BMW330Ciカブリオーレ(5AT)【ブリーフテスト】
BMW330Ciカブリオーレ(5AT) 2000.08.15 試乗記 ……647.0万円総合評価……★★★
とことんドイツのこだわり
現行3シリーズクーペをベースとした新しいフルオープンボディに、やはり新開発の3リッター直列6気筒エンジンを搭載した330Ciカブリオーレ。1985年に初代モデルがデビューして以来、BMWの4シーターオープンはこれで3代目となる。
一見したところ「クーペからルーフ部分を外しただけ」にも思えるが、オープンボディを実現するために採った手法は、とことんドイツ的な完璧主義。シート内蔵式のフロントシートベルトや、万一の転倒時に、リアバックレスト後部から瞬時に飛び出すプロテクトバー。そして、非オープン時、つまりトップを上げたときにトランクスペースを拡大させることが可能な、「バリアブル(折り畳み式)ソフトトップボックス」など、随所に「そこまでやるか!」の細工がちりばめられている。
一方、ウィークポイントは、対衝突時安全性を確保するための補強などを含め、増加した重量。1.7トン近い重量はセルシオ並。ライバルと目されるポルシェ・ボクスターより、およそ400kgも重いのだ。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「E46型」と呼ばれる現行3シリーズは、1998年のジュネーブショーでデビュー。8年ぶりのフルモデルチェンジとなった。セダン、ワゴン、クーペ、そしてカブリオーレと、ボディのバリエーションは豊富だ。
(グレード概要)
Ciカブリオーレは、セダンより2年遅れで登場。フロントバンパーからAピラーまでをクーペと共用する。シート一体型シートベルト、瞬時に飛び出す後席ロールバーなどの安全装備のほか、ワンタッチで開閉するソフトトップ、メモリー機能付き電動シート、オートエアコン、革と木の内装、アロイホイールなど、ラグジュアリーな装備も満載。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネまわり+装備)……★★★
センターコンソールがわずかに横を向く、ドライバーオリエンテッドな運転席は健在。3リッターモデルには、メーターのまわりに、艶消しのクロームリングが追加された。
(前席)……★★★★
あたりは柔らかいが、むやみにオシリが沈まない革シート。座面、背もたれとも、硬いサポートが張り出し、コーナリング時には、しっかりドライバーを支えてくれる。
(後席)……★★
ボディ側壁がリアにむかって絞り込まれるので、2人で座ると横幅は必要ギリギリ。場合によってはウレシイ。バックレスト後部にはロールオーバープロテクションバーが埋め込まれ、横転の危険を感じると、約0.3秒で最大270mm飛び出して乗員を保護する。
(荷室)……★★
ソフトトップおよび電動モーターなどを収納しなければならないので、トランクに大きな期待はできない。しかし屋根を上げた際には、荷室に吊り下げられたカタチのトップ収納コンパートメントを畳んで、容量を260から300リッターに増やすことが可能だ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
エンジンは、328i/328Ciなどに積まれた2.8リッターユニットのストロークを5.6mm延長、排気量を186ccアップして、2979ccとしたもの。
5ATとエンジンのマッチングは良好だが、加速にそれほど強力な印象は伴わない。やはり、重量増加の影響が大きそう。「231psカーにしては意外におとなしいナ」??これがぼくの第一印象となった。
できればこの心臓も、他のビーエムユニットの例に漏れず、MTで味わいたい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
「シャコタン・ルック」から想像されるように、BMWらしいフットワークの良さは健在。スポーツサスペンションを標準で装備するが、乗り心地の素晴らしさは、足まわりを硬めていることを忘れさせるものだ。
ただし、ボディの剛性感は、現行セダン/クーペには及ばない。たとえばボクスターの、屈強なボディの感触はこのクルマにはない。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:河村康彦(総評とドライブフィール/ほかはweb CG)
テスト日:2000年8月10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)205/50R17 99W/(後)同じ(グッドイヤー・イーグルNCT5)
オプション装備:メタリックペイント(7.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:プレス向け試乗会走行状態 市街地(5):山岳路(5)
走行距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
トヨタ・アクアZ(FF/CVT)【試乗記】
2025.12.6試乗記マイナーチェンジした「トヨタ・アクア」はフロントデザインがガラリと変わり、“小さなプリウス風”に生まれ変わった。機能や装備面も強化され、まさにトヨタらしいかゆいところに手が届く進化を遂げている。最上級グレード「Z」の仕上がりをリポートする。 -
NEW
レクサスLFAコンセプト
2025.12.5画像・写真トヨタ自動車が、BEVスポーツカーの新たなコンセプトモデル「レクサスLFAコンセプト」を世界初公開。2025年12月5日に開催された発表会での、展示車両の姿を写真で紹介する。 -
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。



































