フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(2ペダル6MT)【試乗記】
クールなホットハッチ 2005.05.17 試乗記 フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(2ペダル6MT) ……325.5万円/336.0万円 庶民のクルマに走る楽しさをもたらした、ゴルフのホットバージョン「GTI」が、いよいよ日本に登場した。ルポGTIカップに出場する自動車ジャーナリストの島下泰久、最新ゴルフのスポーティモデルの印象は?「GTI is Back」
先に「ゴルフGTX」がデビューしたことで、ちょっとインパクトを欠いてしまった感もあるが、ともあれ遂に待望の新型「ゴルフGTI」、登場である。「GTI is Back」をコピーとして掲げる新型は、ここのところすっかり大人しくなってしまっていたGTIを、再びバイタリティあふれる存在として強く打ち出し、ゴルフ全体のイメージアップを図るモデルと言うことができる。
それが端的に表れているのが外観で、ブラックアウトされた逆台形型のグリルモチーフの周囲は赤いピンストライプで囲まれ、グリルはハニカム状に。内装も、シート地は昔ながらのスコティッシュチェックを模していて、懐かしくも新鮮な雰囲気だ。せっかくだからシフトノブをゴルフボール型にしてくれれば、なお良かったのだけど。
メカニズムの目玉は、やはりパワートレイン。2.0リッター直噴エンジンにターボを組み合わせた「T-FSI」ユニットは先代GTI比50psアップの最高出力200psを発生する。トランスミッションは6段MT、もしくは6段DSGだ。
断然快適
走り出して、まず驚かされるのが乗り心地である。硬めではあるが路面との当たりがしなやかなその乗り味は、「GT」よりも断然快適と言える。ダンパー、スプリング、スタビライザーだけでなく、実は細部が改良されているらしい。静粛性も目を見張る。実質的には同内容の「アウディ A3スポーツバック 2.0TFSI」では、特に低速域で排気系のボーッというこもり気味の音が気になったが、GTIの室内は快適そのものだ。
やや重めのステアリングやショートストロークの6速MTなど、操作系はいずれも気持ち良く決まる。但し、DSG仕様は何とシフトパドルが未装備だった。本国でも生産が追い付かない状態のため、デリバリーの速さを優先したということで、体制が整い次第、パドル付きが導入されることになるという。どうしてもパドルが欲しい人は、しばらく“待ち”が必要である。
TFSIエンジンは全域トルクフルなだけでなく高回転域での伸びの良さもあわせ持っている。ターボラグもほとんど無く、絶対的なパワーも十二分。どのギアでどこから踏んでも速い、気持ちいいスポーツ心臓だ。
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頃合いのスポーツ加減
一方、ハンドリングは基本的にゴルフVの線を踏み外さないスタビリティ重視の味付けだ。柔らかめのサスペンションは攻め込むと比較的早めにフロントタイヤが鳴き出し、安定したアンダーステアでコーナーをクリアする。姿勢の自由度は他グレードより高いが、積極的に曲りたがるという感じではないし、立ち上がりでアクセルオンが早過ぎればアンダーステアも強い。今回の試乗場所だったタイトなワインディングより、もっとハイスピードな舞台の方が合っているようである。
そういう意味で言えば新しいゴルフGTIは、日本でのホットハッチの元祖といったイメージからは離れるが、実はアウトバーンの秩序を変えたというGTI本来の位置付けには近いのかもしれない。メインターゲットだという、かつてGTIに憧れた40歳代くらいの男性にとっても、特に一家に1台のクルマとして考えた場合には、これくらいが頃合いだろう。もしも「そんなんじゃイヤだ、もっと熱くなれるGTIが欲しいんだ!」というなら……そんな人は「ルポGTI」を選んだ方がいいかもしれない。
(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2005年5月)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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