーの30インチホイールにはビックリだけど、ワールドワイド化も一時ほどじゃない!
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今年もがんばってたNATS! これからはキミの時代だ!?
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硬派チューンはほば完全に息絶えた……

で、2000年代に入ってもそれは変わらないどころか、北米系のファンや中国、韓国、東南アジア系のお金持ちもちらほら会場で見られるようになり、前代未聞のジャパネスク・チューニングカーの“ワールドワイド化”なんてのも始まってたわけだ。

ところがね。昨年今年とちと事情が違うのだ。というのも昨年に続き、ショーの花形的存在だった「ヴェイルサイド」がいなくなり、名門「RE雨宮」もほとんどレーシングカーを出展するのみ。もはやほぼ完全に硬派チューンは息絶えたようだ。

さらにがっかりしたのは、俺が見たところ、外国人の客やジャーナリストも減っていたことで、確かにちらほら中国語や韓国語も飛び交っていたけど、白人はおろか褐色の肌の人もあまり見かけなかった。

また、メーカー系チューニングカーにしても、トヨタ・カローラのキムタクチューンっていう笑えるのはあったけど、「メーカーなのにここまでやるか!」みたいな過激なのはすっかり影を潜めていた。実際、次期型日産GT-Rだって、発表は今年秋の東京モーターショーでやるみたいだしね。

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シャコタンもこうなるともうクラシックカーだよなぁ……
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オートサロンの“学芸会化”

つまり相変わらず残ってるのは過激度が減ったとはいえ、それなりに元気なVIPカー系チューニングブランドと専門学校系ぐらいのもの。そうそう、個人的には全16台も出展した元祖のNATS(日本自動車大学校)やGIA(新潟国際自動車大学校)なんてのが唯一目を惹いたなぁ。

まさに“少子化の時代のオートサロン”って感じで、少しでも残ってるクルマ好き学生を取り込もうって必死になってる感じ。つまり、オートサロンも学芸会化してるわけよ。

あと気づいたことと言えば、ますます音楽が大音量になって現場がほとんどレイヴ会場化してるとか、カメラ小僧が健在なことぐらい。
おそらくはそのあたりで入場者数を稼いでるんだろうし、もはやオートサロンも「チューニングカーの未来」を見るというより、「クルマをつまみに写真を撮って踊る」イベントになっちゃったみたい。ハッキリ言って俺の好きな不良クルマの生命力はあまり感じない。

ま、イベントってのは時代とともに移ろい行くもの。これはこれで楽しくないことはないけど、ちょっと寂しい感じもしましたね。個人的には。

(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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