BMW130i M-Sport(FR/6MT)【試乗記】
もっともスポーティなBMW 2006.01.05 試乗記 BMW130i M-Sport(FR/6MT) ……573万3000円 BMWのエントリーモデルに位置づけられる「1シリーズ」に、直列6気筒3リッターエンジンを積み、マニュアルトランスミッションを備えた「130i M-Sport」が加わった。そのスポーツカーとしての実力を探る。Z4と対極の思想
130iは1シリーズのコンパクトなボディに、3リッターのハイパワーエンジンを積んだスポーツハッチ。久々にBMWらしい楽しさを満喫させてくれるモデルの登場だ。Z4とは思想が対極にあり、130iは現状でもっともスポーティなBMWである。
アメリカンなZ4との違いは、ボンネットを開けてみれば一目瞭然。エンジン前後に大きなスペースを残して、ロングフードのスタイリングを優先させたスポーツカーであるZ4に比べ、130iはエンジンを大きく後退させ、3分の1はスカットルに呑み込まれている。タイトに纏まった室内も魅力的だし、ロングホイールベース、切り詰められたオーバーハングと相まって、ヨー慣性を小さなものにしている。ステアリング操作に対して遅れの少ない、このキビキビしたレスポンスこそスポーツドライビングの要と言える。
安全(?)な設定
ステアリングのギア比を小さくすれば、見かけ上ノーズは素早く回頭するようにも感じられるが、ヨーレスポンスまでは騙しきれない。この130iとて最近のBMWチューンの一連の流れの中にあり、旋回中心をずーっと後方にもってきて、前輪の切れを大きめに素早く与えて、アンダーステアを感じさせないで曲げてやる手法を採る。
これはFF車の特性にほかならないが、FRで操縦安定性を稼ぐ手段は今のところこれしかなさそうだ。長めのホイールベースを採用したのもその一環であり、ESPでのブレーキ制御とあいまってめったにスピンする気配をみせない。どちらかと言えば前輪が先に滑り出す安全(?)な設定になっている。よって、数世代前の旋回中心が中央付近にあって、後輪も適当に滑ってニュートラル感覚の強かった時代のBMWとは、まったく違う特性ではある。
この130iはFRレイアウトに旋回性のニュートラルステア感覚を求めるのではなく、6気筒3リッターの動力性能を楽しむ車だ。とは言えドライブシャフトの通らない前輪はよく切れてUターンも楽だし、路面フィールのはっきりした操舵感も上々、電子制御のバリアブルレシオは自分で操舵を加減する喜びを奪ってしまったが、まあ復元性のよさに免じて肯定できる。そんなことよりもこの130iは6MTを駆使する楽しみが待っている。
直列6気筒ならではの緻密さ、快音
今やクラシックなレイアウトである直列6気筒は、クランクシャフトが長い=捩れに対して弱い=高回転に向かない、という根本的な弱点をかなり克服し、一応レッドゾーンの設定を7000rpm まで上げており、回せば回ることは回る。ただ、6000rpm から先はトルクを落とすことで、歓迎しない素振りをみせる。オーナーはここを理解して、長く付き合いたいならば6000rpm で止めておくことをお薦めする。
BMW直列6気筒は、高回転域の回り方だけに魅力があるのではない。3000rpm でシフトアップしても、5000rpm までにしても、クラッチを繋いだ瞬間のトルクとレスポンスは、4気筒エンジンでは得られない緻密さと滑らかさと力強さなのだ。そして、高精度直列6気筒ならではの快音を発して回る。
だから、一定速でクルーズするような走り方よりも、頻繁に上げ下げしてエンジン回転の変化を楽しむほうがいい。レブリミットいっぱいまで引っ張ると速度が上がりすぎてブレーキに負担はかかるし、一般道ではそこまで速度を上げられないから、早め早めにシフトを繰り返して、エンジンに心地よい音階を奏でさせるほうがいい。6MTはそのためのマニュアルギアボックス、というわけだ。
(文=笹目二朗/写真=高橋信宏/2006年1月)

笹目 二朗
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